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量子力学と料理:「不確定性原理と量子もつれ」”おいしさ”を加える感情のエネルギーについて

さて、今回は”料理×量子力学”について触れていきます。皆さんは「量子力学」をご存知ですか?

量子力学とは、一般相対性理論と共に現代物理学の根幹を成す理論・分野を指します。

おおそよ、料理とは関係ないと思われる、量子力学ですが、実は全ての理論の根幹を担っている学問です。最近では科学的な料理から一歩離れ、「感情」を料理に取り入れる視点に注目していますが、実は量子力学と深い関係があり、それへの準備運動だったのです。

私自身、科学的なアプローチで料理を考えることが多いのですが、一部の人々が欠如していると感じる「熱意、情熱、想い」に科学的に焦点を当ててみます。

そして、それらが料理にどのように反映されるかを科学的に解説します。総括して、なぜ感情について解説するのか、その理由は多くの著名なシェフが感情の重要性に言及していること、そして一番大きな理由として「量子力学」などの現代科学の最先端との接点を探る試みにあるからです。

旧派の意思重要説について

旧派の考え方として、Thomasは、「料理は最終的には感情であり、食材の正確な扱いとそれに対する敬意がすべて」と述べています。 これの意味するところとして、もちろん料理は妥協しないで作業を一つ一つ丁寧に仕事をする事で、最終的に素晴らしい料理が生まれることは、考えればすぐにわかります。

これによって得る、料理の変化は結果的に大きな違いになり得るでしょう。他にも感情を込めることによって、アウトプットされる内容も変化するでしょう。

料理に感情を込めることで内容が変わる現象は、多くの人にとって直感的に理解できるものですが、このプロセスを科学的に解説することも可能です。感情が料理の品質に与える影響は、料理人の技術だけでなく、味覚と感情の生理的および心理的相互作用に基づいています。

  1. 感情とセンサリー感覚の相互作用

    • 研究によると、”感情の状態”はセンサリー感覚、特に味覚と嗅覚に影響を与えることが確認されています。例えば、ポジティブな感情状態は味覚の敏感性を高め、食事の満足度を向上させることが報告されています("Emotion and sensory perception" by Small and Prescott, Food Quality and Preference, 2005)。この研究は、料理人が料理に情熱を注ぐことで、その情熱が最終的な食品の味わいを高める可能性があることを示唆しています。

  2. ストレスと料理の品質

    • ストレスが高いと、料理の品質が低下する可能性があります。ストレス状態では、注意力や集中力が散漫になり、料理の手順を誤ったり、食材の扱いが雑になったりすることがあります。これに対し、落ち着いた状態で料理することで、より高い品質が保たれる可能性があります("The impact of stress on kitchen staff performance" by Jones and Taniguchi, Journal of Occupational Health, 2010)。

  3. 料理における創造性と感情

    • 料理は創造的な行為であり、その創造性は感情に大きく影響されます。ポジティブな感情は創造的な思考を促進し、新しいレシピの開発や既存の料理の改良につながることがあります。逆に、ネガティブな感情は創造性を阻害し、料理のバリエーションが限られることがあります("Creativity in cooking: Emotional influence on culinary performance" by Van Dam and Earley, Creativity Research Journal, 2013)。

これらは心理学や、神経生理学の一般常識に過ぎません。上記のような事実は、殆どの人々がおおよそ予想のつきますし、名言というほどではないように思う人も多いかも知れません。


量子力学とは、物質が原子から成り、原子は原子核や陽子、中性子からなり、それがクォーク(素粒子という物質の最小単位)から成るという発見の元、クォークの性質を物理学や理論物理をベースにしながらも、全く別の分野として研究する学問として説明されます。量子力学は、実際には素粒子の振る舞いや相互作用を理解し、説明するための物理学の一分野です。物質の構造が原子から成り、原子が原子核(陽子と中性子)と電子から構成されていること、さらに原子核の陽子と中性子がさらに小さな粒子であるクォークによって構成されていることを含んでいますが、量子力学自体はそれらの粒子の振る舞いを記述するための理論体系を提供しています。 量子力学は、これらの素粒子がどのように相互作用するか、そしてそれらの相互作用が物質の性質にどのように影響するかを説明するために、確率的な方法を用いています。この学問は、化学、材料科学、情報技術など、多くの現代科学技術に不可欠な基盤を提供しています。

量子力学とは、このような表面上の心理学などとは少し違っています。この学問はすべての物理においての根幹であり、世のすべての性質を表す学問だと認識しています。

量子力学を一から説明するには心が折れます。というよ私程度では理解することが出来ません。全てを理解するのは有名な物理学者であっても叶うことではありません。そこで、量子力学について有名な名言を一部紹介せて頂きます。

量子力学の難解さとその非直感的な性質を象徴する有名な言葉がいくつかありますが、特に有名なのは物理学者リチャード・ファインマンの言葉です。

「私は量子力学を理解していると言う人を信じない」

この言葉は、量子力学の複雑で直感に反する性質を強調しており、この分野の理解がいかに挑戦的であるかを表しています。ファインマン自身が量子力学の先駆者であり、その複雑さを誰よりも理解していたため、この言葉には大きな重みがあります。

また、ニールス・ボーアも量子力学の奇妙さについて次のように述べています。

「量子力学についてショックを受けない者は、それをまだ理解していない」

このように、量子力学とはよく分かってない部分が殆どです。しかし実験ベースで事実から逆算して考えられた理論が多く存在します。それでは量子力学の簡単な解説と、料理との関連性について探っていきましょう。

まずは理解を深めるために、順を追って紹介していきます。モンティホール問題は量子力学とは厳密には関係している訳ではありませんが、入門編としてよく扱われる非常に奇妙な現象です。

これらが、どう料理に繋がっていくのか解説して行きます。

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