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窓月報 2024/03



 3月に起きたことをまとめよう〜。3月は卒業シーズンだったり退職だったりと節目になる月ですよね。私の同級生(2001年生まれ)も3月をもって大学卒業の年だったので、同級生の進路先などを風の便りに聞いたりしていました。この季節は襟を正すような気持ちになれるのでいいですよね。イメージとして、みんながスタートラインに位置をついて一斉に走り出す感じがする。競争のように見えるけど自分ができる範囲のところから始めて進んでいけばいいと思っている。気が張っちゃうけど、まあがんばっていこう。


 なんか締めの文章のような雰囲気でスタートしたけど、ここからが本題〜3月まとめはじまり🥣



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⚪︎ 読み終えた本

〈左〉「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く 」川内 有緒
〈右〉「気がする朝」伊藤 紺


 今月読んだ本はこの2冊。まずは「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」の感想から。この本に関しては知り合いが絶賛していたことをきっかけに出会った本で、ハードカバーの333pというボリュームだったけど内容が面白くてスラスラと読めた。話の本筋は、全盲の視覚障害者である白鳥さんと一緒にいろんな美術館を巡るというもの。そんな白鳥さんがどのようにして鑑賞するのかというと、アテンド役として著者の有緒さんやご友人のマイティさんが目の前の作品を説明することで成立している。説明するといってもアカデミックで畏まった音声ガイドのようなものではなく、その作品の形状やサイズ感、色彩、描画、作品から読み取れる情報をできるだけ伝えて、そこに直感的な個人の感想も交えて白鳥さんに教えていた。

 視覚情報が遮断された状態で、人から説明を受けてどのように理解するのかが興味深かった。 例えば、「色はどのように理解しているのか」について。白鳥さんは色を「概念的に理解している」と言っていた。それはどういうことか。

「一般的には”色”って視覚の話だと思われるんだけど、白とか茶とか青とか、色に名前があるという時点で概念的でもあるんです。それぞれの色には特定のイメージがあって、それを特徴的なイメージとして理解している」

p.13

 と言っていて面白かった。「赤といえば夕日、りんご、血」「青といえば海、空」というように色の概念的なイメージで理解しているんだ。


 白鳥さんの頭の中には見える人が頭で思い描くような色や形や景色は浮かばない。それでも、たとえ見えていなくても私たちに共通するのは言葉を使って自分の思いを伝えることができることだと思う。それなのに障害者と健常者は分断されてしまう、その構造については大きなテーマとして本文で何度も語られていた。
 現代の特別支援学校や障害者のコミュニティがどうなのかは分からないけど、白鳥さんの幼少時代は「障害者は不幸だ」、「健常者に合わせるために努力しないといけない」など大人による抑圧があったのだという。

「見える人は努力しなくていいの?そうだったら、見える人ってズルすぎるって思った。--- その後に通っていた盲学校でも”健常者”に近づくことはいいことだと教えられて。目の見える人たちに負けるな、障害があるからこそ、下に見られないよう努力しようって言う人もいるくらい。当時はまだ子どもで経験も知識もないから、そういうものなのかなって思いながら本当にそうなのかなって疑問だったよね」

p.211

 コミュニケーションが取れるのにどうして分断されてしまうのか。なぜ障害者は健常者に足並みを揃えないといけないのか。そこには優生思想が絡んでいたり、差別意識を持っているからだと本文では語られていた。

 この本で初めて「旧優生保護法」というものを知った。生まれるべき命と生まれるべきではない命があるということ。現在では、出生前診断により胎児の障害の有無を知ることができる。…なんだか、本当にこれに関しては色んなことを考えてしまって黙ることしかできない、今は。

 この本と出会えてとても良かった。形式が、対話のように進んだりエッセイのようになったりするので、一緒に作品鑑賞をしている気分にもなるし、著者と一緒に自分も考えたりなど、本なのに”体験”している感覚があったな。面白かったので気になる方は是非!

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 続いて2冊目。伊藤紺さんの歌集。好きな歌人は誰と聞かれたら、伊藤紺さんと答えるくらいには好きです…。今回の歌集も、良かったなあ。

 一首ずつ読んでいると、なぜか走馬灯のように自分の人生のある場面とそこにある短歌をリンクさせて胸がぎゅっと締め付けられたり、うんうんと頷いたり、目頭が熱くなったりした。なんでなんだろう。伊藤紺さんの短歌はたった31音でなぜこんなに分かるんだろう。


「氷に熱湯かけてるみたい一番したいことしてるとき」
「美容院行っていつもとちがう匂いの自分にほんのすこしの欲情」
「とてもとてもまちがい続けてきたきみの背骨が落ち葉のように崩れる」
「真剣に手を合わせてはいるけれどどうにも足りないわたしの合掌」
「ちょっとずつ言わなくたってへいきになって秘密は顔に溶け込んでいく」
「なぜだろうわたしを狂わせるものをわたしの人生は受け入れている」


 ほんとうに、良い。(←ここに全体重をかけてます)



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⚪︎ 観た映画

〈左〉「CLOSE」ルーカス・ドン  2022年
〈右〉「seven」デビッド・フィンチャー  1996年 


 映画2本観ました。まずは、「CLOSE」の感想。
ありえないくらい号泣しながら観ていた。少年同士の関係性が徐々に違う方向へ向き出している様子が観ていて辛かった。同性同士の親密な距離感にクラスメイトが「カップルみたい」だと直接的な表現で指摘する。もうさ、そんな風に言われたら自然と気にしてしまうじゃん。呪いの言葉だよ。二人の関係値を第三者があれこれ言っていい権利なんてないじゃん。ゴシップ的に揶揄したい欲求があるのなら内輪だけで共有すればいい、わざわざ本人に伝える必要ないよ…(;;)


 そして役者さんの繊細な感情表現がすごくて同じ時間を共にしたような感覚に陥った。自死遺族の日常や心境を描いている作品を観るのが初めてで同じように辛かった。死んだ者に会いたくても会えない、弔うことしかできない、自分を責めることしかできない。最後に少年が振り返るシーンは、不安が窺えるけど覚悟を決めたような表情をしていて良かった。彼がどう生きていくのか気になる。やさしい人でいてほしい。

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 続いて2本目の「seven」は友人と観た。サスペンススリラーというジャンルで、猟奇的な殺人事件のお話。私は知らなかったけど結構有名な作品で、名作と呼ばれているらしい。私は逆張りなところがあるので最初は半信半疑で観ていたけど、刑事2人がカッコよすぎたので一気に疑念は払拭された。アクションシーンは激しく展開されてハラハラだったし、哲学的な問いを交わし合うシーンもあって良かったし、自分の正義を信じている人間の行いは制御できないものなのだなと感じたりした。最後のシーンは本当にえぐられました…。鑑賞後はしばらく放心状態になった。

 観たことがない方は是非ご覧になってください〜



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⚪︎ 3月ざっくり振り返り


⚫︎家計簿をつけ始めた
L 今までずっと家計簿をつけておらず毎月の支出確認はクレカのみでした。見える化してみると「無駄な支出/優先度」が分かるようになって、さらに気持ちの実感として「今週はいくらしか使ってない、やったー」という達成感があって良かった!


⚫︎ちょくちょく弁当を作っている
L 支出を抑えるために弁当をちょくちょく作っているけど、5日連続作れたことがないのでまだまだ…です


⚫︎親知らず全身麻酔手術+入院費高すぎ
L 親知らずが横から生えているのが気になって口腔外科で診てもらったところ、20代のうちに抜歯おすすめしますと言われた。全身麻酔での手術代と1泊2日の入院費で10万以上すると聞いて呆然とした。貯金しておかねば…となった


⚫︎音楽フェスの単発バイト
L 地元で開催された音楽フェスのイベントスタッフとして1日働いた。仕事内容はドリンク・アルコール提供。私の担当はビアボールを炭酸で割ったりとか簡単な仕事で途中休憩含めて10時間半働いたけど、なぜか楽しかった。ずっと立ちっぱなしだったから疲れたけど、会場の高揚した雰囲気が楽しくて心地よくてそれに酔っていたのかもしれない。働いてお金を稼いだ喜びっていいな〜となった


⚫︎友人と会って愛を深めた
L 月1で会おうという約束をした。お揃いの指輪を作らないか提案したところ、前向きに検討してくれて嬉しかった。良かった良かった


⚫︎短歌を読む会に参加した
L 選書が私好みの小さい本屋さんで開催された短歌を読む会。参加者が予め選出した短歌をみんなで読んで感想共有しようという内容だった。理論的に説明する人もいれば主観で感じたことを話す人もいて視点の違いが面白かった。ゆるいグループディスカッションのような雰囲気だったから居心地が非常に良かった。また参加したい


⚫︎仕事イヤイヤ期との戦い
L 外的要因と内的要因を整理すると、隠れているものが分かる気がする。友人に相談して客観的な視点を得られた… 新年度から少しずつ良くなっていきたい




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 3月まとめおわり。ここまで読んでいただきありがとうございました。また、4月からは今よりもっと良くなるように自分と周りを確かめられるようになったらいいな。皆さんも休み休みでやっていきましょうね..!!

 それではまた5月に🎏


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