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短歌

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2023年1月の記事一覧

水平線の広がる画面

灰色のクマ胸元に寄せてみるどこでもドアはおはなしの中
ベローチェに音楽のない日曜日クラウド上の別れのことば
さようなら古いノートよさようなら少し傾いたようなやさしさ
壁を向き枕に頭のせたとき枯葉を踏んだような音する
何してもうまくいかない夜がきて何度も読んだ本を手に取る
夜よりも深い手紙を書きたくてインクの黒がかすれていく音
今夜また「夜が明けたら」流れくる泣いているかも知れぬ兄さん
冷蔵庫に調味

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短歌三十首

「気づかないうちに二人」


離陸する飛行機にキミ見とれてる「ディパーチャー!ディパーチャー!」いずこへ
キミからの春のハガキに描かれたサクラは少し憂鬱に見ゆ
七月のあぜ道ホタルの飛び交って一度だけキミと見られて良かった
泳いでたキミの匂いのような歌うたう調子っぱずれのスピッツ
願いごとは心の中にしまっている銀河は見ない七月七日
屋台見る順番もキミが決めていた今年の七夕自由なんだな
さよならは

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短歌十首

短歌十首

「春十色」                   


春を待つ君にひと枝 沈丁花 香りの中で目覚めますよう

ちぎれゆく思い集めてつないでる君の心に春は来ている

冬の中に春があるなら凍てついた君に一輪 水仙は咲く

あと少し春が来たなら凍えてる君の心も解けゆくだろう

虫たちが土から這い出て来るように暗い部屋からきっと出られる

バス停で見送る君に手も振らず 春がみじかく呼吸してい

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「オーケストラ」BiSHへ*短歌二十首

「オーケストラ」BiSHへ*短歌二十首

くるしげなブレスで歌う少女たちつながるかなあ手をのばしてる

見上げれば空しかないね この声も涙もすべてオーケストラに

つないだ手以上に近くにいたのかな許されていたことさえ知らず

坂道であの子のうそに泣いた夜 二度と会えないから忘れない

いまどこでなにをしてるか分からない あのボタンだけしまっておいて

きみだけに見せてたぼくはもういない一人になってなにを歌うの

輝いて

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