脚本を書きたい人へ～SAVE THE CATに学ぶ『10のジャンル』まとめ～

この記事は、ハリウッド式の脚本メソッドをシンプルかつ分かりやすく解説した『SAVE THE CATの法則　本当に売れる脚本術』に登場する、ストーリーの本質をふまえた10のジャンルについて簡潔にまとめたものです。

”ここではいわゆるありきたりのジャンル分けはしていない。たとえば、ロマンティック・コメディー、叙事詩、伝記物といった分け方ではない。そういう分類の仕方では、ストーリーの本質を押さえていないから。肝心なのはストーリーの本質を踏まえた上での分類なのである。”

引用：SAVE THE CATの法則本当に売れる脚本術

1. 家のなかのモンスター

家の中でモンスターから逃げ隠れするパターン。

『家』とは町、宇宙船、学校など逃げ場のない空間を指します。しっかり閉じ込められていないと緊張感に欠けるので、家の存在は重要です。

恐ろしい敵である『モンスター』とは、誰かが犯した罪の結果誕生するものです。
罪には金銭欲、物欲、無知など色々ありますが、その結果として家の中にモンスターが誕生してしまう、または招き入れてしまう事になります。そしてモンスターは罪を犯した者に復讐したり、自分の罪に気付いた者を見逃してやったり、といったストーリーです。

2. 金の羊毛

旅に出た主人公が変化・成長するパターン。

何かを求める旅の途中で様々な登場人物と出会い、たくさんのイベントを乗り越えていきます。しかし個々のイベントがどれだけ面白いかという事よりも、そこから主人公が何を得て、どう成長したかという事が大切なのです。
主人公の得る物に一貫性があるとなお良しです。

3. 魔法のランプ

主人公が願いをかなえるパターン。

恵まれない主人公が願いを叶え、幸せになるシンデレラストーリーがイメージしやすいですね。しかし一生成功し続けるわけではなく、最後には普通の人間である幸せを享受し、大切なのは道徳的な事だ、という教訓に繋げます。

逆に嫌な主人公が願いと同時に呪いを得て、不幸になるパターンもあります。しかし最後には多少救いがあり、不幸の結果として別の何かを手に入れたりします。

ちなみに魔法のランプの魔神に値する存在は、別に魔法である必要はありません。大金だろうと、運だろうと、何でも良いのです。

4. 難題に直面した平凡な奴

平凡な主人公が大問題に直面するパターン。

『平凡な主人公』は、観客が感情移入しやすいごく普通の人間。それがとんでもない『大問題』に突然直面するというミスマッチが面白いのです。
とにかく強大で極悪な問題に、平凡な主人公が必死で立ち向かい勝利するところに感動が生まれます。

5. 人生の節目

人生の試練を乗り越え、勝利するパターン。

人生の節目に、辛く苦しい経験はつきものです。それはどうしたって避けられない、人生という大きな力によるものでしょう。
主人公は、忍び寄る試練の正体に徐々に気付きます。試練を受け入れて乗り越え、「人生とはこういうものだ」と最後に笑えるようになった時、ついに主人公の勝利と言えます。

6. バディとの友情

主人公と相棒の友情・愛情を描くパターン。

最初は嫌い合っている二人が、徐々にお互いの必要性に気付いていきます。
しかし意地を張ってしまい、葛藤が生まれます。お決まりの「べっ、別にアンタの事なんて何とも思ってないんだから」のパターンです。
そして終盤で喧嘩し、一度離れ離れになります。離れている期間、二人はお互いの必要性を再確認します。
最後にはお互いが意地を捨てて手を取り合うというエンディングに繋がるのです。

7. なぜやったのか？

事件を紐解き、人間の邪悪さを暴くパターン。

犯罪事件の謎を解く過程で、登場人物の心の奥底にある闇が暴かれていきます。観客はそれを見て、人間の目に見えない邪悪さを目の当たりにします。
「誰がやったのか」よりも「なぜやったのか」が重要なのです。

8. バカの勝利

バカが強大な敵に勝利するパターン。

成功するとは誰も思わない負け犬の主人公が、権力を持ち神聖で立派な悪者をおちょくり、批判し、コケにするストーリーから観客は希望をもらいます。
表面的には無能に見える主人公は、絶対にあきらめない心や特異な才能を持っており、実際はバカではなく誰よりも賢者なのです。

9. 組織のなかで

個人より集団を優先する事の是非を問うパターン。

新しく組織に入った主人公が、観客と共にその組織の動作原理を知っていきます。組織を動かす根源には、狂気や自滅的なものがある事が多いのです。　
主人公は組織に誇りを感じる一方、自分らしさを失っていきます。集団のために自分を犠牲にする事の是非を描きます。

10. スーパーヒーロー

普通と違うヒーローが、周囲に理解されず苦悩するパターン。

超人的スーパーヒーローは、凡人に才能を妬まれたり、誤解され、理解されない事があります。
人と違う才能や独創的な考え方を認めたがらない人間の心の狭さは、誰しも感じた事があるでしょう。だからこそ、才能を持つ一方で苦悩する主人公に、観客は同情・共感するのです。

まとめ

今回はだいぶザックリ説明しました。
同じくSAVE THE CATに学ぶ15のビート(物語の作り方)については、こちらの記事にまとめてありますのでご覧ください。

より詳しく知りたい方は、
『SAVE THE CATの法則　本当に売れる脚本術』
『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術　SAVE THE CATの法則』
を手に取ってみてください。

SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 ＳＡＶＥ ＴＨＥ ＣＡＴの法則

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