早く死にたいばあちゃん

気がついたら、90歳になっていた。

最後に北見に会いにいったのは、わたしが結婚する2017年の9月。
これから先ひとりで行きにくくなるかもしれないから、会えるうちに会っておこうって思ったんだよな、たしか。

その当時あったのもたぶん10年ぶりくらい。

わたしの記憶の中のばあちゃんは、元気で、よく笑って、毎朝みんなが起きる前に市場に行って、ラジオ体操をして、梅干しづくりと味噌づくりが上手で、おにぎりが美味しくて、商店をやってたからいつもお客さんがきて、たまに怒るとちょっとこわい。

でも、久しぶりに会ったばあちゃんは、喋らなくて、あまり声を出して笑わなくて、昼間は光避けのサングラスをかけてずっとソファで寝ていた。

いつ会えるかわからないからと、どっかから出てきた現金を10万円分くらい握らされた。

11人兄妹がいて、なんでばあちゃんだけこんなに長生きしちゃったんだろう。

って言われて、なんて返したか憶えてない。
寂しかったばあちゃんの気持ちをおもったら、なにも言えなかったかもしれない。

なかなか神奈川から北海道まで帰れない。
妊娠中は、安定期でもあまり飛行機は乗らない方がいいのかなぁ。

会いたい。

ばあちゃんにひ孫をみせてあげたいなとも思うけど、生まれてすぐなんて連れて行けないしな。

ばあちゃんが、生まれたての赤ちゃんに会ったらどんな気持ちになるんだろ。
さらに早く死にたくなるんだろうか。
生きられるだけ生きてみたいって思うだろうか。

最近たまに考えるけど、わからない。
ひ孫に会わせたいのは孫のエゴかもしれない。

だけど、親よりもなぜかばあちゃんに会わせたいんだ。

病気もなくて90歳にしては元気だけど、この命がいつまで続くんだろうって思うと、やっぱり会えるときに会いたい。

zoomやLINE電話はいつでもできるけど、やっぱりちゃんとリアルで会いたいって思う。

妊娠してからばあちゃんを思う回数が増えた。

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