HUNTER×HUNTER考察 ネフェルピトーの能力についての考察

はじめに

王直属護衛軍の中でも最初に産まれて、キメラアントのヤバさをこれ以上ないほど読者に印象付けたネフェルピトー。
ここではそんなピトーの能力について語っていきたいと思う。

系統について

ピトーの念系統は、水見式で葉を枯らせたことからもわかるように、特質系なのは間違いない。ただし、能力も特質系なのかに関しては疑問がある。
それというのも、ピトーの能力自体はほぼ具現化系と操作系で説明がつくからだ。
具現化した人形使いに命令を与えて、人形の肉体を操作する能力とでも呼ぼうか。
死体を人形として思いのまま操る能力も、自己を強化する黒子舞想(テレプシコーラ)も、基本的には同じである。
実際、作中でもノヴが彼のことを操作系能力者と推測していた。

玩具修理者

ピトーの能力の中で、ひとつだけ他との違いがあるとすれば、それは最初に発現した能力である玩具修理者(ドクターブライス)ではないだろうか。
この能力は他と違い、具現化した念獣に治療をさせる能力である。
この能力を発動中は他の能力が使えず、移動することもできず、強制的に絶になるなど酷く燃費の悪い能力だとされている。
再生には相当なエネルギーが必要なことは、ゴンの治療に当たったナニカからもわかることだが、このときのゴンは半死半生であり、制約も存在していた。
これに比べて、腕を再度繋げる手術にそこまで燃費が必要だろうか?
様々な制約と誓約が用いられているであろう大天使の息吹はともかく、クラピカは強化系の回復力で骨折をいとも簡単に治していた。
強化系能力は特質系能力者にとって相性が悪いということを考えると、治療に時間がかかってしまうことは仕方のないことだろう。
精密操作が必要なため、他の念人形が消えてしまうことも仕方がないといえる。
だが、治療中は絶になるという制約は果たして必要と言えるだろうか?
長時間自身を無防備に晒す。これはある意味弱点とすらいえる能力である。

特質系能力

自身が絶の状態で発現する能力で言うと、同じく特質系のツェリードニヒの能力が上げられる。これは、目を閉じて絶を行うと発動する能力で、一瞬の間に10秒先までの予知夢を見ることができるという、まさしくどの系統にも属さない特質系能力だといえるだろう。
どの系統にも属さない。これが特質系の本質である。
さて、同じ王子であるカミーラの念能力である百万回生きた猫(ネコノナマエ)は、自身の死後に猫のような念獣を具現化し、攻撃してきたものの命を以て蘇生するという能力だ。
これは死後強まる念も用いられているが、おそらくは念獣の強化が主な目的だと思われる。
ここで重要なことは、制約と誓約次第で念能力者は死者を蘇生させることができるということだ。
この死者蘇生がどの系統でもできることなのかについてだが、カミーラの系統が具現化系なのか特質系なのかが明かされていないためわからない。ただ、具現化系と変化系の中間であるカイトが念能力で蘇生することができたのであれば、特質系でなくとも蘇生は可能だということになる。
ただし、二人ともあくまで自身の蘇生しか描かれてはいない。
もし、他者を蘇生できる能力があるのであれば、それはどの系統にも属さないといえるのではないだろうか。実際、特質系能力は他者に何かしら作用するものが多い。

ここから導かれる結論として、ピトーの玩具修理者(ドクターブライス)の真価は治療や改造ではなく、他者を蘇生させることだったのではないだろうか。
ただ、ここで問題になるのは、ピトーが実際にカイトを蘇生させようとして失敗していることだろう。
これについては、カイトの強さについての考察で述べたように、カイトが自身の能力で魂をプロテクトしてしまったことによって、蘇生が失敗に終わってしまったのではないかと思う。
そしてこの経験から、ピトーは念を用いても死者の蘇生はできないと思い込んでしまった。
結果、ピトーはこの能力を治療や改造に用いるだけとなったのではないだろうか。
生命を蘇生することのできる能力。そういう能力にすれば良いと考え作り出した能力は、自然とそれを可能にするための制約を作っていた。なので、燃費が非常に悪い能力となったと考えると、辻褄が合うだろう。
具現化能力は、具現化したものに特殊能力を付与することが多い。治療するだけであれば、もっと燃費は軽くすることができたのではないだろうか。

おわりに

推測に推測を重ねた上での考察なので、他考察よりも自信はありません。
ただ、玩具修理者の元ネタ小説では、生命を生き返らせることができたことを考えると、この推測もあながち間違いではないのではないかと思ったり思わなかったり。
最初は特質系の能力として蘇生させようとしたけど、本人が作中で語ったように、失敗したから防腐処理の改造をして操作した。
そこから操作の方に興味が移り、操作系能力を生み出していったと考えると筋が通る気がする。
念の源は心であり、直感で発現した玩具修理者(ドクターブライス)こそが特質系能力だったのではないだろうか。
そう考えると、ピトーがそれを自覚して生き残っていたら恐ろしいことになっていたのではないかと思う。


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