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プロの技。

昔何かで読んだ。ウィーンの本場のピアノ調律の話で、その場に勉強しに行った人が、調律した音を近くで聞いていて、あれ?全然合っていないじゃんと疑問に思う。でも実際に客席に座って本番中に演奏を聞いてみると、感動するほどピッタリ合っているという話。
近くではなく、客席から聞いて素晴らしく響くように調律している。

例えば私の趣味の一つが香水なんだけど、いい香水って、近くで嗅いだり試香紙につけただけだと強烈だったり獣臭さとかでどうも奇妙でオエーとなっても、実際につけていて、ふとした時に微かに自分に香ってきた時に、おや?!と驚くほど物凄くいい香りで感動したりする。
人間の体臭と混ざり、ある程度の距離の空気を含んだ時、他人の鼻にたどり着いてから素晴らしく香るように設計されているんだろうな。

目に見えない、意識するのが難しいところとか、何というかな、他者の視点とか周りへの影響とか広い視野まで徹底して考えるのが、プロの技なんだよね。

あのね、バックヤードが汚かったり、バックヤードでスタッフが悪口言いまくってるところが多すぎる。
そういうとこだぞ。
客から見えないからいいじゃんとか、違うから。
そういうの全部、ノイズになって伝わるから。

掃除ひとつとっても、それこそ何年も目にしない棚の後ろまでピカピカにするんだよ。
そこまでしなくていいよどうせ見えないしって人は必ずいるんだけど、見える見えないは関係なく、汚れは集中を削ぐノイズになって無意識下に伝わるから。
たとえ見えているところの汚れすら全く気にならないと思っている人でも、見えないところでも汚れていたらそこがノイズになるんだよ。


そういうノイズを極力減らして、優秀な方々に仕事に集中してもらうようにするのが私の仕事のひとつでもあった。
そのためには自分自身の中にあるノイズをまず徹底して掃除しなければならなかった。





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