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民芸の楽園・富本憲吉の生地=うぶすなの里で宿泊

ほぼ1年ぶりの投稿となりました。すみません。忙しすぎて…。年末年始は久しぶりにゆっくりしました。その年末ゆっくりのスタートが、ここ、奈良県安堵町にある、うぶすなの里での宿泊でした。JR法隆寺駅と近鉄平端駅のちょうど中間くらいにあるのが、この和食オーベルジュ的なこの宿なのですが、人間国宝第1号・民芸の陶芸家=富本憲吉の生家跡地につくられた旧富本憲吉記念館をリノベして、5年前にオープンしたものなのだそうです。

江戸時代から残る旧富本家の長屋門

 奈良の農村地帯らしい、古民家が身を寄せ合うようにたたずむ集落を抜けると、その真ん中あたりに、堀に囲まれた旧富本家の屋敷地が広がっています。江戸時代からる長屋門を抜けると、古民家風に建てられた旧富本憲吉記念館の建物が主屋としてお迎えしてくれます。

長屋門から見る、うぶすなの里主屋(レストラン棟)

上の写真の手前にある門から入ると、富本家の建物として残っている離れの書斎が、今日宿泊する「日新」の部屋。2部屋限定の宿泊施設のひとつで、富本憲吉の書斎で宿泊できるという、民芸ファンにとっては最高の楽園体験ができる宿泊施設なのです。

旧富本憲吉邸の書斎が、「日新」と呼ばれるスイートのリビング

富本憲吉の書籍の中でこの部屋で談笑するバーナード・リーチと富本憲吉の写真も発見しました。彼らが民芸について議論に花を咲かせた部屋で寛げることが、この宿泊施設での最高の贅沢です。

富本憲吉の書斎で寛ぐ、リーチと憲吉(1961年)
現在の書斎の姿

戸袋には富本憲吉直筆で草花が描かれており、違い棚や扉の格子も古い写真のまま。寝室は、記念館時代に増築された展示室を改装してあるそうですが、その奥に洗面スペースと広々としたお風呂スペースもあり、快適に過ごせるように工夫が凝らされていました。主屋のレストラン棟にも直接扉ひとつで行き来できるようになっており、気兼ねなくゆっくりできるように設えられています。食事も、奈良産の食材にこだわりながら、シンプルな中にも手の込んだ調理の工夫があって、とてもおいしくいただけました。

シンプルながら手の込んだ朝食

 施設でもっていらっしゃる富本作品もいくつかお見せいただいたりもしましたが、記念館にあったものの多くは大原美術館に収蔵されたそうです。数年前倉敷の大原美術館を訪ねたときに見たいくつかの富本作品はここから移されたものだったのかもしれません。離散せずに(いくつかしてしまったのかもしれませんが)、伝えていくのに相応しい場所に収まったことは心から良かったなあと、お話を聞いて思いました。次回は、ここから旅した斑鳩エリアの奈良ディープ楽園探訪を書ければと思ってます。

見せていただいた富本憲吉のお皿
たぶんこちらも。
戸袋の把手。これも富本なのか否か、どなたかご存知の方教えてください。


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