【書評】「GROW」を読んで過去のアルバイト体験に思いを馳せた話
「伝説のマーケター」と呼ばれる、元P&GのグローバルCMOジム・ステンゲル氏の著書。
氏が登壇される「マーケティングアジェンダ」(初参加)に備えて、慌てて読了しました。(最近積読がヒドイ。。)
「ブランド」と一口に言っても、定義次第で理解は様々です。
この本では、「ブランド」を「ビジネス」という言葉と同義であるとし、「ビジネスの本質である」と言っています。
そして、卓越した企業と、そうではない企業の差を生む要因として、「ブランド理念」の重要性を説いており、自身の経験に基づく事例を踏まえてそれらを体系化し、説明されています。
本書の要約
・「優れたビジネス」には、「優れた(ブランド)理念」がある
→世界の優れた企業は、その企業やブランドの根本的な存在目的や、その企業やブランドがもたらす「高次の恩恵」を表現したもの(=ブランド理念)に基づいてビジネスを行い、同業のライバルの4倍の成長を遂げている
※「ステンゲル50」とは
→著者の調査で、”ブランド理念”の面で特に優れていると判断できた、50のブランド
(アクセンチュア、エアテル(通信サービス)、アマゾン・ドットコム、アップル、アクアレル(ボトル詰飲料水)、ブラックベリー、カルバン・クライン、チポトレ(ファストフード)、コカ・コーラ、ディーゼル、ディスカバリー・コミュニケーションズ、ダヴ、エミレーツ航空、フェデックス、グーグル、ハイネケン、ヘネシー、エルメス、HP(ヒューレット・パッカード)、ヒューゴ・ボス、IBM、イノセント(食品/飲料)、ジャックダニエル、ジョニーウォーカー、リンツ、ロクシタン、ルイ・ヴィトン、マスターカード、メルセデスベンツ、メソッド(家庭用洗剤)、モエ・エ・シャンドン、ナチュラ(トイレタリー製品)、パンパース、ペトロブラス、楽天市場、レッドブル、ロイヤルカナン(ペットフード)、サムスン、セドモイ・コンチネント(スーパー)、センソダイン(日本のシュミテクト)、セブンスジェネレーション(家庭用洗剤)、雪花ビール、スターバックス、ストーニーフィールド・ファーム(オーガニック乳製品)、青島ビール、ベンテ・プリビー・ドットコム(EC)、ビザ、ウェグマンズ(スーパー)、ザッポス(EC)、ZARA)
・著者は上記「ステンゲル50」の研究から、以下の4つのことを発見
①ブランド理念は最も急速に成長を遂げているビジネスの原動力
②最も急速に成長を遂げているビジネスは人間にとって大切な5つの基本的価値のいずれかに関わるブランド理念を持っている(※以下)
③最も急速に成長を遂げているビジネスを動かすのは、"ビジネス・アーティスト"(=ブランド理念を主たる表現手段として用いるリーダー)
④ビジネス・アーティストたちはいくつかの活動に卓越している
・優れた企業やブランドのリーダー(=ビジネス・アーティスト)は、5つの共通原則に沿って行動しており、かつそれらの活動に卓越している
①ブランド理念を発見する
②ブランド理念を軸に企業文化を構築する
③ブランド理念を社内外に発信し、社員と顧客の両方と共有する
④ブランド理念に沿って、理想に近い顧客体験を提供する
⑤ブランド理念に照らして、ビジネスの進捗度合いと社員の仕事ぶりを評価する
・「ブランド理念」を”一本の木”と考えると、「2本の根っこ」と、「5つの枝」から構成されている(※下図)
終わりに
自分自身、学生時代に「ステンゲル50」の1社で登場した、スターバックスで働いた経験(アルバイト)があります。その当時、それまでの面接では聞かれたことがないような質問(ex.あなたがこれまで受けたサービスで一番感動したものは何か?またその理由は?)や、懇切丁寧な入社時研修(ex.スターバックスとは?みたいな動画を延々と見たり)にただびっくりしたのを覚えています。
この本を読んで今それらを振り返ってみると、スターバックスが、ただの美味しいコーヒー屋ではなく、従業員同士はもちろん、常連の方や、地元地域の方達を、「サードプレイス」というキーワードの下、コーヒーの販売を通じて、人と人の結びつきを助けていたことに気付かされ、すごく腹落ちしました。
本書では、著者の実体験をふんだんに盛り込まれているので、「”ブランド理念”って言われてもピンと来ない。。」「”ブランド理念”で売り上げが伸びたら苦労しませんよ。。」と思われた方は、ぜひ本書をご一読ください。
それでは、マーケティングアジェンダでお会いしましょう!
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