044 | 東大総合研究博物館「知の回廊」展を見に行った



昨年の今ぐらいに

東大の本郷キャンパス来た時は

学内全域が改装だか増築工事の真っ最中で

高速道路か空港でも建造すんのかって勢いだったけど

この時は随分落ち着いていた。

まぁ日曜だったしな・・。



てな訳で自転車で先週末、何年もずっと閉めてた東京大学総合研究博物舘の本館がリニューアル・オープンしたから見に行った。 その杮落としは「知の回廊」展。タイトルからしても東大博物館らしい企画展に違いない。









2010年に見学した時、本館がまだ公開されていた。
その時の企画展「命の認識」は、とにかく骨、骨、骨、骨格標本大爆発! それらが何の骨格だとか言う説明プレートはほぼ皆無。とにかく数限りなく動物の骨が、展示と言うか配置されていた。
確かその時の説明員さんの弁によれば、見る者ごとに何かを感じてもらえれば、‥というサイエンスとアートの両方にまたがるコンセプトだった。

それはリニューアル・オープンを果たした現在も、展示コンセプトの1つとして健在らしい。標本の収集・研究・保管や、そういう活動を司る大学付属機関としての博物館を象徴するような、このエントランスの「UMUT(※) Collection Box」なる巨大ユニットは、考えるより感じろって風な、4方向からグルグル眺めていて飽きないインスタレーションのよう。

※、UMUT=The University Museum, The University of Tokyo



あ、その中の眠るようなこのトカゲの標本は、旧小石川分館(現在は建築ミュージアムとしてリニューアル)にいたコだなー。







Collection Box ばかり見てないで見進める。



多分この動物の頭蓋骨も「命の認識」展以来久々に見る。



シマネミズキ原資料標本、島根県安濃郡羽根西(現 太田市石見太田)1941年採集とある、けど自然科学と言うか理系全般が激しく門外漢の私は、実はそういう詳細についてははあまり(汗)。



採集された標本をどう展示するかで、博物館の全体や細部がどういう風に組み上がっているのかを感じるのが面白いし萌える、標本1つ1つの佇まいと共に。







柵もガラスも張らない所にいきなり! 背中の高さが私の背よりもある超デカい牛種。奥にアルパカと、世紀末覇者が跨りそうなやっぱり超巨大なもいる。



展示スペースの一部の壁面自体が標本の収蔵棚になっていて、その引き出し状の幾つかは、引き出して見る事ができる。こういう「いま分類中ですよ」とか「まだ研究中ですよ」みたいな進行形的リアリティーが素敵。大学のアピール的にも、ナイスなディスプレイだと思う。



プレートに「濱田隆士コレクション」とある、シーラカンスの化石らしい。こちらはうず高く積み上げたサンプル用コンテナの、また一部分を抜いて照明当てて提示する。









ガラス瓶の茶色くなったラベル新聞紙や、赤いマジックインキの但し書きもいい。研究の成果云々とはまた別に、研究着手当時の生々しさと言うか空気感ごと見せちゃうのも、東大博物館の展示コンセプトの1つだ。ちょっとブラザース・クエイのモチーフ風と言うか、ちょびっとアート寄りの見せ方。

そういう痕跡は旧小石川分館では、もはやマッド・サイエンティストが出てくる'50年代ホラー映画のセットか、澁澤龍彦の書斎かってくらい炸裂してたし、東京中央郵便局舎跡:JPタワーの「インターメディアテク」でも受け継がれている。



人間の考古学的なコーナー。



いろいろな出土品。



鬼のように描き込まれた発掘現場の図面。









東大博物館と言えばやはり



映像に映し出される解剖学の研究員さんか先生が、動物の遺骸からどうやって骨格標本を作り上げるかを、作業しながら嬉々として語りまくる。
話では、抜き出した骨格をいくら人間がキレイに掃除しても、小さな肉片やら何やらは残ってしまって、それを暫く放置する事で、今度は虫や微生物が余計なものを除去してくれる。自然界の力と人間が協力して、はじめて骨格標本は湧出するのだそうだ。ロマンだ、新世紀になってもマッド・サイエンティストはいた(違う)。

ちなみにその微生物や虫達は、標本として収蔵後は、逆に他の標本まで傷める原因にもなるから収蔵前には徹底的に、洗浄だか駆除だか殺菌するそうだ、‥そらそーだわな。



微生物や虫達に仕事してもらう間は、骨はタマネギ入れるみたいな農作物用?の網に突っ込んで放置するそうです。知らないと黒魔術か何かの結界みたい(苦笑)。







いろいろな標本箱がある。箱の1つ1つに研究者の宇宙がある、‥のかな。



以前石神井公園ふるさと文化館で見た昆虫学者:加藤正世の標本群も、東大博物館の所蔵なのだそうだ。



東大の博物館、どんだけ貴重な物を方々から結集してんだよって思わされる。



展示コースからも時々見れるよう、部分的にガラス張りで分析室が配されている。日曜という事もあり、作業する研究員さんや学生は1~2名しか見なかった。



アイポンしか持って来なかったのは失敗だったかも。E-P1持ってまた来ようかな‥。

東京大学総合研究博物館
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/



お ま け 画 像

旧小石川分館に置かれてた頃の眠るトカゲ(20100403撮影)。



旧総合研究博物館本館「命の認識」展時の頭蓋骨(20100206撮影)。