【成仏と神の悪戯】 #994
私が山中で白骨化した頃に
私の妻と妻の男は警察に捕まった
私は重度の障害を抱えており
ほぼ寝たきりの状態だった
妻と結婚した時は普通に働いていたし体には何の異常も無かった
だが結婚して5年が経ったある日
体の調子が悪くなり
かかりつけの医院で診てもらったところ大学病院を紹介してもらい診てもらう事になった
すると世界でも珍しい難病で今の医学では直す事ができないらしい
病は徐々に悪化し全身が麻痺していき
最終的には死に至るそうだ
余命で言うとこの病気の前例としては長く持っても7年だそうだ
大体は発症してから4〜5年の場合が多いと宣告された
なぜ私が?
何も悪い事などしていない
どちらかと言うと善良な市民である
なのになぜ神様は私を選んだのか
妻もかなりショックだったようで涙を流していた
最初の2年ほどは自力で動き回れたが
3年目でガクッと来て
4年目にはほぼ寝たきりになった
この頃から介護の人が来てくれるようになった
妻も働きながら私の世話をしてくれた
まだ若いのにこんな私の世話をする羽目になって申し訳ないと思ったが
私と別れて新しい人生を歩んでくれとは言えなかった
そんな勇気は私には無い
そして5年目に突入した辺りから様子がおかしくなって来た
妻は殆ど私と接触しようとしなくなった
最初の頃は気が付かなかった
しかし次第に2人は大胆になって来た
そうなのだ
介護に来ていたスタッフの1人とできてしまっていたのだ
この頃の私はもう意思の疎通はできなくなっていた
とても歯痒い
妻が喘いでいる声が聞こえる
何故耳だけは聞こえるのだ
何故目だけは見えるのか
どうして声をあげれないのか
どうして体は動かないのか
それを良い事に最近では目の前で見せつけてやりやがる
目は閉じれても耳は聞こえてしまう
目も閉じ続ければ良いもの
時々目を開けて見てしまう
何処かで興奮しているのも知っている
怒りと悲しみと興奮で頭が狂いそうだ
私はついに8年目を迎えた
最高新記録だ
担当医は驚いていた
学会が何とかって妻に言っていた
そして医者が帰った後
あの介護の男に
「コイツまだ死なないのか?
しぶといな」
そう言われた
絶対に死んでやるもんか
そう固く誓った
だが8年目の秋に私は2人に殺されてしまった
死んでしまった私はクルマに乗せられ隣の県の山中に埋められた
この山はこの男の祖父の持ち物で祖父亡き後は誰も来ないような所だった
2人は直ぐに全国指名手配されたが逃亡してなかなか見つからなかった
そして
太陽の周りを地球が3周目に入った春に2人は捕まり
自白した場所を掘り起こしたら
ほぼ骨になった私が見つけられた
これでやっと成仏できる
これでやっと自由の身になれる
西方浄土で穏やかに過ごしたい
悪い事をした人は必ずその報いは受けなければならない
そうなっている
神様のイタズラで私は病気になったが
これからは仏様の管轄に入ったので
もうそんなデタラメな事は起こらない
と思うよ
ほな!
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