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ノースシ・ノーライフ(4-5)

「ムハハハハハハ!見事な働きぶりであった!」

 ソウカイヤアジトであるトコロザワ・ピラー高所にある如何にも悪代官の鎮座していそうな広大なる畳座敷の一室。てっきりミッションを達成できなかったと思い込んでいたレインボーフードを迎えたのは、ソウカイヤのあるじであるラオモト・カンの高評価であった。

 既に壮年に差し掛かる頃合いながらそのまとうアトモスフィアは悪鬼羅刹の如きニンジャ威圧力、アルマーニ製高貴なる紫のスーツをまとった黄金メンポの恐るべきニンジャ、ラオモト・カン。彼を前にしてサンシタコッパニンジャに過ぎないレインボーフードはラオモトの迫力だけで寿命が三年は縮む思いであった。それは彼の評価が高評価であっても変わる事がない。

「アリガトゴザマス!恐縮です!」

 縮こまって深々と会釈するレインボーフードに如何にもご満悦な態度でラオモト・カンは控えのオイランに褒美を与えるよう促す。しずしずとレインボーフードの前まで奥ゆかしく歩み寄ったブロンド・オイランが差し出したるは、トライアド・ボックスに山と積まれた札束である!

 目に見えるような成果を出せなかった自分に対し余りにも過分な報酬にますますもって恐縮しながらもかしこまってトライアド・ボックスを受け取る。ボスが機嫌よく与えた報酬を受け取るのをためらうのは返ってシツレイになりかねないからだ。

「ムハハハハハ!大儀であった!これからも励むが良い!」
「ハイヨロコンデー!」

ーーーーー

「グフフ……これがレインボーフード=サンが見出したプロテイン・スシの在り様……対面するだけで筋肉が高鳴るワイ!」

 圧倒的ニンジャ威圧力のラオモト・カンの評価タイムから解放されたレインボーフードを待っていたのは、筋肉威圧力であった。いつものソウカイヤアジト内スシショップでのスシ労働に戻ったレインボーフードを出迎えたのは控えめに言って、マッスルであった。

 全身を覆う金属装甲全身鎧めいた筋肉、裸体を申し訳程度に覆うビキニパンツにブラックベルト!そして鼻から上を覆うメンポを身に着けたたくましきマッスルは奥ゆかしいサイド・チェストを決めてプロテイン・スシに対する感謝のポージングをレインボーフードへと見せつけた!

 この圧倒的ニンジャ筋肉威圧力を持ったニンジャこそ、その名をプレートメイルと言い、レインボーフードへとプロテイン・スシのオーダーを依頼したニンジャである。当初注文を受けた時はレインボーフードにプロテイン・スシへの知識と発想がなかったため次までにプロテイン・スシを考案するという取り決めだったのだ。

 この筋肉に思考を最優先させた恐るべきマッスル・ニンジャは今、スシ・カウンターの上にのせられたプロテイン・スシ……優雅なるユバが形を崩さぬままにオイランがまとった薄衣めいてスメシを覆い隠し、その上に奥ゆかしい刻み柚子と山葵が宝飾めいて添えられた実に美しいスシの在り様に感動していた。

「では……オテナミ・ハイケン!」

 プレートメイルは目の前のプロテイン・スシを男らしく掴んでは頬張り、ゆっくりとその味わいを堪能する。メンポの上からでもわかるくらいにプレートメイルの表情がほころんだ。

「グフーッ!美味い!このプロテイン・シートの甘美なる事よ!極上のシャリと合わさってまさに筋肉に染み渡る甘露!それをこのユズの香りが実に奥ゆかしく味わいを深めている!レインボーフード=サンに頼んで正解だったワイ!」

 次々と並べられたプロテイン・スシを満面の笑顔で頬張るプレートメイルの様子に一息ついたレインボーフードの視界に、通路よりスシ・ショップへと向かってくる、ニンジャらしからぬ小柄な人物が映った。ソウカイヤアジトを気ままに闊歩出来る子供など一人しかいない、言うまでもなくラオモト・チバである。

「ふん、ここがお前の本来の職場か」
「ボッチャン!イラッシャーセー!」

 チバはつややかなるブロンドをかき上げてレインボーフードを見定める、年の頃合いに似合わぬ大物めいた視線にどぎまぎするレインボーフード。一方カウンターで食後のチャをいただいていたプレートメイルはチバの存在に気づくとうやうやしく彼を迎え入れた。ニンジャ用の高い椅子に登ってスシ職人にまっすぐに視線をぶつけるラオモト・チバ。

「いいか、ぼくを満足させるスシを握って見せろ。それでお前のブザマは忘れてやる」
「ハイヨロコンデー!」
「グフ、これは失敗できませんなレインボーフード=サン!」

 エールを送りつつもレインボーフードのスシ職人としては実に洗練された筋肉の所作に注目するプレートメイル。隣の恐るべき筋肉威圧力を物ともせぬモータル離れした胆力のラオモト・チバを前にして、レインボーフードはいつもの様に一握りのスシに己の全身全霊を込めるのであった。

【ノースシ・ノーライフ(4-5):終わり:5-1に続く】

作者注記
 今回ゲスト出演いただいた『プレートメイル』=サンは三笠屋=サンの考案したニンジャだ。この筋肉に全振りした奥ゆかしくもぶっ飛んでいるマッスル・ニンジャが俺のハートにぶっ刺さってしまったので今回ご本人様に許可をいただいた上で登場させていただいた次第だ。
 三笠屋=サン本当にアリガトゴザマス!

プレートメイル=サンの活躍を未読の方は是非こちらも読んでみていただきたい!

レインボーフードエピソード第一話についてはこちら。

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