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”卒業”は自らの意志とともに。

3月の卒業シーズン。
街で袴姿の大学生を見かけることも増えた。

ふと、思った。
今後卒業と呼べるものは自分にあと何度訪れるのだろうか。

そんな気付きを書いてみます。

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卒業の意味を考える。

僕個人の話をすれば、昨年大学で卒業式はありませんでした。
けれども、式がなくても卒業は訪れるし、今までとは何かが変わっていくことを肌感覚では感じていました。

そうして始まった社会人生活。
約1年、転びながらもなんとか進んで来ることが出来た。

そんなこの頃、街を見渡すと袴姿の大学生、花束を抱えた人、
きっとそれぞれにそれぞれの変化があったであろう人々を目にします。

自分は違ったけれど、こんな風な姿もあったのかな、と少しだけ思います。

では自分にはあと何回、卒業式と呼べるものがあるのだろうか。
あるいは、もう卒業という言葉とは縁遠いところまで来てしまったのだろうか。

卒業という言葉の定義を調べてみました。

⑴学校の全課程を学び終えること。
⑵ある段階や時期を通り過ぎること。

やはり卒業とは一般に使われるように、学校に関連したり、特定の期間を越えることを指します。
⑴の意味ではまた新たに学び舎に通わない限りおそらくもう卒業の機会はなく、
⑵の意味も使いどころを考えるのが難しそうだな。
そんなことを思いました。

段階が変わること、立ち位置が変わること

会社勤めが始まると転勤、退職という言葉はあれど卒業という言葉はない。
先に記載したように、卒業とは「学校で学び終えること」、「特定の段階や期間を通り過ぎること」の意味を持つ。
社会人で会社勤めの場合、卒業という言葉はやはりどんどん縁遠くなっていくように思いました。

けれども、卒業がない=永遠に同じ状況にいる、ということでは無い。

社会人でも転勤があるか転職をするか、さらにもっと大きな転機は訪れるものだと思います。
それらの変化は小学校を卒業し、中学校へ、というようにこれまでのように一つ一つを終えていく形とは異なります。

社会人としての変化は”働くこと”が”生きること”として、
より人生の中で大きく連続的に連なって、終わることなく続いていくことなのではないかと感じます。

例えば、文系に進んだ自分は学校で習った数学、特に細かな方程式や計算式とは縁遠くなってしまいましたが、
初めての会社で学んだことが転職した先でも自分の能力の基礎的部分になるように、今の立ち位置で得ているものはこれからもどこかで活きてくるものなのだと思います。

これまでの学校で学んだことを基礎とするなら、その工程を卒業し応用する次の段階に移行したということなのかもしれない。
故に、卒業。
学ぶ段階から与える段階へ、自分の立ち位置が変わる。

今までは、
物事を学ぶ環境が変わること=一つの期間が終わること=卒業であったのかもしれない。

しかし社会人は、
環境が変わること≠一つの期間の終わりではない。
場所が変わっても自分の持てる力を活かすことは変わらず、
場所が変わっても人に何かを与えながら生きていく。
それはたとえどんなことであっても連続的に続く1つの段階として成立しているものなのだと思います。

卒業は自らの意志とともに。

最後に少しだけネガティブな話をします。
2〜3年勤めた人間が退職する際に「卒業」という言葉を使うとこんな印象を持たれるという話。

退職を卒業と言い換える姿勢には、自分本位なニュアンスが感じられます。
まだ大して会社に貢献できていない段階で
「何かを吸収する目的でやってきて、もう吸収できたからここでお終い。もう学ぶものはありません」
という態度を出せば、経営者や上司、同僚の反感を買ってしまうのは当然です。

数年働いただけでそこで得られるモノを全て得たのか?
また、学ぶために働いていたのか?
そんな社会人としてのあり方を問われたような気がしています。

人は人、自分は自分という考え方で全く気にしないのもアリだと思いますが、
私がここで言いたいのは”自分の中でやり切った”と思える感覚があるかどうか、ということ。
卒業の意味の2つ目「ある段階や時期を通り過ぎること」という考え方に近い部分だと思います。

”やり切った”、”卒業だ”その判断軸は自分で構わない、むしろそうあるべきだと思います。

自分が今いるこの場所で何を得て何を与えていくのか。
これまでの学ぶ立場を卒業し、生きていく中で自分も何かを与える側に変化した。
新しい段階で生きていく中で、次に卒業があるとするならば、それは自分で決めた時。

自分の目指した姿にたどり着き、さらにその次の段階に進んだ時に、
社会人は”卒業”という言葉に再会できるのかもしれない。

そんなことをこの春の空気に触れながら思います。

ライ

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