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【書評】「顧客起点マーケティング」は”ファンベース”にも通じると感じた話

 P&Gやロート製薬、ロクシタンなどでマーケティングをされてきた西口さんのメソッドを体系化した著書。マーケティング関係各方面で軒並み絶賛されています。

 本書は、ニュースアプリ「スマートニュース(以下スマニュー)」のマーケティング活動で実践してこられた内容を元に、”マーケティングアイデア”に始まり、”顧客分析のフレームワーク(5セグマップ)”や、”ブランディング効果の可視化(9セグマップ)”、”マーケティング戦略構築”まで、丁寧にまとめられています。

 アジャイルメディアさん主催の「ソーシャルメディアサミット2019」にて基調講演されるとのことで、積ん読リストの中、優先度を上げて読破しました。私自身もアプリビジネスに関わっており、共感する所も多く、学びも深かったので、参考までにご紹介させていただきます。

本書の要約

・マーケティングでもっとも重要な要素は”アイデア”である
 →"アイデア”とは、「独自性(=唯一無二の既視感のない特徴)」と、「便益(=顧客が得られる有形無形の価値)」の両方を兼ね備えた物

・”アイデア”には、「プロダクトアイデア」と、「コミュニケーションアイデア」の2つがある
  「プロダクトアイデア」→商品やサービスそのもの
 「コミュニケーションアイデア」→商品やサービスを対象顧客に認知してもらう為の手段

・マーケティングの成功に必要な3要素は
 ①プロダクトアイデア
 ②コミュニケーションアイデア
 ③ターゲット顧客での早期の認知形成

・顧客分析におけるシンプルかつ汎用性の高いフレームワーク
 ①5ピラミッド(顧客ピラミッド)
  →顧客を層別に分析

 ②9セグマップ
  →①に、ブランド選好(次回のブランド購入ないし、使用意向)で分割

個人的に気になったところ

 生活者のスマートフォンの中は、常にいろんなアプリで満ちています。
私自身、アプリのマーケティングに関わっているのですが、アプリのマネタイズ(=収益化)はざっくり分けると以下の2パターンがあります。

課金モデル:なんらかの課金をアプリのユーザーにしてもらうことで収益をあげるパターン(ex.ゲームアプリや、出会い系アプリなど)
広告モデル:アプリそのものを媒体として捉え、そのユーザーになんらかの広告を見せることで得られる企業などからの広告費で、収益をあげるパターン(ex.ニュースアプリ、ポータルアプリなど)※スマニューはコッチ

 上記の収益化に向けた一連のサイクルについては、本書で「AARRR(アー)モデル」として紹介されています。

 アプリビジネスは競合も多く、日本においては、1人当たり100本以上ものアプリがインストールされているということで、世界一のアプリ所持数※となっており、例えるならスーパーで、棚に陳列されている無数の飲料の中から、何を取るのか?と同じ状況が、生活者それぞれのスマートフォンの中で起こっています。(※AppAnnie調査より)
 特に、どのように自社のアプリを使い続けてもらうか?(=上図のRetention)ということにおいて、本書で提唱されている「N1起点の顧客分析」はマーケティングのヒントが得られる手法であることは間違いないでしょう。これは、さとなおさんが提唱されている「ファンベース」に通じるもので、個人的にもすごく共感した部分になります。

最後に

 私も関わっているアプリのビジネスは、FMCG系の商材と違い、アプリの利用状況などをはじめ、色々な顧客データを取得することが比較的容易で、マーケティングに取り組む環境としては恵まれていると思います。
しかし、そういったデータを眺めて、数字を弄んでいても顧客を理解することはできません。
この本を読んで、どんな人が、どんな時に、どんな風に、どんな人たちと、どんな使い方をされているのか?といったことに真摯に向き合う為ことこそが本当に大事であるということを、改めて感じました。

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