言えない言葉、言わない言葉
タブーなんてないはずなのに、
勝手にルールにする僕。
*
先日のこと。
何の気なしに僕は家の中で、
「面倒臭い」と言ってしまった。
お風呂のことだったか。
お皿洗いのことだったか。
どんなタイミングだったかは忘れた。
自然とポロッと出た言葉。
顔しか知らない隣人に条件反射で、
「こんにちは」と言う程度の
ポロッと出た言葉。
それを聞いた妻が目をギョロッとさせて、
「珍しい。どうしたん?」と聞いてくる。
その時に何故だか、
僕は「面倒臭い」と言ったら
いけない人なんだと思った。
そしてそんな状況もまた、
「面倒臭い」と思ってしまっている。
*
僕は普段から面倒臭いと思うことが多い。
朝起きるのが面倒臭い。
歯を磨くのが面倒臭い。
犬の散歩が面倒臭い。
お茶を飲むのが面倒臭い。
掃除をするのが面倒臭い。
仕事をするのが面倒臭い。
先方への電話が面倒臭い。
打ち合わせが面倒臭い。
ヘラヘラ笑いが面倒臭い。
生きてるのが面倒臭い。
面倒臭い、面倒臭い。
何をするにも正直面倒臭い。
だけど僕をよく知る妻から見ても、
僕の「面倒臭い発言」は珍しいらしい。
今まであまり言わなかったんだろう。
でも、面倒臭いって思ってる。
誰よりもきっと。
言えないだけ。
思ってはいる。
言えないことが僕には多い。
言ったら僕じゃない気がするから。
*
仕事の時も言わないことが多い。
無謀な仕事量、無理なスケジュール。
「難しいです」と言えれば良い。
だけど考えてるフリして、
「なんとかなるでしょ」と空返事。
考えてるフリをしている時間は、
脳内で「面倒臭い、無理だろ」を連呼。
言ってしまいたくなるけれど、
言ってしまったら僕じゃなくなる。
ニコニコしてて何に対しても、
「なんとかなるでしょ」と空返事。
なんとかなるではなく、
必死になるようにしているだけ。
とっくに限界は超えてて、
気がつけば鬱病と診断された。
それでも会社には病気のことを言わず、
毅然として「なんとかなる」と今日も言う。
「鬱病です」と言えば僕じゃなくなるから。
毅然としてなければ疑われたそうだから。
そうして今日の僕が形成されていく。
*
面倒臭いが言えない。
無理が言えない。
しんどいが言えない。
多分まだまだ言えない言葉がある。
言えたら幾分か楽なんだろうけど、
僕が僕じゃなくなる気がするから言わない。
今後も言わないと思う。
どんな人にも。
言えない言葉なんて何一つない。
だけど僕の中でタブーはあって、
ずっとずっと心に閉じ込めている。
それが僕。
だからこそnoteくらいは我が儘に綴りたい。
心のリハビリみたいなもので、
noteを通じて人に、
人を通じてnoteに還元できたら良いな。
あぁ、来週からの仕事イヤだな。
メガッパ