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ここからはダークホースが話します

シリーズ・現代川柳と短文 027
(写真でラジオポトフ川柳115)

 昼間のファミレス。四人掛けのボックス席は先ほどから株の配当の話題で持ちきりだった。「ことしから急にくれるようになったのよ」「退職したからでしょ」「ほら、あの社長、若い、浅黒い人。なんとか崎とかいう」「へえ」店の出入口に最も近い席に座っている女は相づちを打つばかりで、自分からは話題を切り出さない。その女の前にだけケーキがある。ひとりだけ注文したのではない。ひとりだけ完食が遅れてしまったのだ。みんな食べるのが早いなあ。こんなにしゃべりながら、いったいいつの間に食べ終わったんだろうか。ケーキを食べ終わったらコーヒーを飲もうと相づちの女は決意したが、そのときはそれを誰にも言うつもりはなかった。


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