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二十四節気短編

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二十四節気をテーマにした短編小説です。
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記事一覧

【二十四節気短編・大寒】 気の合う二人 

1 独身を貫き通す理由  空には濃い灰色が混ざる雲があちこちに漂い、風は吹いているが強す…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・小寒】 奇跡も意味が無い時はある

○ 独白・1 冷めやすい性格  年末の気忙しい期間を終えて年を越し、毎年恒例の新年の明る…

赤星 治
2年前

【二十四節気短編・冬至】 互いの心を知らない、父と娘の話

1 ヒロシの心情  ヒロシが家の戸を開けて中へ入ると、"我が家の生活感漂う匂いと暖かい空…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・大雪】 金曜日の足跡

1 途切れた足跡 ヒナタは通学に利用するバス停から五十m程歩いた所で何かに気付いてて立ち…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・小雪】 先輩の代わり

1 不思議なバー  『人の気をひく魅力ある言葉』を上げるなら、【不思議】というのは上位に…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・立冬】 檻の楽園と旅人クオ

1 檻の外のクオ  クオは檻の外の人間だ。  檻の中のトマはクオと仲良くなった。  広大な…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・霜降】 証明のプラチナストーン

1 古代遺物調査員ギルバート  これはある街での物語。  石畳の道路に歩道。二種類の道を隔てるように、所々ガス灯が設けられている。  運河にかかる石橋。  建築物の殆どはレンガ積みが多く、他にも土壁や木造、石を加工した石積みなど、様々な家屋や三から五階建ての建築物が並ぶ。    この街では景観を大切にする意識が強く、建物の材質や外壁の色が違っても、建築の際に街の取り決めにより建てたれるので、景観が崩れることはなかなか無い。  石材が多いのは、街の歴史において石加工に関する職

【二十四節気短編・寒露】ハヤミさんの教え

1 謎の存在、ハヤミさん  それは10月8日。寒露と呼ばれる節季を迎え、空気も秋の雰囲気…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・秋分】 クネクネ

1 黒く、踊る  チィーチチチチチ……。  蜩の鳴き声が遠くで響いている。けど数はそれほ…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・白露】 残暑の陽炎

俺-1 紹介   彼女と会ったきっかけは取材だった。  取材と言えば雑誌記者のように聞こえ…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・処暑】 語る僧侶と屋敷の主

1 少年の見た僧侶  少年がその僧侶を見て抱いた違和感の正体は最後まで分からなかった。  …

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・立秋】 花と結ばれる苦難の道

1 高嶺の花と彩りの花  八月八日。  世間は連日の酷暑に異常だなんだとニュースやワイドシ…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・大暑】夏の初めのSSW決定戦

1 開幕  二✕✕✕年七月二十日、第五回SSW決定戦が開幕した。  SSWとは、『Summer S…

赤星 治
2年前
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【二十四節気短編・小暑】 七の祈願

1 死んだ幼馴染 『七月七日午前七時七分に▢〇神社でお参りすると、会いたい人に会える。この時、賽銭箱へは七百七十七円を入れて願わなければならない』  ▢○町に伝わる七夕伝説である。  昔からの言い伝えられた伝説も、当然ながら時代の流れと共に信憑性が薄れて迷信だと思う人が増えた。さらにこういった金銭が絡む伝説は、祭りの資金稼ぎのために作られたとも噂されている。  どちらにせよ真偽は不明だが、子供騙しの伝説扱いなのは変わりない。  しかし、七夕伝説には裏情報もある。  七月