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#映画
物語は、「私」を拡張させる
小説を読む。映画を観る。
ともすれば、「趣味」「娯楽」として片づけられてしまうもの。効率やわかりやすさが求められる社会において、それらは余剰の多すぎる情報でしかないと捉える人もいるかもしれない。
たしかに、一冊の本を数日かけて読む、一本の映画を2時間かけて観る、それだけの時間を費やすだけの費用対効果を示すのは難しい。同じ時間を資格試験の勉強に費やすなり、仕事にまつわる情報収集をするなりした方が
「わかってもらう」よりも、
エンドクレジットがスクリーンいっぱいに映され、パッと照明がつく。客席にざわめきが戻り、伸びをしたり小声で感想を交わしたりしながら、いそいそと帰り支度を整える人々が劇場内の空気を揺らす。
おそらく、その場で泣いていたのは私だけだった。エンドロールが流れる間も、声も出さずにひたすら下まぶたから滴り落ちる雫だけを感じていた。
「この映画、好きだと思うよ」とある日友人に勧められた。調べてみると、私の好