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EP.43 困り事へ新アプローチ!「いきいきらいふマルシェ」開発秘話!!

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いつもお読み頂きありがとうございます。2015年4月の介護保険制度改正を目の当たりにして、激変する介護保険制度の中から切り捨てられる可能性のあるサービスが出てきました。EP.41 激変の社会保障制度 未来を見据えた新チャレンジの背景!をご確認ください。

 お客様の困ったを解決するために動いている私たちとしては、とても歯がゆい状態です。そんな中、現場メンバーからの提案により新しいアプローチの道が開きます。
 現在、この事業からどんどん新しい可能性が見えてきているデイサービスにおける小売事業「いきいきらいふマルシェ」サービス誕生についてご紹介します。


◆現場の声を伝える活動の重要性

 介護が必要な高齢者の生活を支える社会インフラ制度である介護保険制度は、2000年にスタートし、3年ごとに制度全体と報酬設定の見直しが行われているのは、EP.41にて記載しました。
 度重なる改正にて、複雑な制度になってしまっている上に膨らむ社会保障費を抑えるために介護報酬削減を前提とした制度の見直しの動きが行われていきます。ない袖は振れませんので、これ自体はある意味日本の将来を考えていけば避けられない判断と受け止める他ありません。

 しかし、一旦スタートしてしまっているサービスの内容を大幅に見直す(切り捨てる)ことは、その時のサービスを受けて生活を維持されている高齢者にとって、在宅生活を継続できない事態を引き起こします。

 そう言った変更にならないために、日本デイサービス協会や全国介護事業者連盟などの業界団体の活動として現場の意見や提案をしっかり伝えるように動いている訳ですが、一度決まった内容を覆すことはとても難しいと実感しています。また、介護従事者メンバーも、制度改正直前(改正6カ月前くらい)にザワザワすることが通例ですが、議論はその遥前(改正2年前くらい)から始まっているのです。この間にしっかり声を上げていかないと議論の俎上には上がらないことを強く認識しないといけません。

 介護保険制度の先行きについて常に情報収集している私は、この先の方向性について常にメンバーに共有しディスカッションしています。経営の舵取りする身として外せない活動です。

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◆生活援助サービスの切り捨て議論⁉

 衝撃的な2015年の介護保険制度改正議論の際に訪問介護の生活援助サービスを介護給付から外すという高齢者の生活に大きな影響を及ぼす内容が上がった時に、在宅介護従事者には激震が走りました。

・生活援助とは
身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるもの(家事援助は、本人の代行的なサービスとして位置付けることができ、仮に、介護等を要する状態が解消されたとしたならば、本人が自身で行うことが基本となる行為であるということができる。)

 在宅生活をする上で要介護高齢者の直接的な身体介護だけでなくその身の回りの支援はただのお手伝いではなく、その方の尊厳を維持したとても重要な支援であることを現場の介護従事者は知っているのです。

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その中に日常生活における買い物代行も含まれています。独居高齢者にとって日常生活品の買い物ができなくなることは、在宅生活の継続が困難になることを意味します。
私たちは、インターネットを使って買い物ができますが要介護高齢者、老々介護高齢者にとってはこれも難しい。(2014年当時は、今ほど私たちの生活でも日常使いするほどではなかったと思います)

そんな状況下において、現場メンバーの一言から新サービスが生まれることになりました。


◆新サービスは現場の声から誕生

 このまま行くと、在宅介護高齢者の中に買い物難民が発生してしまう。お客様に常に寄り添い、ニーズを把握している現場メンバーから一言。

「私たちにもっとできる事はないですか?」

これを考えることができるのが、当社メンバーの強さです!

「お店(デイサービス)で買い物できるようにできないですか?」

「面白い!!」

保険でダメなら、保険外!!介護サービス提供外の時間で買い物してもらうようにしよう。

 今、お読み頂いている方にとって、「そんな特別なこと???」と思われたもしれませんが介護現場は、介護保険制度で雁字搦めなのでできないことが本当にたくさんあるのです。そんな環境にいるとこんな発想すら浮かばず、さらに実行するとなると相当なエネルギーが必要になるのです。

 ただでさえ人材不足の現場に新しい手間が増えることは、たんなる負担と映り敬遠される要因となります。

『私たちが大変になることは、お客様の役に立っている証拠。逆に私たちが楽になることは、お客様にとって負担や不満を抱かせていないか確認しないといけない!』

常々、こう伝え評価制度にもバリュー評価を導入してきた効果のようにも感じました。

この発想からデイサービス内での買い物サービス「いきいきらいふマルシェ」の企画会議が始まりました。


◆「いきいきらいふマルシェ」企画!

とは言え、物販・小売の流通事業は未経験。
取締役を中心に企画と仕入れ先の開拓を行い、福祉用具事業責任者が実行メンバーとして動きだします。

特別な高価な商品より、お客様が日常生活で必要な食品を中心に品目構成していきました。そして重要なポイントとして、

「私たちが食べて、おいしいと感じるものしか売らない!」

これが合言葉。理由は明確、介護高齢者向けの食品は栄養面を考慮されてはいるものの、塩分を抑えた薄味。そして、咀嚼・嚥下機能の低下に合わせた食感のないやわらか食ばかり。

 高齢者の食事は、野菜中心の和食というイメージを持ちがちですが現場でお客様に接していると意外なことにハンバーグ、カレー、シチューなど、味の濃いものが好まれたりします。私もデイサービスの管理者をしていた時に栄養バランスのとれた昼食を提供していた際に、ドバドバとソースやしょう油をかけている光景を何度も目にしています。
 もちろん病気によって食事制限がある方には細心の注意が必要になりますが、私たちが生きていく上で美味しいものを食べたいと言う欲求はとても重要で「食」は生きがいにつながると思っています。

マルシェ(リズム)

 何より大事なことはお客様自身が「選択」できること。

「いきいきらいふマルシェ」は、ここに重きを置きたいと考えました。また、日常生活範囲では手に入らないご当地食品や地方の名産などもキャンペーン販売していく方針で動きます。

 当社は東京を中心として関東圏にお店が多かったこともあり、戦後に東京に出てこられた方々がたくさんいることを知っていたので、故郷の味を思い出してもらう企画なんかも打ち立てていきました。

また、実際のニーズ調査としていきいきらいふSPA全店舗にヒアリングし、デイサービス”あるある”を確認すると、

「送迎中にスーパーの前で降ろして欲しい」
「サービス時間中に、外出して買い物に連れて行って欲しい」

との意見が多数でてきていました。この意見は、当社のお客様に特質したものではなく、競合他社においても同様の意見が多いことも確認していました。

私たちの想いとお客様のニーズが合致したことを確認したことで、トライアルへの動きは加速していきました。


◆通所介護報酬の減少をカバーする収支事業

 介護保険法改正により、小規模デイサービスは10%以上の報酬減。全国的に小規模デイサービスは売り上げが下がり経営を圧迫する状況になってる背景もあり、今後の生き残りについては新しい取組が必須の状況。しかしながらデイサービスの増収策のパターンは限られていました。
それは、お客様を増やして稼働率を上昇させるために、お客様の出席率を上昇させること、もう一つは保険外のサービスを構築し売り上げを立てることです。

出席率の向上と保険外で売り上げが立てやすいという2つの増収策をかなえる方法を検討

この答えが「いきいきらいふマルシェ」になります。同じ課題を抱えるデイサービス事業者への提案も視野に物流拠点の開設、販売管理システムの構築など様々な検証作業を行っていくことにしました。

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課題はもちろん山積でしたが、担当チームの試行錯誤により2015年秋からトライアル販売がスタート。この後、大きな損失や販売ノウハウの確立まで流通事業の難しさを痛感していきますが約1年のトライアルを経て、2017年に正式にサービス稼働となりました。

 実際に現在この事業単体での売上は、デイサービスの介護報酬の減少分を十分カバーできる成果となっており、さらに「いきいきらいふマルシェ」の流通事業から様々なマーケティングデータを分析することで現在は外部企業とのアライアンスが結ばれたり新しい事業展開につながっていきます。

別のエピソード(続編)では、この辺りについてご紹介していきます!!

 今回の話からどんなことに気づかれましたでしょうか?単純な利潤追求ではなく、お客様の困ったを解決するニーズアプローチをあきらめずに続けていくことが事業を育てる根幹にあることを私達は体験しています。

 結果のでないことの矛先を自分に向けるのがリーダーであると信じて、チャレンジあるのみです!!


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