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長編小説、超短編小説、実験小説、詩、、朗読ライヴの元ネタ、文体の研究などなど。多すぎてどれ読んでいいかわからない時は「【おすすめ】創作編」というマガジンをどうぞ。
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2019年3月の記事一覧

【超短エッセイ】5円以上の5円玉の価値

【超短エッセイ】5円以上の5円玉の価値

とあるエッセイコンテストに応募した原稿です。

結果が出次第、別な形で公開するかもしれませんが、ひとまず置いておきます。

タイトル「5円以上の5円玉の価値」。ベトナムの話です。

私がベトナムに住んでから初めて迎える旧正月。テトと呼ばれるこの時期、親戚や近所の子供にお年玉をあげる習慣がある。私のマンションの隣人が親戚の10歳の女の子を連れてきたので、私はお年玉をあげてみることにした。
事前に調べ

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【即興実験小説】真実のボーイ、寝室の行為、淫靡、野放図、口実と構図(1時間・395字)

【即興実験小説】真実のボーイ、寝室の行為、淫靡、野放図、口実と構図(1時間・395字)

まだ一緒に勉強していたころ、約束したのだ。
一緒になれる日まで、互いを裏切らないと。
法や、家族や、その他の制約がなくなったら、必ず結ばれるのだと。
指きりげんまん、小指を絡めた。
でも約束は破られるためにあるとまもなく僕は知る。
社会に出て、別々の会社で働き始めた奴の小指は、女を示すために使われる。今日、これがアレなんで、お先です。

約束なんかしなければよかった。十代の頃は、約束すれば、担保す

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【超短編】いつだって誰かが待っているコーヒーショップ

【超短編】いつだって誰かが待っているコーヒーショップ

「いつだって誰かが待っているコーヒーショップ」――四谷「***」店主インタビュー「いつだって誰かが待っているコーヒーショップ」と呼ばれている店が、都内に存在する。
常連客がそれとなくそう呼ぶようになったのが広まり、いつしか店名より通り名の方が有名になったのだという。

なぜ、オーセンティックなコーヒーを出す老舗の一喫茶店が、そんな変わった呼ばれ方をするようになったのか。

記者が訪れ、店主に話を伺

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