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ある作文に感動して書いた小説⑦

 「パパと、ママに、言ってみなよ。だっこしてって。あたしも、だっこしてほしいって」

 「ユウナもそう言ったの?」

 「うん、言ったよ。そしたら、わたしもたくさんだっこ、してもらえるようになったよ」

 「…そっか…でもわたし、言えそうにないな」

 「言えなかったら…てがみでもいいんじゃない?」

 「…うーん。てがみも、なんだか、はずかしいな~」

 「もじをかく、れんしゅうだとおもってさ。おはなとか、りぼんとかも、かいちゃえばいいよ」

 「…ユウナも、がんばったんだから、あたしにもできるよね」

 「うん、できるよ!カナエ、がんばれ…!」

 その日のよる、さっそく、てがみをかいてみた。おおげさにならないように、はなと、りぼん、そしていちごのえもかいた。うーん、どきどきするなぁ。しんぱいだな…。あしたがっこうで、ユウナにみてもらおう…。

 「うん、いいんじゃない?えがかいてあるから、しんこくじゃないし!」

 「しんこくって、なあに?」

 「しんこくっていうのは~、えーっと、なんて言ったらいいのかなぁ、どよ~~んとしてない、ってことかな!まあいいのよ、そんなことは!とにかくこれでいいからさ、きょうちゃんと、ママに、わたすんだよ!ママにわたせば、パパにもつたわるからさ!わかった?あした、ほうこくしてよー」

 「おっけー」

⑧に続く


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