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Absolutions 絶対的にカッコいいJazzと男のコト

カッコいいオトコとは、どういう男なんでしょう。これは異性側の女性だけでなく、男側からも考えないといけないことですよね。(もちろん、最近はLGBTの兼ね合いもありますので、こういう文章の始まりはある意味失礼かもしれません、文章の始まりの文句として、書いているだけですので、もし差し障ることがあれば申し訳ないです。)

さて、まあ、世代にもよりますがキム〇〇さんとか、○○ニー・デップさんとか世にはこびるそういう色男の代名詞的な方はさんざんといますが、こと音楽界隈にもたくさんのそういった男たちがいます。昔から音楽と色男は切り離せなかったようで、それでこそクラシックの世界ではあのリストとかもそうですし、ジャズの世界ではチェット・ベイカーなんかはジェームズ・ディーンになぞらえられていたようです。またロック界ではもう、大概のギターヒーローがイケメンですよね。ビリー・ギボンズとかですかね、、、いや、嘘です。嘘というとそれもまた失礼ですね、えっとまあ見た目だけでは色男は決まらないですからね。

そうなんです、見た目だけではなく、そのもたらした音楽性や生き方がもはやカッコいい、それ以外の言葉が見つからないミュージシャンもたくさんいます。

とりわけ、1950~70年代前半のジャズのシーンではその常に先鋭をいくようなことが時代の寵児であり、そして硬派でカッコよさを体現していたのが、マイルス・デイヴィスとリー・モーガンではないでしょうか。

二人のトランぺッターの出現はおおよそ10年ほどの開きがあるかと思います。マイルスはチャーリー・パーカーのバンドで早熟なトランぺッターとして、そして約10年後に、ディジー・ガレスピーのバンドでやはり早熟したトランぺッターとして。奇しくもビ・バップの盟友同士であるチャーリーとディジーのもとでそれぞれ「発見」されるというところに何かしらの宿命たるものも感じます。1950年代にマイルスのトランペットはビ・バップの高速かつ制限された各調性内でのアドリブから解き放たれ、ミュートを基調とした味わい深いソロ、そして、最後にはスケールからも解き放たれ、モードへと突入しました。(スケールではなく、各小節内での様々な旋法によるアドリブの拡張)


一方で、1960年代にはより高速なハード・バップへも接近しますが、そこにロックのリズムである8ビートの曲「サイドワインダー」を以てして、ジャズ界に新たな息吹とクールさを持ってきたリー・モーガン。ハード・バップ界に一躍、躍り出ると、その後はやや不調であるときはあったものの、ハードバップに留まらず、ルー・ドナルドソン系のファンク・ジャズ(あるいはソウル・ジャズ)にも接近しつつ、最後には「新主流派」として純粋なクールなジャズを演奏してきました。その後はわずか33歳にて亡くなってしまう(奥さんに銃で撃たれる)のですが、この辺は「私が殺したリー・モーガン」というドキュメンタリー映画をぜひ見て頂ければ、その辺のいきさつ含め、いろいろ学べるかと思います。


さてさて、そんなリー・モーガンですが、彼の後期、しかも最後のライブ録音盤かつ、大名盤の「Live at the lighthouse」はぜひ聞いてほしいです。特にLPは2枚組のボリュームのあるものですが、収録曲はたった4曲。しかも、それぞれが各面に収録されているというもの。

最初は、「Absolutions」という曲なんですが、最初の曲紹介でリー・モーガンがそろっと曲名を言い、ベースから始まる、これだけで本当に鳥肌ものです。そして、管楽器隊が高らかにテーマを吹くので完全にやられてしまいます。蒸し暑い夜に、バーボン・ロックを片手に、少し難しい顔をしながら聞いてもいいかもしれませんね。

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もはやLPどころか追加収録曲のあるCD版でさえ価格高騰の激しい彼のアルバムですが、、、サブスクリプションにもあるので、もし手に入れるのが難しいようでしたら、そちらからでも聞いていただければとは思います。(曲順とかLPと違うのが、本当に残念ですが、それでも彼の演奏は素晴らしいです。ちなみに確認できたのはひとまずApple Musicだけですが、多分ほかにもあるとは思います。)


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