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リハビリの闇は動作分析の放棄から始まる part2 PT・OTのための動作分析

こんにちは。ReHub林です。

闇から学ぶリハビリテーション第2弾です。
まだの方はコチラもどうぞ👉「リハビリの闇は動作分析の放棄から始まるpart1

この2つの記事では、臨床場面でよく見られる失敗を紹介します。
“人の振り見て我が振り直せ”ということで、1つの教訓として捉えて頂ければと思います。

「バイオメカニクス的にこれがベスト」

とある理学療法士が、患者の起き上がり介助を新人セラピストに指導している場面。
「バイオメカニクス的にこれがベスト。こうすれば楽でしょ。」
物体を転がして起こすという意味では、バイオメカニクス的にスムーズに介助していました。
しかし、端から見ても明らかに患者の肩甲骨上の立ち直りや頸部の立ち直りが不十分な状態でした。

さらに反復して起き上がり介助をすること5~6回。
なんということでしょう。
起き上がり後の患者の座位は、リハビリ室に来た時よりも、完全に崩れていました。そして、その2人のセラピストはそれに気づくことができませんでした。

本来なら、肩に触れた瞬間、起き上がる側に荷重し始めた瞬間には気づくべき反応です。
これを指摘されたセラピストは「こういうことでしょ?」という風に理解している口ぶりですが、実際に動かす時に反応を捉えて動かすということは全くできていませんでした。

「緊張が高く、姿勢保持が困難」その1

多発性脳梗塞の患者が、両下肢とも伸展パターンを強め、座位では一本の棒のようになり、車椅子からずり落ちてしまいます。
前任者からの情報では、「筋緊張が高く、姿勢保持が困難なため、リラクセーションやROMにて緊張を緩和し、車椅子上でポジショニングを整えています。」
ということでした。
そんな調子で半年以上は、ほぼ寝たきりだったようです。

私の評価は逆です。
簡単に言うと、「ベースの緊張としては低く、姿勢保持が困難なため、二次的に高めやすい筋の緊張が高まっていた」という感じです。
この解釈で少しずつ姿勢反応を引き出すことで、1週間程度で座れるようになり、1か月で自力移乗できるようになり、その後歩行器歩行ができるまでになりました。

ということは、前任者は、高めるべき筋緊張を逆に落として、さらに不安定な状態を作り、二次的な過緊張を助長させることを治療で行っていたことになります。
恐ろしいことです。

「緊張が高く、姿勢保持が困難」その2

これまた、脳梗塞の患者が、“その1”同様に「緊張が高く、姿勢保持が困難なため、リラクセーションやROMexを実施し、車椅子上でポジショニングを行っていました」との申し送りで来られました。さらに、「リクライニング車椅子にて離床時間を確保していました」とのこと。

結果として、車椅子の形のままガッチガチに固まっておられました。眼球も一方を向いたまま動かすことができず、口腔の動きも乏しく、胃瘻です。そんな状態で1年近く経過していました。

体幹や肩甲帯の姿勢反応は非常に乏しく、接触刺激に対する反応も引き出しにくいほどにカチカチです。
大雑把に言うと、神経系の障害によって緊張を高めている&姿勢保持の困難さによって二次的に高めている状態が混在している四肢末梢と、姿勢保持の困難さによって二次的に緊張を高めている中枢部といった状態です。

そんな患者の介助において、寝返りや起き上がりで最も反応が良かったのが顔面への刺激でした。眼球・顔面・頸部から始まり、徐々に中枢部の運動を波及させることで座位保持できるようになり、食事摂取までできるようになりました。

この患者に関しても、神経系が姿勢をコントロールできないために、なんとか安定を得て自己を定位しようと二次的に高めている緊張を、セラピストが緩めるだけ緩めてさらに緊張を高める結果になった事例と言えるでしょう。

想像してみてください

あなたは、不安定な崖の縁に座らされて、全身が強張った状態です。
そこに「助けてあげましょう」とある人が声をかけてきました。
その人は笑顔で「リラ~ックス、リラ~ックス♪」と言って身体に力を入れにくくしました。
あなたは、余計に不安定な感覚を覚えて、落ちそうなのか落ちそうでないのか分からない状態にまでなり、余計に身体を強張らせます。
それでもその人は笑顔で「おいおい、力抜けよ~」と同じことを繰り返すとしたらどうですか?
「ちょっ!待っ!」てなりますよね。

もはやマッドセラピストw
怖すぎです。
でも患者さんは健気に信じて頑張ってくれるんですよね。
応えたいですよね。

まとめ

闇リハpart-2 ホラーでしたか?

患者を良くしていると思っていたのに、気づかぬうちに自分の関わりによって悪くなっていることがあるとしたら、怖いものです。
だからこそ、知識だけでは足りないのです。

常に、自分が間違える可能性も考慮しつつ、目の前で起こる反応・触れた瞬間の反応など、それら生の反応を捉え、分析する技術を養うことが重要なのです。

この記事が、リハビリテーションの闇を払う一助になりましたら幸いです。

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