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走れ、穿て、守れ -5-

 急ハンドル、俺が窓側に押し付けられんほどに慣性かけて緑色のカエルめいた車は無人のアウトバーンを高速蛇行回避運動。直前まで俺達がいた地点に着弾の火花が散る。

「おいでなすったよ!」

 他の車は一切存在しない高速道路、その地平線の先に二体の人型の影。どちらも人間の骨格に雪だるまの様な球形装甲を増設したかのような、特徴の薄い量販型ソウルアバターがこちらの前方に姿を見せた。

 すぐさま俺は自分の乗機を起動、高速道路上空に黒甲冑で全身を覆ったの如き機動兵器『イクサ・プロウラ』を物質転換させる。転移機能が動作し自身をコクピット内に転送させると、モニタにてガン・フロッガーと通信をつないだ。

「システムオールグリーン、こっちは問題なしだ」
「ほいじゃいくよR・V。こんな雑魚にかまってられないからね!」

 俺の視界下で速やかに四肢を展開し戦闘モードに移行するガン・フロッガー。俺もまた左腰に顕現させた大太刀を握るとカワセミの狩りめいて急降下する。

 疾駆するこちら二者に向け、量販型SAは手にした重機関ライフルでもって迎撃!ガン・フロッガーはスケートパルクールめいた読めない軌道を描いてサイズで勝る左方の量販型SAの股下をスライディング!

 相手をくぐり様に上方射撃すれば、機体を支える上で重要な股関節に幾度となく銃弾が叩き込まれバランスを崩した量販型SAは強かに転倒!無防備になった敵機にさらなる銃撃の嵐!

 一方こちらは円を描くように回転滑空バレルロール急降下!銃撃を完全に避け切りながら右方の量販型SAの重機関ライフルを斬撃破壊!返す太刀で腰部を両断すれば一合の元、障害を排除する!

 緑黒二機のソウルアバターが行き過ぎ去ると妨害者二機は一時のまほろばであったかのように蒼天の下、光の粒子となって崩れ去っていく。

「ちょろいもんだね!」
「S・R、目標への距離は?」
「あとわずかさ!」
「了解!」

 人型戦闘モードのガン・フロッガーに速度を合わせ、誘拐犯に向かって追撃を再開する!

ーーーーー

 太陽が頂点に達する頃、果て無く続く道路上には幾度となくパトカーの残骸、もしくは大破した警察配備型ソウルアバターが転がっては命からがらはい出てきた警官達が思い思いに鬱憤をぶちまけている横を、俺達は追い抜いていく。

「酷い有様だな」
「頼りにならないねぇ、しかーし!おかげでアタシ達が追い付けそうだ!」
「気を付けていくぞ、まだ隠し玉がありそうだ」

 警官達とて全くの無能ではない。彼らは日々訓練を積んだ犯罪抑止のエキスパート達だ。その彼らが歯がたっていないとあれば必然的に誘拐犯の側にも強力な兵器があるとみて間違いない。

 速度を上げて未だ姿の見えぬ誘拐犯へと追いすがる俺達のレーダーサイトに、いつしかとてつもない質量を示す影が浮かび上がった。先ほどまで有視界に映っていなかったそれは、こちらの想定を上回る異形の物体だった。

【走れ、穿て、守れ -5-:終わり:-6-へ続く

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