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5冊読了(7/6〜7/19)

1『お金の教養』泉正人

2『努力不要論』中野信子

3『痴人の愛』谷崎潤一郎

4『夜を乗り越える』又吉直樹

5『1日45秒でつくる! やわらかせなか』山本たか子


今年に入ってから読んだ本の数が80冊を超えました。
このペースなら100冊は超えるでしょう。
一年で本を100冊読むなんて初めてです。
今まで最高でも20冊とかだったんじゃないでしょうか。

小説以外の本も読むようになったことが大きいです。
というかそれが、読んだ冊数が大幅に増えた理由の大半です。
でも小説もそれなりに読んでいます。
今までとそんなに変わらないペースです。
なので小説を読む分量は変わらずに、他の本を読むことが増えたということです。
つまり全体の読書時間が増えたということですね。

子供の頃からそんなに机に向かって勉強するタイプではなく、授業もテストも宿題もただただ苦痛に感じてきた人間なのですが、最近は何か勉強したいなと思うようになってきました。

何かしら勉強していないと不安というか。
特にこれを勉強したいとかっていう具体的なものはないのですが、机に向かって教科書とノートを広げてペンを走らせるということが、昔ほど苦には感じずに、今ならできるのではないかと思います。

何かを学んだり知識をつけるということには興味を持っていて、でも学校の勉強は大嫌いだったので、それは単純に学校生活や授業や先生という、勉強をする上での周辺環境が自分に合っていなかったんだと思います。

そのことを確信できて、今またその意欲を取り戻しつつあるような気がしているので、知識をつけるということに興味があるうちに、今後も色々な本を読んでいったり、あるいは何かに特化してより専門的な知識をつけていけたらなと思います。

なにかの資格にチャレンジとかしようかな。
でもそれ始めると読む本が減りそうですよね。
だし、結局一つのことに特化して勉強して暗記することとかは苦手かもしれなくて、それが浮き彫りになったら周辺環境が合わなかっただけ、みたいな言い訳も通用しなくなるから怖いですね。
まあ、気が向いたらなんかします。


1はお金の教養の本です。
タイトルは『お金の教養』です。

作者の泉正人さんは以前読んだ『誰も教えてくれないお金の話』という、うだひろえさんのコミックエッセイの監修をされている方です。
漫画とストーリーの部分はうださんが描いて、お金についての知識の部分は泉さんが担当されていたのだと思います。
その本がとても面白くて勉強になったので、同じ方のちょっとお堅いバージョンの教養本も読んでみようと思いました。

お堅いと言ってもイラストがないというだけで、正しく賢いお金の使い方や貯め方や増やし方を、とてもわかりやすく教えてくれる一冊でした。
内容としては前出の本と同じようなものだったと思いますが、それの出版より5年後の2015年に出された本なので、出てくる情報も更新されています。

とはいえやはり、現在はそれより6年も経っているので、お金や資産運用に関する本は最新版の本を読む方が良いなと思いました。
つみたてNISAとか出てこないですしね、2018年から始まったものなので。
一般的な教養という意味では普遍的なことを書いてくれているので、とてもためになる本だとは思いました。


2はまたまたお気に入りの中野信子さんの本です。
この方は著作が多いし比較的易しい内容の本が多いのでたくさん読めます。
脳科学者でとてもIQが高い方らしいですから、本当は難しい内容なんでしょうけどそれを易しく解説してくれているのでどの本も読みやすいです。

『努力不要論』とはとても目を引くタイトルですね。
科学的に見て努力なんてものはする必要のないことだ、と主張されています。
我慢に我慢を重ねた血の滲むような努力というものは、なにかと美徳として賛美されるものですが、そういう風潮に一石を投じる内容です。

確かにがむしゃらに目標に向かって頑張るのがカッコいいとされる時代はもう古く、いかに自分の才能や能力を見極めてそれに見合う目標を早く効率よく叶えるか、それができる人の方が憧憬されるようになってきた気はします。
肩の力が抜けててゆるゆると楽チンそうに何かをこなしている人の方がカッコよく見えたりしますよね。

この本の主張もそういうことで、努力すること全てを否定して何も頑張らなくていいと言っているわけではなく、努力を始める以前に自分の資質や才能を見極めたり、その努力が見返りを求めすぎず苦になりすぎないようなものであるということをよく分析してから適切な努力をするべきだ、ということを仰っています。

努力は無駄である、ということではなく、無駄な努力はするべきではない、ということですね。
とても共感できますし、偉い学者さんに言われると説得力がありますし、痛快だし面白いです。

あとがきには、社会に対する問題提起のような内容なので迷いもありつつ、でもこういう主張が今の世の中には必要だ、という中野さんがこの本をお書きになったそもそもの思いが綴られています。
ただ煽情的な内容の本を出して注目されたいだけじゃないことはもちろんわかっておりましたが、苦労の多い日々を過ごしている人が多い今の世の中を変えたいという強い意志と優しさが伝わってきて、とても良かったです。


3は近代文学作品です。
谷崎潤一郎さん、初めて読みました。
僕がインスタのフォロワーさんにオススメの文豪の作品はないですかと問いかけてみて、この作品を勧めてくれた方がいらっしゃったので読んでみました。
その方にはめちゃくちゃ感謝です。
めちゃくちゃ面白かったからです。

生真面目なサラリーマンの河合譲治が、カフェで働くナオミという美少女と出会います。
まだ15歳のナオミに惚れ込んだ譲治は、彼女と一緒に暮らし、自分の手で彼女を育て上げながら将来的に妻にするという目論見を立てます。
一緒に暮らし始めてからしばらくは順調に、お互いの信頼と愛情を築き合いながら生活していましたが、ナオミは成長するにつれて女性としての魅力を増していき、周囲の他の男からも好奇の目を向けられるようになります。
譲治は、大人になっていくナオミの妖艶さにますます惹かれつつも、貞操観念が低く性に対する奔放さも持ってしまっている彼女に日々悩まされるようになる、というのが前半のストーリーです。

少しエロチックな内容であることは承知していましたが、それ以上に、盲目的に相手を求めてしまう男の悲哀やそれによる滑稽さみたいなものがよく描かれているように感じました。
譲治さんの一人称で描かれる文体なので、ナオミさんに恋焦がれ性欲の対象として狂信的なまでに取り憑かれてしまっている精神が描写されていて、それが大袈裟であったり哀れであると笑うこともできるけど、同じような思いをした経験は男なら誰にでもあるのではないかと普遍的なものとして捉えることもできました。

あえて単純で通俗的な言い方をするなら、小悪魔女子に振り回される中年男の物語、といったところでしょうか。
このナオミさんという女性の小悪魔っぷりが絶妙だし、何度も愛想を尽かしながらもまた彼女のところに戻ってきてしまう譲治さんの哀れっぷりも共感できます。
そういう意味で人物造形や心理描写が巧みなのだと思います。
こんなやついるわぁ、とか、その気持ちわかるわぁ、とか共感したり、物語に没入してしまう感覚がとても強かったです。

こんな昭和初期に刊行された小説の登場人物の恋愛観に共感し、物語にのめり込んでしまう感覚は不思議だなと思いました。
同時に、時代とともに社会や環境は変われど、男女の恋愛においての本質的なところはいつの時代も変わらないのだなと改めて感じました。

いや、主人公の譲治さんは、15歳の少女に愛欲を持ち、自分の手で更に理想の女性へ育て上げて妻にする、という、なかなかの変態的趣向の持ち主なので、それに全面的に共感してたらやばいんですけどね。
性癖の偏りはあるにせよ、恋愛感情という大きな括りの中で、相手に多くを求めてしまう願望は理解できてしまうところがあるなぁ、という塩梅です。

ナオミさんとの生活のために浪費が増え、ついにお金が底をつき、譲治さんが故郷の母親に嘘の内容の手紙でお金を無心する場面の描写がとても良かったです。


4はピースの又吉さんの新書本です。
又吉さんの小説は『火花』と『劇場』は読みました。
どちらもとても面白かったです。
世間が認める通り文才があり、お笑い芸人さんとしても個性的で、お人柄も穏やかな好人物だと認識しております。

そんな又吉さんの、読書をテーマとしたエッセイです。
ご自身の生い立ちを語りつつ、どのようにして小説と出会い、どの場面でどんな本を読み、それによってどんな影響を受けてきたかが語られています。
太宰治好きを公言されていますので彼の作品の紹介や、他の作家の近代小説、現代小説の紹介なども書かれています。

又吉さんの、読書や作家さんに対する真摯な姿勢が伝わってきてとても良かったです。
難解だったり読みにくい本も、自分なりに噛み砕いたり面白さを見出そうとする能動的な働きも含めた行為が読書なのだというようなことを仰っています。
彼の文学の捉え方は、読書を楽しんだりそれによって救われたりした経験のある人は、かなり共感できる部分が多いと思います。
元々読書好きな人も更に読書に関する視野が広がったり、新しい分野の小説を読んでみたくなる1冊だと思いました。

僕は近代小説が苦手だと思っていましたが、この間読んだ太宰治の『ヴィヨンの妻』が面白かったし、前述の谷崎潤一郎の『痴人の愛』もとても面白く読めました。
きっと年齢を重ねてきたからでしょうし、作品には出会うべきタイミングがあるのだと思います。
もっと早く読んでおけば良かったー、とは思いません。

又吉さんの読書観は信頼できるので、この本でオススメされている作品には興味が湧きました。
芥川龍之介はまだ一冊も読んだことがないので、読んでみようかなと思います。
町田康さんの『告白』も読みたいです。


5は健康に関する実用本です。
やわらかせなか、いいですね、身体は硬い方なのであこがれます。
僕は肩こりが酷いので、1日45秒で柔軟性が手に入ればとても良いなと思います。

やわらかせなかになるためには、3ヶ所の筋肉のバランスを整えることが必要だそうで、それぞれ1つずつ45秒間のメソッドが紹介されています。
これを1ヶ所ずつ、1日45秒間を1ヶ月ずつ、合計3ヶ月でやわらかせなかになるのだそうです。

その理論と、メソッドの詳しいやり方が書いてあって、後半は著者の方の、昔から自分も身体が硬くて悩んでいた、という実体験の物語が紹介されています。

メソッドはこれで本当に効くの?ってくらい簡単な動きで、1日45秒ならできそうなんですけど、効果はすぐにでないでしょうから、それを3ヶ月続けるって結構強い意志が必要そうですよね。
それにこれは女性向けに書かれている本なので、男性は柔軟性や骨格も違うしなぁとか感じてしまいました。
じゃあ最初から男性向けのやつ探してきなさいよ、って感じですよね。

人間の身体の筋肉や骨の働きについての解説は勉強になったし、全体的に優しい内容で良かったです。

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