赤星 治

昼は飲食関係の仕事、夜は執筆活動を心がけています。 主に短編小説(ジャンルは様々で決まっていません)をnoteに投稿し、たまに記事も投稿しています。 週一回、日曜日に作品を投稿するルールを自分に課せて精進しています。 長編小説はアルファポリスに投稿しています。

赤星 治

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  • 短編小説(一話完結)

  • 【雑文】何気なーい短文

    なにげなーーく、ただ、適当に思った事を書いただけ

  • ちょっとした話シリーズ

    ”男”と”女”。それぞれの些細な日常や心情を描いたショートショート。

  • 二十四節気短編

    二十四節気をテーマにした短編小説です。

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【ちょっとした話】怖い不思議な話・招き猫の置物

 男は玄関に置いている置物を正面に向けた。  置物は父が買ったもので猫が両手を挙げている全体的に丸い置物。一般的によく目にする定番の形ではないが、いわゆる招き猫だ。  骨董品店にて“何か呼ばれている気がしたから”という意味深な理由で買ったのだから、奇妙であり、宜しくない幽霊の方々まで招き入れそうな雰囲気が若干漂っている。男が密かに抱いている思いである。  僅かばかりの不安を抱えながら過ごす内、とうとう男の前では奇妙な事が起きた。父が買った十日後のことである。  男は招

    • 【感想】創作大賞2024を終えて

       創作大賞2024、とうとう終わってしまいました。そして、参加した皆様、お疲れ様でした(^^ゞ  今年は昨年と比べてかなりの応募部門があり、あれもこれもと応募したい精神が激しく揺さぶられました。本イベント予告当初は、挑戦しようとした作品+漫画原作を三作ほどと考えてました。しかし結果は長編と短編が一作ずつ。これが現実でした(^_^;)  この度、創作大賞2024にて頑張ったこと、感想、これからにむけてを綴っていこうと思います。 1 挑戦した作品 創作大賞2024で私が挑戦し

      • 【短編】七日後の完全犯罪 十四話 完

         八月十五日午前九時。  光清町の駄菓子屋・かがやは、夏の時期にかき氷を販売している。  殺人事件が起きなかったことを確認し終えた憂志郎は、返る前にかき氷を注文していると、偶然晴子と出会った。  咄嗟に「食う?」と訊くと、即答で「うん」と嬉しそうに返される。  憂志郎はメロンで晴子は宇治金時。一番高いかき氷であった。  二人は近くの木柵に凭れて食べた。 「羽柴さん、全然探すの苦労したんですよ。それに神輿の練り歩きも順路変わって現場に人が寄らない環境できて、気が気でなかったん

        • 【短編】七日後の完全犯罪 十三話

           八月十三日午前六時。  目覚めた憂志郎は焦った。昨晩の寝る間際まで分からなかった違和感の正体に気づいたからだ。  あれほど酔っていた住職は朝の勤めを終え朝食を取り始めていた。軽くだが朝食を頂いた憂志郎は支度を調えて外へ行く。 「随分と早いなぁ」 「ええ。今日中に調べないとならないことを思い出して」  愛想笑いで返し、夜に戻る旨を伝えて寺をあとにした。  昨晩の話で容疑者は二人に絞られた。どちらかが犯行に及ぶ。  そもそもこの殺人事件は先入観を優先しすぎて考えていたからここ

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        【ちょっとした話】怖い不思議な話・招き猫の置物

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        • 奇しき世界【長編・現代ファンタジー】
          25本

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          【短編】七日後の完全犯罪 十二話

           八月十二日午後四時。  松栄屋は半壊で営業できる状態ではない報せが入った。  晴子、源一、ヨネは、清月館の支配人の温情により別館の物置代わりの空き部屋を借りて数日住まわせて貰うことになった。今まで手を取り合った成果か、こういう窮地では助けられたのは今まで協力しあった賜物だろう。  この繁忙期に手助けも出来ないもどかしさもあり、清月館の手伝いをしたいが、現場検証や予約客への連絡と忙しいからそうもいかなかった。  憂志郎はさすがに泊まれないとあり、寺の住職へ無理言って泊めて貰う

          【短編】七日後の完全犯罪 十二話

          【短編】七日後の完全犯罪 十一話

           八月十二日午前九時十五分。  憂志郎は寺の釣り鐘の傍の縁石へ腰かけ煙草を吸った。  動機から犯人の目星もつかない。  犯行現場から誰がどう動くか想像もつかない。  当日のアリバイがどうなっているか知らないので崩すなど到底無理。  犯行当日は繁忙期の真っ只中、なぜ犯行が達成出来たのか不思議でしかない。  一つも解決しない謎だけが山積みだ。 (さぁ、いよいよ分からなくなってきたぞぉ)  大きく煙草を吸い、ゆっくりと大量の煙を吐いた。それで煙草が切れ、昨晩買った物を開けようにも

          【短編】七日後の完全犯罪 十一話

          【短編】七日後の完全犯罪 十話

           風呂屋から帰宅した憂志郎は、部屋の窓を開け、網戸越しに煙草の煙を外へ吐いた。今日は夜風が微かに吹き込み良い心地にさせる。  全員の動機を探ろうにも、全員が酷く憤りを感じる様子を示さなかった。不満がある程度だと感じられる。 (普通、本心隠しながら生活するわなぁ)  これで犯人が分かれば苦労はしない。ここ最近携わった縁害案件は抑えるのも必死な憎悪が日常生活にも現われていたから見つけやすかっただけで、本来はこれほど難しいのだと思い出す。  動機から目星を付ける作戦は失敗に終わった

          【短編】七日後の完全犯罪 十話

          【短編】七日後の完全犯罪 九話

           八月十一日午前九時、『田中酒造』へと訪れた憂志郎は店員の女性と世間話をした。女性は田中康三の母親である。現在、田中酒造の店主と康三は配達に出ていて不在だ。 「これも祭りが近いからですか? 人が多いのって」  お盆時期の帰省は予想していたが、賑わう都会の下町ほどの多さは正直に驚いた。今日は午前九時でもとりわけ多く見られる。 「この時期はみんな帰ってきてるからねぇ。挨拶回りや友達と会いに行ったりしてるのかも」  沖島郷三郎が町へ訪れてから強面の連中をよく見かける。すでに三名は顔

          【短編】七日後の完全犯罪 九話

          【短編】七日後の完全犯罪 八話

           黄暁の通りが消えかかる頃に憂志郎が到着した。 「はぁはぁはぁ、はぁ、あぁ……やられたなぁ」  行脚僧が憂志郎に気づいて方向を変え、ゆっくりと歩み寄る。 「羽柴さん!」  ようやく追いついた晴子は状況がまるで分からないが、あからさまに陰りを纏う行脚僧に危機感を抱き、恐れ、すかさず憂志郎にしがみついた。すると、行脚僧が姿を消し、すぐ傍に現われた。 「きゃああ!!」  あまりの恐さに晴子は憂志郎の背に顔を埋めた。 「其方も死者に?」  行脚僧に聞かれるも、憂志郎は平然と返す。 「

          【短編】七日後の完全犯罪 八話

          【短編】七日後の完全犯罪 七話

           八月八日。洋佑は珍しく陽が昇り始めた明朝から家を出た。  あちこちにガタが来ている自転車を久しぶりに乗り、昨晩印を入れたトンネルへと向かう。  長い間運動とは無縁の生活が祟り、加えて錆び付きが所々にある自転車はペダルが重い。走り始めて十分で息切れが生じてしまった。それでも穂香に会いたい気持ちがペダルを動かす。  どれほど気持ちは強くても身体はついていかなかった。体力も足もすぐに限界に達してしまい、自転車を押しながら歩いて向かった。  正午前、ようやく一つ目のトンネルへ到着。

          【短編】七日後の完全犯罪 七話

          【短編】七日後の完全犯罪 六話

           沢木源一(四十二歳)松栄屋主人。  沢木ヨネ(三十九歳)松栄屋女将。  鈴木市子(二十三歳)松栄屋従業員・接客。  広田良江(三十二歳)松栄屋従業員・接客。  富田昭三郎(三十五歳)松栄屋従業員・調理場。  田中康三(二十六歳)酒屋従業員。  加山幸(三十四歳)旅館従業員。  広岡清太(二十四歳)清掃員。  名前を見た途端、開口一番晴子は「無理です」と告げた。 「ん?」 「だって八月十四日って、すごっく忙しいんですよ! ウチで働いてる皆は休みがあったら寝るとか言うほど疲れ

          【短編】七日後の完全犯罪 六話

          【短編】七日後の完全犯罪 五話

           八月十日午前十時。  憂志郎は郷三郎の宿泊する旅館と、容疑者八名のアリバイ場所を調べに向かっている。予定していた時間配分は大幅に狂い、自然と早歩きになる。  容疑者に関係している場所を三日以内に全て回る計画は十日時点で崩れた。八名とも町の端から端まで点在して住んでおり、尚且つ行く先々で郷三郎の噂話が耳に入ってくる。ついつい盗み聞きに時間を使いすぎたのも時間を費やした原因でもあった。  夏の風物詩である蝉の鳴き声は相変わらず騒音を維持し、照りつける日光はジリジリと暑く汗が止ま

          【短編】七日後の完全犯罪 五話

          【短編】七日後の完全犯罪 四話

           夕暮れ時、近所の風呂屋から戻った憂志郎は松栄屋へ客として訪れた。夕食目当ての来店。早速、ヨネと晴子がまかない飯を勧めた。  頼ってばかりでは自分の為にならないとの口実を貫き客として扱って貰えた。格好をつけてはいるが、抑えなければならない出費を考慮してご飯と煮物三品で手を打った。  粗食? と晴子に思われるも、あまり動いてないし昼間の素麺が残っているとを言い訳に、本音を隠し通して我慢する。もっと食べたい気持ちは強い。  その日は客が多く、相席で座ることになった。そしてその相席

          【短編】七日後の完全犯罪 四話

          【短編】七日後の完全犯罪 三話

           八月七日午前十一時三十分。  松栄屋厨房横の部屋に憂志郎は案内された。  長机には素麺、筑前煮、ほうれん草のごま和え、そして角切りのスイカが並べられ、上座に沢木夫妻が並んで座った。  二人の向かいに板場を任されている二番手の富田昭三郎。その隣に憂志郎は座った。  他にはホールスタッフの鈴木市子がいる。 「ちょいと昼時には早いけどすまねぇな」  源一はコップに入れた麦茶を憂志郎へ手渡した。その流れで自分は二杯目を淹れて飲む。 「滅相もありません。昼飯頂けるなんて、申し訳が」

          【短編】七日後の完全犯罪 三話

          【短編】七日後の完全犯罪 二話

           昭和四十二年八月七日午前九時、山間の町・光清町。小さいながらも栄えた町には木造家屋が軒を連ねる所や、石畳の大通りの沿いには商店や宿、料亭などが建ち並ぶ。町から出ると田畑があちこちにあり、今は田んぼの稲も緑の草原さながらに茂っている。  羊皮紙の指示書に記された令文を頼りに、憂志郎は光清町青木地区を歩いている。令文には条件を達成しなければならない居候先を記している。 “一つ、八月七日午前九時二十三分、青木地区三番地三叉路にて少女介抱。 一つ、八月七日午前九時三十一分、青木地

          【短編】七日後の完全犯罪 二話

          【短編】七日後の完全犯罪 一話

           昭和四十二年八月十四日。  夏真っ盛り、お盆祭りの只中に、ある町で殺人事件が発生した。凶器は出刃包丁、背中を二箇所刺されての犯行だ。二回目の刺し傷で心臓を貫かれて被害者は即死した。  死体発見現場には草履の足跡が二人分あり、捜査の末、容疑者も八名まで絞れた。  すぐに犯人は捕まる事件だと思われたが、八名とも犯行時のアリバイが成立し、他の容疑者も浮上せず未解決事件となった。  ◇  コツ、コツ、コツ……。石床の廊下に男の革靴の足音が響く。  天井に設けられた電球は一つ一つ

          【短編】七日後の完全犯罪 一話