佐藤 航陽(著)|お金2.0 新しい経済のルールと生き方
どうも、読書家のヒデです。
今回は幻冬舎さんから2017年11月30日に出版された、佐藤 航陽さとうかつあきさんの『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』をご紹介したいと思います。
本書は「新しい経済の歩き方」を示してくれる1冊。
近年、フィンテックやシェアリングエコノミー、評価経済や暗号資産、ブロックチェーンやNFT、メタバースやDAOなど、そう言った言葉をよく耳にするようになって、私たちの目の前で「お金」や「経済」が大きく変化していってます。
インターネットが普及して、情報のあり方も劇的に変わりました。
検索すれば何でも知れる時代になって、SNSの登場で情報のあり方、コミニケーションのあり方も大きく変わりました。
そして今まさに、「お金」や「経済」のあり方も変わろうとしています。
ただ、お金や経済がどうやって変わっていくのか、どんな方向に向かっていくのか、それがわからないと不安になる人も多いと思います。
私たちの目の前に登場した、新しい経済とは一体どんな経済なのか、その「新しい経済の歩き方」を本書では示してくれています。
誰でも1度はお金で悩んだことがあると思います。
お金によって人生の道が狭められてしまったり、日常がうまく回らなかったりと、そういう経験をした人っていると思います。
お金や経済のメカニズムを理解して使いこなせるようになれば、お金に対して抱く不安や恐怖や焦り、そういった感情から解放されるかもしれないです。
本書は「お金や経済とは何か?」その正体を理解し、お金というフィルターを外して、お金や経済をツールとして使いこなし、新しい経済を歩いていけるようになる、そんな1冊になっています。
そんな本書から今回は「お金とは何か?」「価値主義とは何か?」この2つを解説したいと思います。
お金とは何か?
「お金とは何か?……そんなこと考えたことないけど…」という人も多いと思います。
ですが、私たちは、資本主義社会の中を生きています。
その中で「お金とは何か?」というのを知ることは、とても重要なことです。
お金とは、ひと言で言うと「欲しいものを手に入れるための手段」です。
例えば、スーパーで牛乳が欲しいなら、レジでお金を払えば牛乳が手に入ります。
要するに、お金は欲しいものや必要なものを手に入れるための手段でしかないんです。
もっと言うと、お金はただの「道具」なんです。
お金の役割
お金には3つの役割があります。
価値の交換
価値の保存
価値の尺度
価値の交換
価値の交換とは、欲しいものを手に入れるための手段で、交換の手段とも呼ばれています。
価値の保存
価値の保存とは、後で使うために「貯める」という役割のこと。要するに貯金です。
価値の尺度
価値の尺度とは、モノやサービスの価値をお金で表すこと。例えば給料が多いとか少ないとか、金額で判断するもののことを言います。
もともとお金は、物々交換の不便さを補う仕組みとして発達しました。
要するに、お金は価値を運ぶための道具だったんです。
大事なのはお金そのものではなく、お米や依頼といった価値のあるものが大事なはずです。
ですが、18世紀頃からお金が表舞台に出初めて、社会の変化のスピードが劇的に上がっていきました。
資本主義の誕生
産業革命が起き、農業から工業へと生活の中心が移り変わっていく中で、労働という価値を提供して「お金」という対価を得るという労働者と、「お金」という資本を使って、工場という資産を所有する資本家に別れました。
原資である「お金」が、資本家にとって重要になり、生活する手段として、労働者にとっても「お金」は、重要なものになっていきました。
資本主義の誕生です。
お金が社会の中心になるにつれて、「お金」から「お金」を生み出す方法を考えたほうが効率的であるということに、気づく人が出てきました。
確かにお金にお金を稼いでもらうほうが楽です。
今の金融市場の大きさを見ると、それが証明されていることが分かります。
もともと価値を運ぶ道具に過ぎなかったお金が、価値から分離して一人歩きを始めたんです。
実体経済の消費とは関係ないところで、お金だけがぐるぐる一人歩きをし続けるようになったんです。
そうなると価値を効率的にやり取りするための手段として生まれたはずのお金は、それ自体を増やすことが目的に変わっていってしまったんです。
いわゆる手段の目的化です。
確かに、資本主義社会では、お金がないと何もできないかもしれません。
日々食べるものも買えないですし、家賃を払うこともできないです。
会社でも、お金を稼げる人が評価されて出世していきます。
こうやってお金を稼ぐことが生活に直結するようになり、全員がお金を増やすことが目的になっていったんです。
中央銀行に変わる仕組み
ですが、今の中央銀行が通貨を発行し、法定通貨として成り立ったのは、ここ100年位の出来事なんです。
何千年も続いてるような錯覚に陥りがちですが、長い人類史から見ると、つい最近普及した新しい仕組みなんです。
中央銀行が通貨を発行し、国が経済をコントロールするのが標準になって、まだ100年くらい。
そう考えると、最近出てきた、暗号資産やブロックチェーン、NFTやメタバース、DAOといった、新しい仕組みが今後、標準になっていったとしても、全然不思議ではないと思います。
その上で、著者の佐藤さんは「資本主義」から「価値主義」に移り変わっていると言います。
価値主義とは何か?
本来、お金の価値というのは「交換」「保存」「尺度」の3つです。
つまり、お金は役割を持ったただの「道具」にしか過ぎなかったはずです。
ですが、手段の目的化が進みすぎたことで、実体経済や私たちの生活とは全く関係ないところでお金だけが動くようになっていってしまったんです。
そんな中、お金からお金を生み出し、札束をただ積み上げる世の中に対して、一部の人たちが「それってだうなんだろう?」と考えるようになったんです。
価値の存在
本来、お金というのは人々が感じる価値があるからこそ、お金になるはずなんです。
ですが、人々が感じる価値とは関係のないところで、お金が増え続けるようになって、お金と価値の関係はどんどん薄くなっていったんです。
お金は価値を置き去りにしてしまったんです。
ですが、今はそれに疑問を感じる人が増えて間逆の方向へ揺り戻しが起きているんです。
つまり、資本主義が限界を迎えつつあるということです。
では、今何が起きているのか。
それは、お金などのわかりやすい資本ではなく、お金や資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていってるんです。
例えば、貯金が0円だけどTwitterのフォロワーが100万人いる人が、何か事業をやりたいと考えたら、すぐに仲間を募り、クラウドファンディングを通して資金を集めることができます。
この人は〝フォロワー(他者からの注目)〟という、お金で計るのが難しい価値を、自分の好きなタイミングで「人脈・お金・情報」という別の価値に転換することができるんです。
要するに、インターネットやSNSの普及によって、自分の価値をお金だけではなく、どんな方法で保存しておくかを選択できるようになってきているんです。
データの「価値」
資産としては認識されない「価値」の1つに、データがあります。
ですが、ネット企業ではデータこそが価値であり、それがお金を稼ぎ出す資本なんです。
GoogleやFacebookやアマゾンなどは会員データや購買データ、広告配信データ、そういったユーザのデータこそが最大の価値であり資産なんです。
人気のあるYouTuberほど、お金を失うことは怖くないと言います。
ファンやチャンネル登録者を失うことの方が怖いと言うんです。
これは、YouTuberが自分の価値は、動画を見てくれるファンの人たちからの「興味」や「関心」であり、お金はその価値の一部を変換したものに過ぎないということをよく理解してるからなんです。
彼らにとっては、お金よりもファンやユーザからの「興味」や「関心」という、精神的な価値を最大化することが最も重要になるんです。
資本主義から「価値主義」へ
資本主義では、資本を最大すること、つまり「お金をたくさん稼いだ人が偉い」という世界です。
どれだけたくさんの人が熱中して、膨大なユーザがそのサービスを利用していたとしても、それがお金という形に変わっていなければ、資本主義経済では存在してないものと扱われてしまいます。
一方で「価値主義」というのは、価値を最大化しておくことが最も重要です。
私たちは、お金以外にも価値があるものはたくさんあると知っているはずです。
例えば、ボランティア活動、興奮や熱狂、羨望せんぼうや共感、信用などの観念的、精神的な満足感も、消費することはできませんが立派な価値といえます。
こうした、あらゆる価値を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができるという考え方が「価値主義」なんです。
要するに、「資本主義」では、実用的で役に立つ価値を生み出してお金を稼いでいたのに対して、「価値主義」では、今まで資本として認められていなかった、人間の内面的な価値を大事にするということです。
内面的な「価値」の可視化
今までは、内面的な価値というものは可視化することができなかったんですが、SNSの登場でこの価値が可視化できるようになったんです。
例えば、TwitterやInstagramで、その人がどれぐらいの人から注目されて、興味や関心を持たれているかを数値化して認識できるようになりました。
そして、その価値をインフルエンサーの方たちが、お金に変換しているというのは、今や、珍しくないです。
「価値主義」というのは、今までの常識で考えたら「実用性のない役に立たない体験や感情にお金を払うなんてありえない」とか「評価や信用なんてものがお金に変わるのはおかしい」と思う人もいるかもしれません。
ですが、世の中の常識は日々変化していて、過去の常識が新しい価値観に上書きされて、新しい価値観が常識になっていく、これは歴史を見れば明らかです。
確かに年配の方からすれば、SNSでイイネをもらったり、スマホゲームに課金したり、ライブ配信に投げ銭をしたり、ビットコインを買っている人たちの感覚は、よくわからないかもしれません。
今までの常識から言えば、全く役に立たないものにお金を払っている人たちの感覚はわからないかもしれません。
ですが、この「価値主義」という考え方は、変化の激しい今の時代に、未来を考える上では参考になるのではないかなと思います。
本書には他にも「テクノロジーが変えるお金の形」「お金から解放される生き方」「加速する人類の進化」これからの未来を歩いていく上でのヒントがたくさん書かれているので、気になる方はぜひ手に取ってみてください
今回は以上です
最後まで読んでいただき、ありがとうございます
それでは素敵な1日を
読書家のヒデでした
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?