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【空に一番近い子】 #901


昔から何をやっても目立ってしまう

それは私がノッポだから

特に学校全体の行事とかで間違った行動を取ってしまったりすると非常に目立つ
そしてスグに注意を受ける

中学生になるとバレーボールやバスケットボールなどのクラブから誘いを受けるけれども
私は非常に運動音痴であるので
とてもじゃないけど運動部には所属できない
ただただ鉛筆みたいに細長いだけだ

高校生になってもやはりバレーボールとバスケットボールの洗礼は受ける
そして運動音痴を理由に断る


青春真っ只中
好きになる男は全て私より背が低い
向こうがチビなんじゃなくて
私がデカいだけなんだけども
好きだけど申し訳なくて告白もできない

そんな私が連休を利用して東京に買い物に出た時に声をかけられた
モデルにならないかと
名刺を渡された
興味があったら連絡下さいと

モデル?
そんなの考えた事も無かった
でも確かにそうよね
背が高いから
運動音痴は関係ないし

家に帰ってからインターネットでこの会社を検索してみたら
ちゃんとしたモデルの事務所で間違いなかった
しかも日本だけじゃなくて海外でも活躍するモデルさんなんかも所属してる
すご〜い

お父さんとお母さんに相談してみた
お父さんもお母さんも大らかで優しい人だったので
私がやりたいなら応援するよと言ってくれた

私は一人は怖いから連絡して
もし事務所に行く事になったらお母さんに着いてきて欲しいとお願いした

お母さんはもちろんいいよと言ってくれたので一安心


インターネットで見た電話番号に電話をして名刺の名前の人をお願いしたら

「あっその人ね
ウチの事務所を語るニセモノの社員です
名刺見て下さい
携帯電話番号しか書いてないでしょ」

「あっ本当だ」

「その番号教えて頂けませんか?
しょっちゅう番号が変わるので
警察に被害届出してもどうにもならないのよ
アナタになりすまして警察と連携して連絡してみますので」

そう言われたので
自分の名前と相手の携帯電話番号と念の為にって私の電話番号も伝えた


未然に防げたけれど
とてもショックだった
もしあのまま会社じゃなくって携帯電話の方に電話をしていたらって思ったら怖くなった

東京ってやっぱり怖い所なんだ

でも憧れるんだよなぁ

結局モデルにはなれず
モデル事務所からも犯人が見つかったという連絡も無く
私は高校を卒業して地元のJAに就職して銀行窓口の仕事に着いた

仕事場までは車で15分
国道一本道
途中にあるのは小さなホームセンターとドラッグストア
それからガソリンスタンド
信号はJAの手前にひとつあるだけ

ホームセンターに寄る事はほとんど無い
ドラッグストアはよく寄る
食べ物と飲み物を買う為でお薬はほぼ買わない

平日はこの道を15分行ったり来たりしているだけ
土日は休みだけど毎週は出かけない

出かけると言っても
お母さんと一緒にイオンモールに行く程度
あそこに行ったらユニクロとか無印とかあるから何でも揃う
適当に買い物してフードコートでなんか食べて最後はスーパーで食材買って車で帰る
そんな程度

私はデカいからイオンモールに行ったらほぼ誰かに声をかけられる
皆んな行くとこ無いからしょうがない

JAと家との往復では出会いなどは全く無い
窓口に来るのは一番若くておじさんおばさん
通勤は車だから出会い無し
家に帰ったらお父さんとお母さんとマルチーズのメルルだけ
前は弟も居たけど今は県外の大学生

多分このままで行ったら私はずっと独身なんだろな
彼氏も居ないんだろな
あまり危機感は無いけど

大した趣味も無い


ある日友達からLINEがあった
河原でバーベキューするから来ないかと
その日は別に予定が無かったので出かける事にした

バーベキューはほぼ同窓会状態だった
東京組がお盆で帰って来たから集まろうって事になって

とても楽しい時間過ごした

そしてまた日常へと戻って行く
当たり前すぎる毎日

平凡では無い身長の
平凡な日常生活



ほな!

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