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彼岸花をいただきました

お彼岸の季節

ひぐらしも鳴く中、お彼岸に咲く真っ赤な彼岸花は物悲しい様な、少し恐いイメージがありました。


先日、森田洋之先生と医学部5年生の三島さんと森田先生が開業した開業資金ほぼ0円の在宅クリニック見学の旅に出かけました。

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古民家を改装した診療所はベッドと机しか置いてませんでした。

森田先生も紙のカルテとノートパソコンと持ち運びできる小さい血圧計と聴診器のみ。

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訪問診療を一緒に同行しましたが、みんな元気な90歳ばかりでした!

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そんな中でも強烈に印象に残ったのは、もともと小児麻痺があり、「片側麻痺がある」「喋れない」「一人暮らし」のお婆さんです。


最初は「え?この人が一人で暮らせるの?」と信じられなかったのですが、お家に行くとお庭は綺麗に手入れされていて、お部屋の中もシンプルですがキチンと片付いていて、お洗濯も干してあります。


小児麻痺があり、学校に通わせてもらえない時代でしたが、お母様がお裁縫や料理などの家事を小さい頃から教えていたとのことでした。

だから、ご両親が亡くなって、兄弟が離れて暮らす様になっても、不自由な体を上手に使って広い畑の草刈りをして、お洗濯物を干して、空いた時間にはお裁縫をして、毎日を忙しく生き生きと過ごしています。

お年は80歳になるけど、血圧も問題なく、お薬を一つも飲んでいません。


この方にとっては、この家で自分らしく生きることが最高の幸せなのだと、言葉は聞き取れないけれど、表情を見ると伝わりました。


そして、その生活を支える訪問介護スタッフに感動しました。


その人の生き方を一番近くで支え、その人が困っている時にはソッと手を差し伸べる。これぞ介護だと思いました。


介護士さんがしっかり生活を支えていると、医療の出番なんてほとんどいらないんだと改めて実感しました。

この方が何かしらの病気で入院してしまったら、恐らく、普通に医療の現場しか知らない医療者だったら自宅に返さず、何か要介護1とか2とかをつけて施設に入れてしまうかもしれない。


「絶対に無理だ」と決めつけて。


森田先生は、そんな在宅医療、介護のリアルをもっと若い先生に見てもらいたいとこの在宅診療所を開設しました。


これから、日本は急速に世界が経験したことない”超”高齢化社会を迎えます。


僕たちはどんな社会を、どんな繋がりを未来に残していけるでしょうか?


帰りに「お庭の彼岸花を持って帰って」(介護士さんにはそう聞こえる)とのことで、沢山彼岸花をいただきました。

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彼岸花の花言葉は「情熱」と「独立」です。ちょっと意外ですよね?

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