名曲誕生:想いを繋ぐ【おもむすび】。超短編小説「おもむすび」第3章「白い雲と海の道」。
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第3章: 白い雲と海の道
初デートの成功から数ヶ月後、隼人と直美の関係は着実に深まっていた。
彼らはお互いの存在が生活に欠かせないものになっていた。しかし、どんなに仲が良いカップルでも、避けられないのが喧嘩だ。
ある日、二人はドライブを計画し、都会の喧騒を抜け出して海を目指した。
車窓から見える白い雲の下、どこまでも続く海の道。それはまるで、二人だけの特別な世界へと続いているかのようだった。
しかし、完璧なはずのドライブは、思わぬ方向へと進んでいく。車のナビゲーションがうまく機能せず、目的地への道を見失ってしまったのだ。
隼人は苛立ちを隠せずにいたし、直美もまた、隼人の態度に反発した。
車内は緊張で静まり返り、険悪なムードが漂った。
それが二人にとっての、はじめての喧嘩。そして、はじめての悲しみだった。しかし、その悲しみの中にも、何か心地よさを感じていた。二人の間には、お互いへの理解と許しの気持ちが芽生え始めていた。
喧嘩の後、車を海辺に停め、二人は沈黙を守りながらも、隣に座る相手の存在を強く感じていた。
そして、隼人が静かに口を開いた。
「ごめん、今日は楽しいはずだったのに…」
直美もまた
「私もごめんなさい、あなたの気持ちを考えてあげられなくて。」
と謝った。
その瞬間、二人の間の緊張が解け、再び温かい空気が流れ始めた。
はじめての喧嘩を経験したことで、二人の関係は更に深まり、互いへの理解が深くなった。白い雲の下、どこまでも続く海の道は、彼らの未来を象徴するかのようだった。
「ふたりのおもいはおもむすび。」
隼人と直美は、喧嘩を通じて、お互いへの絆がさらに強くなったことを実感した。困難を乗り越えるたびに、彼らの関係はより一層強固なものへと変わっていくのだった。
第4章へ続く