見出し画像

【放課後のそれぞれ】 #646


ある地方の町で
女子高生が自死(自殺)した
妊娠していたらしい
地方誌には載ったが
全国誌にはあがらなかった

警察も他殺では無かったので
捜査は早々に打ち切られた

お葬式には
同級生や担任の先生などが
出席した


誰の子なんだ?

それには
誰も触れようとしない

しかし
沈黙は破られた

お焼香が始まり
担任の先生の順番になった時
後ろから声がした

「先生
ちゃんと責任とって
償いなさいよ

私知ってるんだからね
先生とナオミの関係
彼女を追い込んだのは先生よ
ちゃんと証拠だってあるんだからね」

式場は凍りついた

先生はガタガタと震え出した後
その場に泣き崩れた

周りは何とかせねば
という空気になったが
誰もが固まってしまい
動けず仕舞いであった

後ろから
校長先生が駆け寄り
先生の体を支え
式場のロビーに出た

お葬式は
その後
無理矢理続行し

後日
改めて警察から
任意同行を求められ
話を聞く事となった

これでこの事故は事件へと変わり
全国のメディアでも扱われるようになった


自死した少女のお友達も警察に呼ばれ
証拠となるLINEのやり取りや
その他の話を詳しく聞かれた



山田先生は
どちらかというと
パッとしない先生だったが
生徒から嫌われている
という訳でも無かった

自死したナオちゃんは
小さい頃
お父さんとお母さんが離婚し
お母さんと2人暮らしだった
このお母さんは
どうも男にだらしないようで
定期的に違う男を連れて帰ってくる
居場所の無くなった彼女は
たいてい近くのコンビニや
ファミレスや漫画喫茶で時間を潰していた
時間がある時は私も付き合ったり
LINEしたりしていた

そんなある日
漫画喫茶でまた時間潰していると
偶然山田先生に会ったらしい
山田先生は漫画喫茶に居た彼女に
少しビックリしたようだけど
怒るでも無く
優しく声をかけてきた

ナオちゃんは
寂しかったのと
担任の先生だった事もあって
家の話をした

そしたら先生は
次の懇談会で
お母さんに話してくれると約束してくれた
それから
またもし家に居られなくなったら
連絡するようにと
LINEの交換をした

最初は
ホントにそんな些細な事だった


時々先生と会って
時々LINEして
だったけど
寂しかったのと
お父さんが居なかった事もあって
どんどん先生に依存気味になった

会う回数も
LINEする回数も増え

ある時
ナオちゃんは
先生の家へ遊びに行っちゃった

とうとう2人は結ばれてしまった

ただ
先生の方はその事に後悔していたようで
何とか元の先生と生徒の関係に戻そうとした
でもナオちゃんは夢中になり
先生の言う事も聞いてくれない
それどころか
逆ギレして
学校にバラすとまで言い出した

その頃から
私はナオちゃんから相談を受けていた
もちろん逆ギレの話とかは
知らなかったけど
普通の恋愛相談みたいな感じでしか
書いてこなかった
ただ相手が先生だったので
私は動揺したけど
仲良かったし
見捨てられなかった


ただ後で分かった事だが
検死した時の赤ちゃんのDNAと
先生のDNAは一致しなかった

結局
誰の子供なのかは
分からず仕舞いだった

先生は依願退職した
彼女の自死の原因の一つではあるが
お腹の子供が先生の子で無かった事で
刑事告訴はされなかった


私は先生をチクったとして
学校では無視されるようになった






ほな!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?