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自傷行為と自殺行為の違いは何だと思いますか?

ガッツリ精神科領域の話をしますが
精神科に関わりのない
知識や出会った経験のない人ほど
知っていて欲しい話が

自傷行為と自殺行為の違い

についてです。

特に自傷行為については
誤解されがちというか
ほぼほぼ正しく理解されていない
と感じることが多いです。


◯自傷行為は死にたくてしているわけではない


手首を切る人を見て

「死にたいんだったら
 首を吊るなり
 飛び降りるなり
 確実に死ねる方法をすればいいのに」

と思ってませんか?


手首を切って
動脈まで切って
大量失血で死ぬって
できないことはないですが
かなり確率が悪いですからね。


自傷行為をする人は
必ずしも死にたいとは
思ってないんです。

まずここを誤解されがち。

もっと言えば
自傷行為をすることで
落ち着くから
手首を切ったりするわけです。



心の傷やストレスって
目に見えなくて
ものすごく抽象的なんです。

なんかわからないけど
イライラする
モヤモヤする

というどうしようもなく
辛い感情が先にあって

その漠然とした辛さを
目に見える具体的なストレスに
置き換えるために
自傷行為に至ることがあるんです。




目に見えないストレスを
目に見えるストレスに置き換えることで
目を逸らすというか
気を紛らわすことを
目的としている
んですね。

違う言い方をするならば

自傷行為をする人は
皮膚を切ることで
過去の辛い記憶や
辛い感情の記憶を切り離そうとしている

とも言えます。


◯快楽物質を出す効果がある


もう一つ興味深い話をすると

自傷をくり返す人の多くは

「別に死にたいわけじゃないんだよね」
「切るとホッとする」
「切ると気分がスーッとして楽になるっていうか」
「〝死にたい〟と〝切りたい〟は違うんだよ」

と言われます。
私が新人だった頃
何度も入退院を繰り返している患者さんに
そう言われて教わりました。


興味深い研究がありまして

自傷をくり返す人の場合だと
自傷直後に脳内で
エンケファリンやエンドルフィン
という物質(脳内麻薬)が
分泌されるらしいのです。

その効果により
辛い気持ちが
少し和らぐ感覚があるのでしょう。

つまり
心の痛み止め薬的な
役割があるのです。


◯「自傷はダメ」はダメ


身近な人や
SNS上で
自傷行為をした人を
責めることがありますが

何の意味もないです。


感情的に反応してはダメです。


もちろん肯定するものでもないのですが

自傷する人の最大の問題は
自傷そのものではなく
限界に至ってもなお
人に助けを求めないことです。

もし最初からいきなり否定されたり
禁止されれば
「自分の生きる延びる努力を否定された」
と感じてますます
人に助けを求めなくなります。


援助希求能力といって
人に助けを求めるのも
自立であり
立派な生きる術です。

自傷したことについては
淡々と対応して

背景に何があるのかを
時間をかけて寄り添っていく。

その場で解決できるほど
浅い問題ではありません。

本人はすぐに解決したくなるほど
辛いと思うので
援助者としては
ジレンマでもあるのですが。

それでも時間がかかること
援助者も辛抱強く
関わっていくことが大事です。


「切ったらダメ!」
で済むことではありませんからね😔

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