ESG評価を高めるための表現お作法
SDGsバッジおじさんの三方よし論法が、ESG評価機関に対してはまったく通用しないことを前回書いた。「うちも色々やってるから」と、近所の清掃活動やエコな素材の利用、太陽光パネルを一部で導入というような情報をサステナビリティサイトとして公開しているのも多く目にするが、これもまたESG評価に対応した発信とは言いがたい。
話し方がもともと違う
個別の事柄を色々積み重ねて、なんとなく、その先に環境や温暖化対策のような大きな課題へのつながりをチラつかせて「ね、わかるでしょ、いい会社でしょ」というのが日本語的な表現なのだが、この「わかるでしょ」が悲しいかな全然通じないのだ。
欧米から来たものであるゆえか、そもそも考え方なり論法というものが、異なっている。望まれているのはこんな形だ。
1.我々は●●が重要な課題と認識しています
と、課題の認識ということを初めに書かなくてはならない。●●には気候変動や水資源、人権など、適切なテーマを入れることで応用が効く。次に、
2.この課題を解決するためにこういう方針を立てました
という宣言が続く。さらに
3.この課題を解決するための体制はこうで、責任者は誰それ
ということを書く。このあたりまでくると、評価機関も「おお、御社わかってるね!」となるので笑 最後に
4.具体的な取組みと進捗はこうなっています
と結ぶ。これがひとまわりである。
先ほどの、個別の取組みから書くやり方では、この4番目かつ断片的な情報から入ることになり、1番の課題認識までさかのぼって理解を得たり各種要件を満たすのは極めてむずかしい。
FTSEのESG評価でも、最初の課題認識や方針がない場合は、後半の具体的な取組みの数値などがあっても評価されない場合があると書いてあり、順番通り、課題認識から始めるというお作法は結構重要なのである。
〈了〉
具体的なESGの課題については、次回、ESGのマテリアリティに個性はいらないへ。
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