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【心の奥に咲く花】 #861


僕には10年ぶりに結婚して2度目の妻が居たのだが
1年半で別れてしまった

何というか
結局するまでは全くそんな感情は無かったのだが
何故か結婚してみたら
やたらと最初の妻の事ばかり思い出す

最初は思い出すばかりだったのだが
次第にその存在感は大きくなり
これは何処かで前の妻と今の妻を比べてしまっているのかしらと思っていた

でも時が経つと共に違う感情が芽生え始めた

前の妻に会いたいんだ
自分ではもう愛情などは無いと思っていたのだが
どうやらそうでは無いらしい

こちらから離婚を切り出したにも関わらず
そしてある事にも気が付いた

別れて11年と半年
自分では分かって居なかったのだが
心の奥底では夫婦としてまだ存在し続けていた
だから今の妻と結婚するまで恋らしき恋をしてこなくても
あまり何も思わなかったのかもしれない

そしてこれも失礼な話なのだが
恐らく今の妻は何処か前の妻に似ていたのかもしれない
いやにていたのだと思う

そしてこの1年半で検証していたのだろう
僕自身はそんなつもりは全く無かったのだが無意識にそうなっていたのだろう

全く別人の今の妻は前の妻とは別人なのだから違って当たり前なのだ
にも関わらずそんな事を何処かでしてしまっていた

日々膨れ上がる前の妻
日々萎んでいく今の妻

僕はこんな気持ちで夫婦を続けていくのは耐えられなくなった
一緒には暮らせない
今の妻に申し訳ない
今だったらまだ彼女は若いからまだやり直しが効く
だから別れるならば早い方が良い

僕は別れたいと伝えた
すると今の妻も同じことを考えていたと言った
理由を聞くと付き合ってた時は優しかったのに
結婚して日を追うごとに僕は冷たくなり
何を考えているのかも分からず
一緒に居てても重い空気が流れ疲れ果ててしまったと言う

申し訳ない事をしてしまっていたのだ

僕は謝り別々の道を進もうと離婚届を役所に提出した

何か肩の荷が降りたようなスッキリした気持ちになった


これからどうする

前の妻とは全く連絡を取っていない
会いたければ会うのは簡単だった

彼女は弁当屋をやっており
そこへ弁当を買いに行けば会える


しかしそんな勇気は無いし
ひょっとしたら再婚しているかもしれない

僕はこんな気持ちだけれども向こうは向こうの感情があると思う

会いたくても会えないのだ

だから僕は思った
このまま以前のように頭の中で夫婦生活を続けていれば良いんだと
それでこれまでも穏やかに過ごせていたのだから
これだと前の妻にも迷惑がかからない

これで良いんだ

だからそうする事にした


そして僕はその後誰とも結婚はしなかった

歳を取りボケ始めた僕はよくそこには居ない妻と会話し2人で幸せな老後を送っていたようだった



ほな!

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