kaisei_readingcompany

うっちーとさっちーの2人で運営してます。それぞれが最近読んだ本、観た映画、聴いた音楽な…

kaisei_readingcompany

うっちーとさっちーの2人で運営してます。それぞれが最近読んだ本、観た映画、聴いた音楽などについての感想、考察についての記事を書いてます😃

マガジン

最近の記事

現代における父親的なものの不在 〜「破局」 遠野遥〜

 163回芥川賞を受賞した「破局」を読みました。主人公のラグビーに打ち込む陽介、その親友の膝、陽介の恋人の麻衣子、陽介が恋してしまう灯。  描写の鮮やかさ、登場人物の現代感、物語の展開、一気に読めてしまうのに読了後に残る衝撃の強さが印象的な本でした。  以下は、主人公を中心にした記事作成者の感想および考察記事になります。新鮮な気持ちで読みたい方は読まないでください。   それでは行きます。 主人公のキャラクター この本を読み終わって、まず最初に感じたことは「主人公はどこ

    • 【感想】感じたことが全て、PHANTASMAGORIA

       たむらしげるの絵本はまだあまり読んだことがないけど、どの作品もきっと好きになってしまう、そんな気がする。  PHASTASMAGORIAは小さな惑星で、星空を映し出す映写機や、コーヒーポットの形をしたカフェや、雪だるまが作った冬だけの文明都市や、ガラスの海や、全てのものが四角になってしまうゾーンや、1年中雨で巨大きのこが成長している村や、密造酒を作っている町や、星人間が集まる酒場や、海に浮かぶリカーショップや、落ちてきた流し星を採取できる丘や、固形化した虹から絵具を取る人

      • 人間ぎらい、モリエール

         17世紀のフランスの劇作家、モリエールの喜劇「人間ぎらい(原題:Le misanthrope)」。  主人公のアルセストは世間と調和をはかることを嫌がり、自分の正義を貫く青年です。あまりに自分の正義を優先する彼に対して、友人のフィラントとエリアントは彼に忠告しますが、アルセストは全く聞く耳を持ちません。それでいて社交界に染まり切ったセリメーヌからの一途な気持ちを得ようとするアルセストは最後には恋に破れて人間社会から逃れる決心をします。  正義を貫くことと、他者や社会とうまく

        • 村上春樹、スプートニクの恋人

           「スプートニクの恋人」はなぜか好きな作品で、本棚の大量の本の中にあって、タイトルを見るだけでなんだか胸踊るような、読みたくなるような、ちょっと光って見える作品です。  なんでそんなに自分にとって良い本だったのか、久しぶりに読み直してみました。ネタバレが目的の記事ではありませんが、好きな文章を抜き出したり、感想を書いているので、まだ読んでなくて新鮮な気持ちで読みたい方は読まない方がいいかもしれません。。。 それがすべての物事が始まった場所であり、(ほとんど)すべての物事が終

        現代における父親的なものの不在 〜「破局」 遠野遥〜

        マガジン

        • 村上春樹
          3本

        記事

          【感想】僕の名はアラム ほのぼのとしたユートピア的物語集

           家族というコミュニティの中でのユートピア的物語集。アラムという主人公の少年を中心にして、ゆるゆるなおじさんたちが出てくる。 印象的な話があったり、たまに出会うキラッと光る文があったり、いろんな種類の楽しさがある短編集だなあと思いました。その中でも特に印象に残った短編を紹介します! 美しい白い馬の夏 およそ十一世紀にわたって正直で有名なガログラニアン家だが、アラムのいとこで一族の頭のおかしい系譜を継承しているムーラッドが盗んできた美しい白い馬を夏の1ヶ月の間で乗りこなそうと

          【感想】僕の名はアラム ほのぼのとしたユートピア的物語集

          【感想と考察】「風の歌を聴け」ハートフィールドについての創作的考察

          感想 軽やかで自由、気負うところがなく、書きたいように書いている、という感じの小説でした。村上春樹のデビュー作で、これも7年前とかに読んだ本だけど、心に残っていた印象的なフレーズも結構あったなあ。 村上春樹が文章の殆ど全てを学んだけど、全ての意味で不毛だったデレク・ハートフィールドという作家については気になったので、どんな人だったんだろ、と思い一冊本を読んでみました。 印象的なフレーズ風の歌を聴け  タイトル。センスだよなあ。本文中で「風」というのは、「生もなければ死

          【感想と考察】「風の歌を聴け」ハートフィールドについての創作的考察

          【感想と考察】「1973年のピンボール」でのピンボールとは

          読了後の感想7年ぶりくらいに読んだけど、思ったよりも面白く読めたし、最後のピンボールとの会話のシーンは、読んでる途中で、まじかあ、と顔をあげて感慨にふけってからまた読み進める、みたいなことになりました。 他の村上春樹の作品と比べて、若い人(自分も含めて笑)が読むには決して読みやすい小説ではないけど、なんか分かるなあ、という気持ちには辛うじてなれる。出版と同時に村上春樹と同年代の人が読んだらすごくよく分かる小説なんでしょうかねえ。 この小説は、時代背景を知らないとよく分からな

          【感想と考察】「1973年のピンボール」でのピンボールとは