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人は仕事を通して幸せになれるのか?

自分の仕事は好きですか?楽しいですか?

恐らく、一般的な感覚では楽しいと感じている方の方が少数派な気がしています。

そんなことを聞く私はというと、自分のしている理学療法士という仕事は好きです。

感情労働である面もあるので、楽しいことばかりではないというのが正直なところではありますが、やりがいは間違いなくあり、楽しい部分も多いと感じています。

これを読んでくださっている方には理学療法士をされている方が多いと思います。

おめでとうございます。

理学療法士は、幸せになれる職業の一つです。

では、その他の職業は幸せになれないのでしょうか。

そんなことはありません。

幸せになるための要素がいくつかあるのですが、理学療法士という仕事にはその要素の多くが含まれているというだけです。

読書感想文でありながら、書籍の紹介であるというスタイルで進めていきたいと思います。

今回の書籍はこちら。

この書籍を読んでいただきたい対象は、

●理学療法士の方
●医療職の方
●仕事を退屈に感じている方
●日々の生活に幸せを感じていない方
●お金を稼ぐことこそが幸せになる方法だと信じている方
●心理学に興味がある方
●他人の欠点にばかり目を向けてしまう方


ポジティブ心理学とは何なのか

そもそも、この『ポジティブ心理学』とは何でしょう。

詳しい説明は実際に書籍に当たっていただくべきだと思いますが、この文章を読んでいただく上で必要な程度の説明をしておきたいと思います。

簡単に言えば、「心がポジティブな状態になるための条件を科学的に調査する学問」といったところでしょうか。

まず、心理学というのは心理の学問ではなく、心の理学です。

つまり、心というものを理学=科学という方法で扱い、明らかにしていこうという試みと解釈しています。

『ポジティブ心理学』では、科学的な手法を用いながら、どのような条件が揃えばどのような心の状態になるのか、ポジティブになるのかネガティブになるのか、ということを調査し、その知見を積み上げていっています。

そして、(これは本書のとても良いところなのですが)一方的にポジティブになることを押し付けるのではなく、あくまでもポジティブになることと他の要素との相関、何らかの条件と幸福との相関などを調べ、ポジティブになるための条件や方法を明らかにしていっているものです。


なぜ理学療法士が幸せになれるのか

冒頭でも述べたように、理学療法士という仕事には幸せになれる条件が多く揃っています。

詳しくは書籍にあたっていただくとして、理学療法士という仕事に含まれる幸せになれる条件をいくつか挙げてみたいと思います。

●他者に親切にする
●積極的・建設的反応
●自分の強みを活かせる
●運動する

他にもありそうですが、とりあえず思いついたものを。

これらは全て、(広義の)幸せになることと関係があるとされています。

本書では『ポジティブ心理学を暮らしに活かすには』という章が設けられており、ポジティブ心理学において確認された幸せになる(うつの軽減なども含む)ための介入方法がいくつか紹介されています。

『ランダム親切活動』というのは、他者に無作為に善良な行いをするというもので、親切にされた人のみならず、親切にした人も幸せにしてくれます。理学療法士だけでなく医療職というのは基本的に他者(患者・利用者)のために何かをする仕事です。自覚や実感が伴うかどうかは別として、他者に善良な行いをするというのは、自身の幸福感を高める可能性があると考えられます。

『積極的・建設的反応』というのは、相手の良い知らせに対してどのように反応するかというものです。具体的には、相手の良い知らせに対して、何が起きたのかを積極的に理解しようと質問をし、興味を持ち、一緒になって大いに喜ぶことです。これに対するものとして『消極的・破壊的反応』があり、こちらはその知らせを無視したりしてまるで無かったことのように扱う反応です。理学療法士は患者さん・利用者さんの回復を一緒に喜ぶことが常であり、何がどう良くなったのか心から知りたいと思い、質問してその原因や内容を知ろうとします。これは理学療法士自身も幸せにする行動と言えるのではないでしょうか。

自分の強みというのは、意識しなければ認識できず、自分では弱みだと思っていたことが実は強みだった、ということもあり得ます。自分の特徴的な強みを特定すること、それを活かすことは、幸せに繋がるようです。理学療法士という仕事は、共通した知識基盤を持ちながらも、細かな介入方法は個々の理学療法士によって異なります。それは性格や持っている知識・技術、もしくは対象者に合わせて変更する、といったものかもしれません。ただ、それができること、その方法を選択できることというのは、理学療法士自身の強みを活かしていると言えるのではないでしょうか。

最後の『運動する』は理学療法士なら知っていることでしょう。運動自体がストレスや不安を軽減し、うつの改善も期待できます。その他、生活習慣病のリスク軽減も、二次的にストレスや不安の軽減に繋がるでしょう。基本的に理学療法士は対象者に運動を行うものですが、場合によっては一緒に運動を行います。これは仕事をする中で自分自身の幸福感を高めることができる仕事であると言えるのではないでしょうか。


幸せはお金では得られない

最後に付け加えておきたい点として、お金を得ても幸せになれないというのがあります。

もちろん、お金は大事。

ある程度の経済的な余裕がなければ、選択肢が狭くなってしまいます。

しかし、幸せになるかどうかという点においては、お金は関係がないどころか、むしろ幸福感を減少させる可能性すらあるのです。

むしろ、得たお金を他者に使うことの方が幸福感を高めるという研究結果もあるようです。

理学療法士の給与所得は低い。これはこれで問題ですし、これを理由に理学療法士という仕事を辞めてしまう方がいることも事実で、仕方のない選択だとも思います。

ただ、幸せになるという一点を見つめた場合、理学療法士という仕事は続けながらも所得を増やすという選択の方がもしかすると幸福度は高まるのかもしれないな、と思うところです。


おわりに

『ポジティブ心理学』で言われている有効な介入方法が理学療法士という仕事に当てはまるという視点で書いてきました。

もちろん、理学療法士でなくても、仕事を通して幸せになれる可能性は大いにあると思います。

ただ、自分の仕事のどのような要素が幸せに繋がるのかを理解した上で仕事をすることは大切なのだろうな、と思います。

実際、そんなことを考えず、「仕事が嫌だ」と言っている理学療法士は多いですからね。

読書感想文なのか何なのかよくわからない文章になってしまいましたが、一応は『ポジティブ心理学が1冊でわかる本』を読んで感じた・考えたことです。

この本の特徴は、『ポジティブ心理学』においてわかっていること、わかっていないこと、メリットとデメリット、様々な面を公平に書いていることです。

『ポジティブ心理学』ゴリ押しなわけではなく、現時点での限界についても述べられているので、入門としては非常に良い書籍だと思います。

私自身、これから何度も読み直す1冊になる気がしています。

では、また。



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