映画『パルプ・フィクション』感想
予告編
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PG-12指定
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クエンティン・タランティーノ監督の生誕60周年を記念して、本作『パルプ・フィクション』が明日の3/24(金)から一週間限定で全国上映するんですって。
僕も4年前、”午前十時の映画祭” でのリバイバル上映に合わせTOHOシネマズ新宿にて鑑賞しておりました。
その当時の感想文ではありますが、もしよろしければ読んで頂けたら嬉しいですー。
映画は乙に済ましてナンボ♡
TOHOシネマズ新宿でリバイバル上映(午前十時の映画祭)していたので久しぶりに鑑賞。やっぱりクエンティン・タランティーノの映画は本当に素敵♡。(吹替にせよ字幕にせよ)洋画のこういうセリフ回しが私のツボにドンピシャなんです。(映画『レザボア・ドッグス』(感想文リンク)を観た時にもほぼ同様のことを思いましたけど→)『ミザルー』が流れるタイトルバックまでのオープニングシークエンスのかっこ良さからしてまず見事。なんだこのシャレた会話は笑! 私のような、アメリカに行ったこともないのにアメリカかぶれな男には堪らない、キザな言い回しの雨あられ。ド頭から心を鷲掴みにされ(もう何回も観てるんだけどなぁ…)、そんな時間が延々と続く。だからいちいち全部書いていたら切りが無い。中盤のツイスト大会のシーンもかっこ良過ぎる。いや違うな、ちょっと古い言い方だけど、“イケてる” んだ。っつーかあの店どこだ? 行きたい笑
以上のような色眼鏡チックな感想を排した上で、改めて本作の魅力を考えてみようと試みたのですが、これがなかなか難しい。最終的な結論を観客に投げ掛けたようなラスト(ただ気取った終わり方をしたかっただけかもしれませんが)のせいもあるだろうけど、ただ、1つハッキリ言えるのは本作の魅力の大部分を、サミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスが担っているということ。
彼は殺人の前に聖書の中の一節を読む(序盤のシーン)。そこに至るまでのセリフも然ることながら、“これから人を殺そう” って輩が神の言葉をツラツラと宣うという毒っ気たっぷりのユニークな構図も相俟って、脅しの文句であると同時にエンタメ性をも纏ったシーンになっていた印象です。そしてクライマックスでも同様の状況になる。とはいえここでは、逆に銃口を突き付けられながら(殺害宣告と同義?)同じ言葉を口にする。しかし今度は脅しの文句から自身への問い掛けへと変わっているようにも見え、物語の伏線回収、潜在していたテーマの回収も、同時に行なっている。それまでに描かれた物語のそれぞれが記憶の中で “群像劇の一部” から “映画に隠されたテーマの伏線” へと変貌する感じ。「実は伏線でした」と知らしめるスイッチの入れ方が実にかっこいいのです。
彼のそのセリフが生み出した問い
——心正しき者とは?
心悪しき者とは?
強者とは?
弱者とは?
善悪とは?——。
映画の中で描かれた幾つもの物語のそれぞれにこの問いを当てはめると混乱してくる。
ヤクザの男が堅気の人間に助けを求めることもあれば、堅気の人間がヤクザに対して「ふざけんな!」と怒鳴り散らすこともある……。
またある時は、さっきまで殺されそうになっていた奴が、自分を殺そうとしていた男を助けようとする……。
時には、強者が弱者に助けを求めたり、悪人が善人の皮を被っていたり……。
そしてそんなセリフを口にしているジュールスは、強盗に銃口を向けられて生殺与奪の権利を握られていながらもその場を支配する……。
その後、強盗たちは逃げて行った。一般人の財布を片っ端から奪い、ある程度の収獲があった上で、ケガ一つすることなく逃げて行った。にも関わらず、彼らが強者のようには決して見えない……。
先ほどから、観ていない人にはチンプンカンプンな内容だろうけど、本作を観た私にも正確な答えはわからないんです。群像劇のようでありながら全てが絡み合い絶妙に繋がっていて、この絡み具合の奇妙さが、ある種の美しさとなり、観終わった後も観客の心に特異な後味を残していく。
何回観ても「どういうことなのか」と思い、そして毎回、自分なりの答えを捻り出す。同じことを何度も繰り返しているけど、映画の味わいを反芻しているこの時間が好きなだけかもしれません。
まぁ色々書いたけど、本当は、作品を通して、終始ただ気取っていただけなのかもしれません。もう一回言うけど、正確なところは僕もわかっていないんです。けど僕は、ただただこのイケてる世界観に浸りたいがために何度も『パルプ・フィクション』を観ているのです。ほとんど中毒や依存症みたいなものかも。そして、観られるわけないと思っていたそんな本作を劇場で観られたことを幸せに思います。
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