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あの時、わたしは何から卒業したのか?/真野愛子

わたしは高校生の時、人見知りだったのでそれを悟られないようにみんなの前ではクールを装っていた。
きっと話しかけづらかったと思う。
自分ではクール女子を気取っていた。
そのせいか、在学中に一度も「好きだ」と打ち明けられることはなかった。
それは若干だが、悲しくもあった。

だからせめて卒業式では心を開こうと思った。

式を終えて、みんなが校庭でワイワイと騒いでいる中、わたしは写真部だったので校内のあちこちの景色をひとりカメラで撮ってまわることにした。
校舎、友人たち、恩師、バスケットゴール、空……。
普段はクールなわたしだけど、その時は思い出を焼き付けようとシャッターを切る女の子。少し、感傷的なのだ。
しかも、ひとり行動。
今なら告白してきても聞いてあげる素直さを持ち合わせている。
ずっとわたしから距離をとってきた男子たちよ、

コクるなら今よッ!

そう心で叫んだが、ついに告白してくる男子は一人も現れなかった(笑)。
わたしはとぼとぼ帰るしかなかった。


その時、気づいた。
わたしはクール美人を目指していたけど、まず美人タイプではなかった。
さらにクールでもなく、ただの人見知りの自意識過剰であるとやっと自覚したのだ。
その後、大学生になったわたしはもうニコニコしようと決めた。
この努力のほうが前向きな気がする。
制服と共にクール美人も卒業することにしたのだwww
初めて男性から告白されたのはその直後だ。

青春はあやまちに満ちているから愛しい。
卒業生のみなさん、おめでとうございます!
今頃、いろんな恋が咲いたり散ったりしてると思うけど、どっちの気持ちで眺めても桜はあなたに応えてくれる。

春は、女を処女に帰らせている。
この季節になると、わたしは今も期待と不安で胸がドキドキしてしまう。
あの時に撮った写真は今も机の中にあって、恥ずかしい自分の過去がちょっと愛しかったりするのです。

【真野愛子 プロフィール】
超インドアですが、運動神経はよい方だと思ってる20代女。料理と猫好き。創作ストーリー『暗闇で愛が咲く』に出演。将来の夢はお嫁さんw

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