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温泉マニアの楽園=白布温泉・西屋~300年の石風呂に浸る。

 昨夏、長年憧れていた山形県米沢の山中にある白布温泉の西屋に宿泊しました。外観からしてこの風格です。本館は100年以上経た建築なのでそうで、大正期の写真と見比べてもほぼそのまんまの雰囲気。大きな茅葺屋根が見事です。温泉自体は鎌倉時代に開湯されたそうで、米沢に来たばかりの直江兼続が、泉州堺から呼び寄せた鉄砲鍛冶をこのあたりに住まわせて、西屋が彼らの世話をしたことが古文書に残されているとのこと。
 玄関横に残された白布温泉を描いた日本画でも、今と大きく変わらない西屋の風情が見ることができます。

宿の玄関に残る日本画に描かれた西屋

建物の風情もさることながら、なんと言っても楽しみだったのが「湯滝風呂」。その名の通り、滝のように落ちてくる源泉を文字通り「源泉かけ流し」で楽しめる石造りのお風呂が名物となっております。

奥に滝のような打たせ湯があり、そのまま湯船に流れ込む源泉
そのまま風呂の外にドバドバと流れ出していく源泉

吾妻山麓で切り出された黒御影石が、300年前からここで源泉を受け止めて使われ続けているそうです。
 離れ以外は冷暖房なしなのですが、夏でも涼しく快適に過ごせました。冬は雪も含めて大変なのかもしれませんが。最新の贅沢な設備はありませんが、リノベーションを時代時代にしながら清潔かつ快適に過ごせるようになっている素敵な宿でした。何と言っても300年の時間を感じながら入浴できる湯滝風呂は最高の楽園体験となりました。
 白布温泉と書いて、「しらぶ」と読むのですが、その地名の由来には諸説あって、アイヌの言葉で「霧」を意味する「シラブ」が語源でないかという説もあるそうです。宿泊した翌朝は霧深く、そんな由来に納得できる景色が米沢までの戻りのバスからも堪能できました。

朝の西屋外観・戸袋の屋号が素敵・霧深い土地でした。
米沢に向かうバスからの景色は、白布のような霧が名前の由来を思わせました。

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