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コロナが不動産に与えた影響~数少ない「コロナで儲かった」業界~

こんにちは。
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今回のテーマは「コロナ×不動産」

コロナ渦でもマンションの高騰がニュースになっています。
2021年には東京23区の新築マンション平均価格が「1億円」を超え、社会を驚かせました。

給料も下がってボーナスも減っているはずなのに、何で不動産価格には影響が出ていないのか。

街の不動産屋に聞いても、

「今は上がってる時期だし、金利もいつ上がるか分からないから買いだよ」

と、根拠がない営業文句ばかり並べるので、
今回はマクロ的に、かつ、客観的にコロナ期の不動産市況を分析していきます。

コロナ直撃時の不動産業界は・・・

2020年4月、コロナによって最初の緊急事態宣言が発令されたとき、不動産業界の人間は一様にこう思いました。
「上がり続けていた不動産価格がこれで下落する」

コロナ以前の不動産市況ですが、2013年のアベノミクス以降、価格は上がり続けていました。
ただ、不動産業界は「10年1周期」と言われており、そのタイミングでコロナが来たため、不動産価格は下落に転じるとプロでさえ思ったのです。

正直、大手不動産会社で働く私も当時はそう思いました。

しかし、フタを明けてみると、緊急事態宣言解除後不動産価格は下がるどころか、むしろ上がり続けているのです。

多く業界で企業業績は悪化しており、経済は疲弊しているのに、なぜでしょうか。
リーマンショック時と比較してみると分かりやすいです。

金融経済を直撃したリーマンショック

2008年のリーマンショックは金融経済をモロに直撃しました。
金融機関が一種の「マヒ状態」に陥ったのです。

不動産は個人が家を買うにせよ、投資するにせよ、あるいは法人が不動産を買うにせよ、資金調達で圧倒的に多いのは「銀行ローン」です。

その銀行が機能不全に陥ったことから不動産価格が下落し、しかもそれが長期に及びました。

コロナは実体経済への影響大、しかし・・・

コロナも不動産業界に大きな影響を与えたことは間違いないです。
4月5月は営業所を閉じた不動産会社も多く、空けていたとしても文字通り「開店休業状態」でした。

こうなると、契約はおろか物件の紹介すらままなりません。
約2か月不動産取引がストップするという前代未聞の事態に陥ったのです。

コロナ渦の金融経済

ただ、リーマンショックと違い金融経済へのダメージは比較的小さかったといえます。

株価が上がり続けていることからも、金融経済へのダメージが限定的だったのは一目瞭然。


1998年~2021年の日経平均株価
2008年のリーマンショック時は18,000円→7000円まで落ちたのに対し
2020年のコロナ時の下落幅は24,000円→19,000円程度、しかも早期に回復
出典:http://apl.morningstar.co.jp/webasp/marketevent/page/r2008.html

金融経済が衰えていない、ということは銀行はローンに積極的な状態が続いているということ。

低金利は続き、中小企業支援など、銀行も融資に積極的な姿勢を続けたことから不動産を買いやすい環境は続いていたわけです。

これらの要因から、緊急事態宣言が明けると2か月間の鬱憤を晴らすかのように不動産取引が活発化したのです。

国交省発表の不動産価格指数(令和3年9月)に基づき著者編集

上のグラフは国交省が公表している不動産価格指数(住宅のみ)の2008年からの推移です。
リーマンショック後は、2011年に東日本大震災が起こったこともあり、不動産価格は低迷が長引きました。
上昇に転じたのは、2013年のアベノミクスがきっかけでしたが、ここまで約4年を要しています。

一方のコロナ渦の影響。
数か月下落があったものの、その後V字回復するという、誰も予想しえない事態となったのです。

冒頭でも例に出したように、特にマンション価格の高騰はすさまじく10年前の1.7倍にまでなっています。

コロナが生んだ「住み替えブーム」

そしてコロナをきっかけに起こったのが、空前の住み替えブーム
テレワークが普及したことから、「会社までの距離」より「家・部屋の広さ」を求める住み替え需要が急増しました。

「会社に行く機会も減ったし、多少遠くても書斎がついている家の方が在宅ワークもはかどるな」

というニーズが激増しました。

しかし、売り物件の数は少ない状況のまま。需要過多の状態になり、価格は上がることとなりました。

東京オリンピック無観客という「福音」

新国立競技場

東京オリンピックが「無観客開催」となったことも実は関係しています。

コロナ前の2019年(オリンピック前年)、不動産業界はオリンピック後開催後の急速な景気後退を懸念していました。

ただ、オリンピックが延期され、しかも無観客開催となったことで、幸か不幸か「誰もオリンピックへの経済効果を期待しない」状態になったのです。

オリンピックが無観客開催になったことで、経済的な熱狂を生み出すことはできませんでした。
ただ、その分揺り戻しもなく、オリンピックが終わっても不動産市況は堅調に推移しています。

不動産種別ごとの影響度の違い

業界としてはコロナのダメージをあまり受けていない部類に入りますが、不動産の種類(アセット)によって影響度は大きく変わります。
ホテルなどの宿泊系不動産、店舗・飲食店などの商業系不動産は大ダメージを受けました。

一方で、巣ごもり需要増加により、倉庫など物流系不動産は非常に好調です。

コロナの影響およびリスクをアセット別に分類すると以下のようになります。

今後の不動産市況はどうなる??

誰もが気になる2022年以降の不動産市況。

私も営業マンとして多くの不動産会社、デベロッパー、ファンド・リートといった投資家、金融機関の人と話しますが、誰もが

「しばらく不動産価格が下がる要因が見当たらない」

と答えています。

2021年、アメリカの金利上昇や中国恒大集団の破綻など、不動産価格が下落に転じるきっかけはいくつかありました。

ただ、いずれも影響がほぼなかったことで、「しばらく不動産価格の高止まりは続くだろう」という考えが支配的です。

怖いのは、「コロナの再拡大による緊急事態宣言発出」や「東日本大震災のような巨大災害」といった天災地変です。

コロナや大災害が不動産価格下落を引き起こす可能性は十分にあるでしょう。

まとめ

コロナ流行が始まって2年が経とうとしていますが、不動産へ与えた影響は限定的でした。
むしろ、世界的なカネ余りの影響で、価格は上がり続けています。

この辺り、リーマンショックとは状況がかなり異なります。

そして、「今のところ」不動産下落の兆候は、業界内では見えてきていません。
コロナの状況や、天災地変など突発的な事変による急落は可能性としてあり得ますが、
大事件がなければ不動産の高止まりは2022年も続きそうです。


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