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私を変えた3冊の本

私は読書が大好きです。
(トップ画は私の本棚の一区画です。本題にはあまり関係ありません。)

本には人を変える力がありますし、さらには社会すら変える力があると信じています。

第二次大戦前や戦中にナチスが最も恐れた武器は「本」だったとも言われています。

「社会を変える」という大きなテーマはさておいても、少なくとも私自身は、本によって人生が変わりました。

2016年4月 新卒で地元の市役所へ就職
2022年3月 地元の市役所を退職
2022年5月 YMSビザでイギリスへ渡航(ワーキングホリデー)
2024年5月 日本へ帰国(本記事執筆日現在)
2024年9月 イギリスで大学院へ進学予定

これは簡単な私の経歴ですが、新卒で市役所へ就職した時点では、

20代後半 結婚
30歳前後 子供が生まれる
30代後半 ローンを組んで家を買う
40~50代 それなりに出世する
60歳   定年退職
その後  悠々自適な老後

という人生を思い描いていました。

しかし、本のせいおかげで私の考え方や価値観は大きく変わり、どうしたことか、人生まで変わってしまいました。

これが将来的に吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、少なくとも今のところは楽しい人生を歩めています。

今回の記事では、そんな私の人生を変えるきっかけとなった本たちを紹介したいと思います…!


1 マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』

まず1冊目は、ハーバード白熱教室でおなじみの、マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』です。

私は市役所で勤務していた頃、税金関係の部署で働いていました。

上司や同僚には恵まれていたので、環境的にはそれなりに楽しく働くことは出来ていたのですが、正直に言うと、私は税金の納税が滞っている方への催促だとか、差押えといった仕事が本当に嫌いでした。

そして嫌いな仕事だからこそ、次第に「なぜこの仕事をやらなければいけないのか」理由を求めるようになったのです。

そんな私のもやもやを解消し、私の仕事に説得力を持たせてくれたのが、このマイケル・サンデルの著書でした。

この本では、現代の国家や社会を構成する、あるいはその過程となった様々な思想や哲学が紹介されています。

私が行っていた「税金を集める」という仕事も、元をたどれば民主主義的な「合意」の上に法律が制定され、行政による一定の権力の行使というものに正当性が認められている結果によるものです。

でもなぜ民主主義の結果、私の仕事が正当化されるのか?
なぜ国家や行政という権力が必要なのか?

こういった問いを突き詰めていくと、ロールズの正義論だとか、ミルやベンサムの功利主義、ロックやルソーの社会契約論に、国家の存在しない自然状態を「万人による闘争」と説いたホッブズの『リヴァイアサン』など、中学や高校で習ったはずの思想に行き当たることになります。

現在世界に存在する多くの国家制度は、それぞれこのような政治・経済思想によって支えられている部分もあり、これらの思想を学ぶことは、上記の問いの答えになるとは言わないまでも、自分たちが生きる社会を知るためのヒントになります。

知っていたつもりで全然知らなかった社会のこと、もっと身近に言えば、自分がやる仕事は決して「間違っているもの」ではない、ということを(再)認識させてくれたのがこの本だったわけです。

これをきっかけに、自分がより良い仕事をするために、あるいは地域や社会を少しでも良いものにしていくためには、「もっと多くの思想について深く知る必要がある」と思うようになり、私の中で"本当の読書の旅"がはじまりました。

おそらく、この本に出会うことがなかったら、私が大学院に進学して「行政学」を学びたいと思うこともなかったことでしょう。


2 リチャード・ドーキンス『進化とは何か』

さて、上記のサンデルをきっかけに、色々な思想へ足を延ばしていくと、

「自然主義」
「ダーウィニズム」
「進化論」

といったような言葉に出会うことが、たびたびあります。

これらのワードが気になった私は、同様に頻出のリチャード・ドーキンスという科学者の存在を検索してみると、『利己的な遺伝子』という本を書いた有名な科学者なのだということを知りました。

私の読書法的には、難しい本に取り掛かる前に、エントリーしやすい本を一度読むようにしているので、分厚くいかにも難しそうな『利己的な遺伝子』の前に、この『進化とは何か』を読んでみることにしたのです。

そして瞬く間に魅了されました。

私たち人間や、他の動植物たちが、今、この地球上に存在していることが、「どれだけありえないこと」なのか、とても分かりやすく解説されています。

本書では、それは「ごみ置き場を嵐が過ぎ去ったらジャンボジェット機が出来あがる確率」とされています。

もしこれが本当だとしたら、私たちがこの地球上に存在し、なおかつ自由を享受できる今の時代に、比較的豊かな日本という国に生まれたことは、とんでもない奇跡だということです…!

確率にすると0.000…の後ろに天文学的な数の"0"が並ぶわけです。

素直(?)で影響を受けやすい私は、この本に出会ってからというもの、地球上の生きとし生けるものが全て美しく見えるようになりましたし、より親に感謝の気持ちが芽生えるようになりました。

そして、もし自分という存在が本当に奇跡の結果だというならば、

「人生やりたいことをやらないわけにはいかない!」

そう思うようにもなりました。


ちなみに蛇足ですが、この本について留学中に韓国人の友人と話したところ、

「私は神様を信じている。でもドーキンスは神の存在を否定した。だからドーキンスは嫌い!」

という言葉を返されてしまった思い出があります。苦笑

でも、思想は異なれど、自分の信じるものを「信じている」彼女の姿に、「信じるものがある」というのは、なんだか素敵なことのような気がしました。


3 沢木耕太郎『深夜特急』

最後の1冊は、言わずと知れた冒険小説の金字塔、沢木耕太郎の『深夜特急』です。(上記の2冊とはだいぶ方向性が変わりますね。笑)

読んだことのある方も多いのではないでしょうか?

主人公が、香港からロンドンまで、陸路をバス(途中一部フェリーに乗る場面もある)で旅していく物語です。

この本は、なんというか、描写がすごいのです。

文章が生きていて、それぞれの国や文化に属する人々の生活の様子や「生きる」エネルギーが、文章からひしひしと伝わってくるのです。

それもそのはず、小説という体をとっているとはいえ、これは著者自身が若い時に実際に「旅」をした経験をもとに書かれている本なのです。

刺激に満ちた「旅」の様子は、私たちを「旅」へと駆り立てますし、なによりも、実際著者の経験に裏打ちされた文章は、私たちに著者が直面した景色を想起させる不思議な説得力を伴っています。

これこそまさに、私が日本を飛び出す決定的な根拠の一つになったのです。

「やはり、"経験"こそ全てだ…!」

と。


読書は人を変える!

私自身が経験者なので、今なら自信を持って言えます。

たくさん本を読み、良い本に出会うことができれば、人生をより良く変えていくことが出来ます。

そして、大事なポイントは「良い本に出会うこと」

人によって「良い本」の定義というものは異なるとは思いますが、私にとって上で紹介した3冊、特に1冊目のサンデルに出会って以降、書店で手に取る本と読書の質が格段に上がり、結果、自分の人生まで変わってしまいました。笑

まずは、興味のある本から読み始め、その本の中で紹介される本や思想、科学的な論文などで気になったものに芋づる式に触れていくことで、「良い本」に出会える確率は上がると思います。(…とは言え私も読んだ後に「読まなくてもよかったな…」と思う本に出会うことは往々にしてあります。)

良い本にたくさん触れて、より良い読書を続けて行きたいですね!


…とまぁ、ここまで偉そうに語ってきましたが、私の知識や経験はまだまだ浅く、読んだ本の数も、本当に読書が好きな人のそれに比べたら大したものではありません。

それでも、今回紹介した3冊は、私の冒険の出発点にあたる重要な意義を持つ本たちなので、どこかのタイミングでnoteで紹介したいと、2年前からずっと思っていました。笑

最近ちょっとずつフォロワーさんも増え、特に海外志向の方も多いので、「本」を読むことが行動の後押しになることもある、というメッセージが今回の記事で発信できたのなら幸いです。


…さて、それでは私は、積読本(今のところ15冊)の解消に励むとします。


今回もお読みいただき、ありがとうございましたー!!



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