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2021年 角田の上半期旧作映画ベスト10

こんにちは。角田です。早いもので2021年も半分が過ぎました。高校生の頃は映画館に通うのがルーティーンになっていたので、上半期新作ベスト!みたいなテンションだったのですが、大学生になると時間に余裕があるくせにサークルの部室でダラダラだべったり、服屋で衝動買いするくせに1500円をケチったりと思うように新作映画が見れません。。

ですが旧作ならランキングをつけることができる程度の本数は見れたので(60本程度)2021年上半期ベスト旧作を発表します!!


まずは惜しくもベストテンに入らなかった作品を紹介します。

・ROOM237(アマプラ鑑賞)

『シャイニング』(1980)について、筋金入りのマニア達がこじつけに次ぐこじつけ、深読みに次ぐ深読みを披露する様を追うドキュメンタリー。んなわけあるかいと突っ込みつつ、「深読み」ってどこからどこまでを指すのだろうかとか意外にも思考が促される映画です。

・PASSION(新文芸坐)

『寝ても覚めても』などで国内外で高く評価されている濱口竜介監督が、東京藝術大学大学院の卒業制作で撮った映画。学生映画とは思えないクオリティと面白さ!着飾っていた人間達が醜い本音を露わにしていく様子が超スリリング。終盤の場面の長回しには、映画の神が降りていると思います。




それではトップ10の発表です!

10位 カリフォルニア・ドールズ(レンタル)

鬼才ロバート・アルドルッチの遺作。女子プロレスを描いた映画ですが、とにかくラストの対決が泣けて仕方ない。最後にアレが起こる瞬間、散々な人生だった主人公達がようやく報われたという感動。蓮實重彦氏の『ハリウッド映画史講義』の中で本作について製作背景も含めて解説されているのでそれもおすすめ。


9位 緑の光線(現代アートハウス入門 シネマジャックアンドベティ)

2月に一週間限定で、アート映画を映画監督や評論家のトークショー付きで上映する現代アートハウス入門という特集があり、そこで見ました。またやってほしい。夏が来ても恋人ができず何も楽しくない女性が主人公の映画。美しいバカンス地と軽妙なセリフの応酬。これもラストシーンでグッときます。米山!お前好きだと思うぞ。


8位 脱獄の掟(Men and The Gun特集 シネマヴェーラ渋谷)

ソフトですらなかなか見ることができない作品を上映してくれるシネマヴェーラ渋谷で見ました。いわゆる「フィルムノワール」と呼ばれる戦後にアメリカで大量に作られた低予算・短尺の犯罪映画群のうちの一つです。人間達が感情をぶつけ合う口論の場面は、直接的に暴力が振われる場面と同じくらいバイオレントでエモーショナルなのだと宣言する作品。そのエモーションが突然プツッと切れて映画全体が沈黙に包まれる瞬間にも興奮します。この映画に出てくるギャングの親分は、映画史上一番残虐。


7位 スパイダーマン:スパイダーバース(IMAX 3D ユナイテッドシネマ浦和)

映像革命と呼ばれるだけあってIMAXスクリーンを所狭しと暴れ回る「多次元空間のバグ」には衝撃を受けた。それ以上に、アメコミ映画の伝統やカルチャーとしてのヒップホップへの敬意を、それをジャンクに消費して愛するマイルスの視点を通して描いてみせたのが素晴らしい。教条主義ではなく「マジリスペクト」の精神。久しぶりに大スクリーンで、ニューヨークはブルックリンの摩天楼を見たら泣けてきた。またアメリカ製ビッグバジェット映画が沢山見れる時代が戻ってきてほしい。


6位 ラブホテル(相米慎二特集 ユーロスペース)

ブルーレイのリンクを貼ろうとしたらアダルト扱いになったので画像のみで。相米慎二監督、石井隆脚本なので、日活ロマンポルノというジャンルの中ではむしろ異作。長回しの一つの正解を見せられた感じ。部屋の中で男女が喧嘩してセックスする様を執拗に追いかけることで、刻一刻と変化する人間同士の心の機微がスリリングな要素へと変化する。昔気質な昭和の男と、バブルのファッション業界を生きる女。二人が出会ったことは運命でもあり呪いでもある。

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5位 ブラッドシンプル ザ・スリラー(レンタル)

『ファーゴ』で知られるコーエン兄弟のデビュー作。レンタルで出回っているのは、2000年に監督が追加シーンを加えた『ブラッドシンプル ザ・スリラー』。不倫、殺人、死体処理といったいかにも三文小説に出てきそうな話題を全て荒野のハイウェイがつないでいくという物語が実にアメリカ的。瀕死の男が地べたを這う様子を車のヘッドライト越しに映すといったドライな暴力シーンが鮮烈だし、ラスト10分ほどの銃撃戦の盛り上がりは異常。


4位 その女を殺せ(DVD)

最高に面白いジャンル映画。こういう映画が一番好き。ギャングの情婦を証人として護送する刑事たちと彼女を狙う暗殺者が列車という密室の中で攻防を繰り広げるという、「誰が撮っても100%面白くなる」題材ですが、リチャード・フライシャーという天才的な演出力を持った監督が映画化したことで、歴史的傑作になったと思います。数分に過ぎないカット毎に詰め込まれたアイデアの数々を、絶え間なく味わうのは最早快楽。ソフトが見づらい作品ですが、万人におすすめ!


3位 アンカット・ダイヤモンド(Netflix)

「感情移入できないと面白くない」「登場人物の掘り下げが少ないとつまらない」といった言葉を度々耳にします。もちろんこれは一理あると思いますが、映画の面白さは本当にそれだけでしょうか。ギャンブルで金を賭ける行為の瞬間的なエクスタシーしか頭にない男が主人公である本作は、その手の思い込みを破壊します。作り手はキャラクターに対して愛情など微塵も感じていません。なのに、このイカれたギャンブル中毒者の一世一代の大勝負に気づけば手に汗握ってしまうのです。映画というメディアの底知れない魅力が恐ろしいほど味わえる怪作。


2位 ヤンヤン 夏の想い出(Bunkamura ル・シネマ)

エドワード・ヤンという天才的な映画作家について今更書けることなどない気もするのですが、あえて言うならこの映画は世界を生きる全ての人々を救う力があると思います。我々が普段見ているくだらない世界を、カメラというフィルターを通して息を呑むほど美しい世界として提示する。そこに残酷な人生の有様を嫌というほど見せつけながらも、最後にヤンヤンが語る言葉と彼の目つきに希望を付与する。と、ここまで語りましたが、やはり何かを語った気には全くならない。言葉なんかで言い表せないだろ、こんな傑作。


1位 ストップ・メイキング・センス(U-NEXT)

家燃やせ!

俺はサイコキラーだ!

俺の人生どうしてこうなった!

ここが帰る場所に違いない!

GIRL FRIEND IS BETTER!!

STOP MAKING SENSE!!

FOOOOOOOOOOOOO!!

という映画。

ジョナサン・デミへの過小評価にそろそろキレそう。


以上、角田の2021年上半期旧作映画ベスト10でした。下半期もたくさん映画を観よう。

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