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クライアントの本当のニーズに迫る方法①ー環境や状況を分析する

今回は、理学療法士がマーケティングを学ぶと、臨床の能力が上がるということを書いてみたいと思います。

マーケティングを熟知している、臨床にマーケティング思考なんて必要ないと考えている、自分の臨床は完璧だと考えている、といった方は読む必要のない記事となっております。

先日、こんなツイートをしました。

なかなかの反響があり、みなさんマーケティング思考の必要性を感じているのかなぁと思いました。

そこで今回は、マーケティング思考を臨床にどう活かすのかについて考えてみたいと思います。

この記事を読むと、
✅️マーケティングがどういうものか、大枠がわかる
✅️臨床場面でクライアントの(本当の)希望や好みを把握できる
✅️クライアントに最適な介入方法を見つけられる


マーケティングとは何か?

では、そもそもマーケティングとは何なのでしょうか。

wikipedia先生によると、次のように説明されています。

マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
(Wikipedia: マーケティング)

理学療法士がマーケティングを学ぶことで、経営する能力を高めることができるのは当然として、臨床にどう結びつくのでしょうか?

臨床に活かすマーケティング思考を考える上で必要になるマーケティングの定義は、この後半の部分だと考えます。

顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

ここですね。

元々マーケティングは一般企業が行うこととして考えられてきたので、個人、特に理学療法士が臨床に応用するためのマーケティングとして、次のように言い換えてみたいと思います。

クライアントのニーズを解明し、クライアントにとっての価値を生み出すための介入哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

これは私が勝手に考えたものですが、どうでしょう?

こう考えると、理学療法士の臨床にも応用できそうだと思いませんか?


クライアントのニーズを解明するということ

理学療法士の行う理学療法は、基本的にクライアントのニーズに基づいて行われます。

意識レベルの低い方であったり、ご自身での意思決定が難しい方に対しては、ご家族のニーズに基づいて行われたりはしますが、基本的にはクライアントのニーズが最優先だと考えます。

では、理学療法士はクライアントのニーズを解明できているのでしょうか?

回復期を例に考えてみましょう。

脳卒中により片麻痺を呈し、回復期病棟で理学療法を受けている方。

希望や目標について伺うと、「家に帰りたい」「そのために動けるようになりたい」と話します。

ここで理学療法士は「よっしゃ、家に帰れるように頑張りましょう!」と短絡的に決めてしまってはいけません。

なぜでしょうか?

この方の話された「家に帰りたい」「そのために動けるようになりたい」というのが、本人の心の底から出てきた本当のニーズなのであれば良いのですが、これが本人の本当の希望もしくはニーズとは限らないからです。

もしかすると、経済的な理由から施設などへの入所は難しく、家に帰らなければならないと考えているのかもしれません。(経済的要因)

もしかすると、ご家族が「家に帰れるように頑張らないとダメ!!」と言っている、もしくは世間体を気にして家に帰らなければならないと考えているといった社会的な理由があるのかもしれません。(社会的要因)

様々な福祉用具や機器が開発され、しかも介護保険の適用になっているにも関わらず、それを知らないがために、動けるようにならないと家に帰れないと考えているのかもしれません。(政治的要因・技術的要因)

人は様々な要因が複雑に絡み合った環境に身を置いており、意思決定にも大きな影響を与えています。

この環境を分析するのにマーケティングの分析手法が使えるのではないか、というのが今回の提案です。


マーケティングの分析手法を流用する

マーケティングを少し知っている方は既に気付いているかもしれませんが、上で書いた内容も既にマーケティングの分析手法を使って分類しています。

マーケティングにおける分析手法には色々なものがあるのですが、今回はPEST分析というものを考えてみます。

PEST分析というのは、

Politics:政治的要因
Economy:経済的要因
Society:社会的要因
Technology:技術的要因

という4つの要因の頭文字を取って並べたものです。

この4つの観点から置かれた環境を分析しましょう、というものですね。

元々は企業が置かれたマクロ環境を分析するための分析手法なので、リハビリテーションとか理学療法に流用すべきものではないのかもしれません。

ちゃんとマーケティングを勉強している方には怒られるのかもしれません。

ただ、上でも書いたように、この視点を持ってクライアントの背景を分析するというのは有用なのではないでしょうか。


まとめ

ここまで、クライアントが置かれた環境や状況を分析するために、マーケティングの分析手法が使えるのではないか、ということを書いてきました。

クライアントが言ってくれたニーズが出て来た背景を分析することで、それが環境や状況が言わせているものなのか、本人が心の底から思っていることなのか、ということを明らかにしていけると考えています。

今回はPEST分析というものを流用して考えてみたのですが、その他にも様々な分析手法があるので、ちょっと調べてみると参考になるものが見つかるかもしれません。

ここまでマクロな環境を分析する方法、クライアントが置かれた環境や状況を分析することで、本当のニーズに迫っていく方法を考えてきました。

ここまでで長くなってしまったので、クライアントの本心に迫る方法については次の記事にしたいと思います。

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