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子どもの歩き方の発達過程を知ると、毎日の変化を楽しく見守ることができる

子どもは通常、1歳前後で歩き始めます。

歩き始めた子どもは、大人とはかなり異なる歩き方をしています。

『よちよち』歩きなんていう風に表現されることが多い子どもの歩き方ですが、3歳くらいまでに成人の運動パターンのほとんどが現れ、その後7歳頃までかけて歩行パターンが成熟していくとされています。

では、子どもと成人の歩き方はどのように異なるのでしょうか。

このことを確認しておくと、子どもが『よちよち歩き』でなんとか歩いている時期から、その後どのような歩き方を獲得していくのかを知ることができます。

これを知っていると、子どもの歩き方が変化していること、子どもが成長していることに気付きやすく、日々の変化を楽しく見守ることができるように思うのです。

この記事を読むと、
●子どもが成人の歩き方を獲得するまでの過程を知ることができる
●子どもの歩き方が発達する過程を知り、次にどのような変化が起きるか予測できる
●子どもの日々の発達・成長を予測し、小さな変化に気付いてあげられる


子どもと成人の歩き方の違い

歩き始めたばかりの子どもは、『よちよち歩き』と呼ばれるような特徴的な歩き方をします。

例えば、両腕を振ることなく高く挙げたところで固定して歩く『ハイガード肢位』であったり、両足の幅を広くとった『ワイドベース』での歩行だったりがみられます。

一歩一歩の幅は小さく、片足を長い時間浮かしておくこともできません。

その結果、単位時間あたりの歩数(歩行率)が多くなり、ちょこちょこ歩いている印象を受けることになります。

このような現象がみられるのは、成人とはバランスのとり方が異なるためであり、少しずつ歩き方が熟練していくことで成人と同じようなバランスのとり方・歩き方を獲得していきます。


子どもの歩き方が成熟していく過程

歩行の成熟過程について、5つの鍵となる典型的な変化のパターンとしてまとめているものを引用しておきます。

1.年齢と成熟に伴い,単下肢での立脚持続時間が増加する.
2.年齢と下肢長に伴い,歩行速度は増加する.
3.年齢と下肢長に伴い,歩行率は低下する.
4.年齢と下肢長に伴い,歩幅は増加する.
5.年齢と成熟に伴い,骨盤幅に対する内側足関節間距離の比率が減少する.
(J.Perry著, 武田功監訳:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版, p235, 2007)

これらの変化は当たり前と言えば当たり前なのですが、いわゆる『よちよち歩き』からの脱却を象徴した現象であると考えます。

『よちよち歩き』の特徴は、左右の足幅を広くとり、一歩一歩は小さく、片足を挙げている時間が短い、といったところではないでしょうか。

逆に『よちよち歩き』からの脱却とは、左右の足幅を狭くすることができ(5)、片足を大きく前に出すことができる(1、3、4)、といった歩行の成熟過程だと考えられます。


子どもの成長を予測する

ここまでみてきたように、子どもの歩き方は『よちよち歩き』です。

特に歩き始めた1歳頃はしょっちゅう転びます。

そんな歩き方をしている子どもが、歩き始めた半年後くらいには転ぶことも少なくなり、スタスタ歩けるようになっています。

全体的な印象として「歩くのが安定してきたなぁ」というのは日々観察していれば誰でも感じると思いますが、上で引用したような典型的な変化のパターンを知っておくと、どこがどのように変化したのかを掴みやすくなると思います。

日々の子どもの発達・成長・変化に気付きやすくなるために、改めて私の言葉で観察したいポイントをまとめておこうと思います。

<子どもの歩行の変化に気付くための観察ポイント>
●手の位置(高く挙げた状態から下がっていく)
●足の左右幅(次第に狭くなっていく)
●足を出す一歩幅(次第に一歩が大きくなっていく)

こんなところを知っていると、毎日の子どもの変化に気付きやすくなるのではないでしょうか。

もちろん、子どもの成長や発達には個人差があるため、誰もが典型的なパターンに乗っていくとは限りません。

無理にこのようなパターンに当てはめようとするのではなく、「あ、今はここにトライしてるのかなぁ」「先週・先月に比べてこんな風に変わったなぁ」というように、その子の変化に気付いてあげるというスタンスでいることが大切だと考えます。


まとめ

子どもの歩き方と、その変化(成熟)について考えてきました。

子どもは誰に教えられるでもなく、1歳前後で歩き始めます。

大人が歩いているのをマネしている部分もありますが、その中で自ら様々な試行錯誤を行い、バランスのとり方や、より効率的な歩き方を獲得していきます。

子どもの成長を見守る大人は、子どもの試行錯誤する頑張りや、それによって得られた成長・発達に気づき、見守ったり頑張りを褒めてあげたりしたいですね。

そのためには、今回理屈っぽく書いてきたような内容を知っておくと、気付くための手がかりになるのではないでしょうか。

ちょっとした変化・成長に気付けるということは、それを大人が喜べるのと同時に、変化に気付いて褒めてもらえた子どももきっと嬉しいはずです。

ぜひ、日々のちょっとした変化に気付けるために子どもを注意深く見てあげてください。


より深く学びたい方へ

『ペリー 歩行分析 原著第2版 正常歩行と異常歩行』
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成人の正常歩行から、今回紹介した小児の歩行、疾患別の異常歩行など、歩行について幅広い知見がまとめられています。



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