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盃にも汲まれる事なく、水月へと沈没しずむ蜉蝣は八雲。
吽形の垣間から絶えなき余光をのぞめば、寂れた躯体むくろは息を吹き返すのだろうか。
あまより降りける清泉の行き着くところ浅瀬に伸びた残滓を掘り起こすのは、噛み合う蛇たちの燦然した抑揚だ、
万緑の眼窩より芽生えたであろうは紡がれず、影を喪失おとした陽は在り来な双翼よりも遙か高い
晩餐に並ぶ俯いたしろがねこそ酷く虚ろなものの、自我を反芻する度に思い立つて茹だる。
石造の門にたつ、
待人の行方を知らずして、流れ着く小瓶の意味など理解る術はない蟻の列と伏す、
戻り来る詩人しびとは敢えて謳わず、ただ流れ行く白紙を濡らして。
夢見は、さして悪くなかつた。

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