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「障害年金」と「雇用保険の基本手当」は制度上併給可能だが、一部疾患の場合、どちらかの制度利用の際に嘘をついてしまうことになりえる

社会保険労務士の松原です。

【本日のテーマ】
「「障害年金」と「雇用保険の基本手当」は制度上併給可能だが、一部疾患の場合、どちらかの制度利用の際に嘘をついてしまうことになりえる」

     
利益を得る目的で事実と異なる申告をして現実にお金を受け取った場合、「詐欺」になりえます。…

      
ではどうぞ。↓
      

「障害年金」と「雇用保険の基本手当」の併給についてお客様から質問、相談をお受けすることがあります。その際に必ずお伝えする内容について、説明するものです。
          

■それぞれの制度の基本的概念

  • 障害年金:一定の障害状態にある方に対し支給される公的年金で、労働や日常生活上の実用性低下・喪失に対する補償として機能

  • 雇用保険の基本手当:いわゆる「失業保険」は、失業中の生活を支援するための公的保険であり、就職する体力と意欲があり求職活動をしていることが受給の前提条件

■併給におけるロジックと問題点     

【労働能力の有無と求職活動の矛盾】

  1. 障害年金の認定基準:障害年金を受給するには、一定の障害等級に該当していること、具体的には、労働能力が著しく低下していることが条件として挙げられます。特に精神疾患の場合は、職場での意思疎通や社会生活上のコミニュケーション能力に制約が加わっていることが加味されます。内部障害の場合は、契約した時間、指示された仕事に従事できるのか?ということが重要な要素になりえます。

  2. 雇用保険の求職条件:就職する体力と意欲があり、積極的に求職活動を行っていることが求められます。受給者が労働市場において「今すぐ働ける状態」であることを前提とする保険だからです。       

【嘘をつくことになる可能性?】

例えば精神疾患によって障害年金を受給している人は、“労働能力が制限されていること”を前提として認定されています。しかし、同時に失業保険を受給するためには、“就労可能であること”を証明しなければならない。この状態は完全に矛盾しており、どちらか一方に嘘をついていなければ併給できないということが言えてしまいます。            

【嘘にはならないケース】      

(例1)
夜間人工透析を受け障害基礎年金2級を受給。昼間は、一般就労している方がおられるとします。昼間の仕事がどうも自分の適正に合わない気がしたので自己都合退職することにした。自分に向いている仕事を探すため求職活動をし、当面は失業保険を受け取る。障害年金と併せて生活は維持できる。
→ 就労と給付の理屈が矛盾しないため併給に問題はありません。
      
(例2)
心臓の持病が悪化してペースメーカーを装着し障害厚生年金3級を受給。一般就労している方がおられるとします。勤務先の経営が悪化したため早期退職に応募をし、この会社の立場にはピリオドを打つことにした。でも、まだ65歳まで数年あるので昼間の仕事は探す。求職活動中は失業保険を受け取る。障害年金と併せて生活は維持できる。
→ 就労と給付の理屈が矛盾しないため併給に問題はありません。  
       
「障害年金」と「雇用保険の基本手当」の併給とは、本来こういう使い方をするものです。  

■解決方法と注意点

  • 適切な情報確認:適切で正確な情報を確認することが重要です。不正受給は法律違反。ペナルティが科される可能性があります。

  • 専門家への相談: 障害年金や雇用保険に関する申請や併給に関しては、専門家(社会保険労務士など)に相談することが推奨されます。



 
最後に念のため付け加えます。
         
       
「だったら、先に失業保険を全部貰い切ってから、障害年金の請求をすれば良いですか?そうすれば損しないですよね?どうなんですか?」というお話になるケースがあります。それも、医師が書面上でそういうふうに判断すればいいんじゃないですか?的な。つまり、「失業中はやる気が見えたので就労可能と判断したけど、何社面接を受けても採用にならないことで塞ぎ込みがちになり、失業保険日数を受給し切る頃には、就労不可と判断せざるを得ない状態のようです」ーこう医師が判断を変える“前提”で制度を使う、、、ということです。
     
       
こちら、「制度上併給できるけど理屈に合わない。」という現象を理解した前提でそうされるとなれば、制度を曲解されているというか、お気軽すぎるというか、違うんじゃないですか?
と指摘せざるを得ません。「まず現実があって、その時点で適合する制度を利用する」これが例外なき原則的順序です。
       
         
本文を読み進めてこられたら、社会保険労務士がこう考える意図はお分かりいただけると思います。だから、先のような質問をされても同意を与えることはありませんし、そのように勧めることもありません。もし同意を与えたりそうするよう勧める社会保険労務士がいたら、関わりを持つことは控えた方が良いかもしれません。
        
        
胸を張ってそうしたのだと言えるかレベルに、結構大事な話だと私は思います。


まとめ:

説明をかりやすくする趣旨で精神疾患を取り上げましたが、癌疾患をはじめとした内部障害でも同じことが言えます。障害年金と雇用保険の基本手当を併給することは制度上可能ですが、それぞれの制度の要件を満たすことに矛盾が生じやすくなります(というか矛盾します)。
ふたつの制度の利用を検討されている場合は、慎重に対応されてください。
       

       

     
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