手売りの際に求められる「伝える力」
――「物を売る」ためには少なからず「営業」が必要で、「営業」に求められるのは「その人のニーズに合った伝え方」だといえます。売る相手によって礼儀も正解も変わるわけです。
人生は物語。
どうも横山黎です
今回は「手売りの際に求められる『伝える力』」というテーマで話していこうと思います。
◆僕の紹介が内容への興味を生んだ
僕は最近、先日出版した小説『Message』を毎日手売りしています。隙あらば友達や教授に買ってもらっています。
昨日の記事で、大学の授業で自分の小説を発表する機会があったという話をしました。僕が本を出したという情報を聞きつけた大学の教授が、授業の終わりで僕に報告する時間を設けてくれたのです。
突然のことでびっくり仰天だったんですが、お言葉に甘えて、小説『Message』をビブリオしました。公式ルールのように5分とは言わないけど、1、2分しゃべっていたんじゃないかな。とにかく、小説『Message』を届けるのに必死でした。
そんな風にして幕を閉じた授業の後、ひとりのクラスメイトが『Message』を購入してくださったんですが、そのときにこんなことを言われました。
◆効果的な作品の魅力の伝え方
「僕が本を出したという事実」と「同じクラスメイトのよしみ」とで、僕の紹介がなくても買ってくれたかもしれません。ってか、きっとそうだったでしょう。今僕が手売りしているのは僕の友達で、少なからず知っている僕のことを知っている人です。内容がどうであれ、面白がって買ってくれるわけです。
しかし。
授業後に『Message』を買ってくれた子が、僕の紹介を聴いて興味を持ったのは、「僕が本を出したこと」それ自体ではありません。「本の中身」です。
当然のことですが、これめちゃくちゃ大切だなあと思います。
本屋で買うにしろ、Amazonで買うにしろ、読者の購買意欲を高めるのは、その本の内容です。わざわざお金を払って読むわけですから、はずれの本を買いたくないはずですよね。僕だってそうだもの。ならば、買う前に自分のニーズに合った内容であると分かった方が、読者は本を買ってくれます。
ですから、本の帯や裏表紙にあらすじを書くわけですよね。キャッチ―なフレーズで惹き付け、あらすじで惚れ込ませる。それが本を買う際の心理でしょう。
しかし、どうしてもその本の魅力を伝えきることは十分にできません。フォントを変えたり、大きさを変えたり、いくら工夫を凝らせど、文字だけの情報には限界があります。
その点、手売りは違います。
作者の声を通して、作品の魅力を伝えることができるのです。読みたい!と思ってもらえるように、その本を買ってもらえるように、あの手この手で言葉を選ぶことができます。
さらに、売る相手によって言葉を変えることもできるのです。普通の本ならば誰に対しても同じアプローチです。そこにある文字が変わることはないので、読者が手に取るその本のイメージには大差がないはずです。
しかし、その人にとって価値のある本であると認めさせることが重要なので、相手によってアプローチの仕方は変わるはずです。
小説『Message』の例でいえば、僕の小学校の友達、それも成人式や同窓会を共にした人たちには、そのときの体験を物語に反映させていることを伝えるのが効果的です。
逆に、僕のことをほとんど何も知らない人には、ダイイングメッセージ「110」の謎を解く物語であることに重きを置くべきです。ミステリーは誰に対しても等しく奇妙を思わせ、魅了しますから。
◆手売りに必要な伝える力
まとめると。
「物を売る」ためには少なからず「営業」が必要で、「営業」に求められるのは「その人のニーズに合った伝え方」だといえます。売る相手によって礼儀も正解も変わるわけです。
軽い気持ちで自分の本の手売りを始めましたが、毎度のように得るものがあります。「これを言ったらより興味を持ってくれたなあ」とか「この人には別の落としどころを用意するべきだったなあ」とか「もっと簡潔に紹介できないかなあ」とか。
そういうひとつひとつに気付けることが楽しくて、実験と反省を繰り返していく作業にやりがいを覚えています。
幸い僕には、高校時代にがっつりビブリオバトルをやっていたので、本を紹介することに関しては人より得意であるという自負があります。しかし、そのアドバンテージをもってもなお、本の魅力を伝える、そして、本を売るという作業は難しいです。
今はまだ売りやすい友達周りですが、これからは売る範囲を広げていかなければいけません。その際には、さらなる「伝える力」が必要になると思うので、今の内から意識をもって毎日手売りしていきます。
ちなみにですが、僕から直接買っていただける方いますか? 可能な限り、対応していきたいなと思っているので、よろしければコメント欄で教えてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
【#382】20220717 横山黎
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