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#小説
【小説】夜の底の子|完全版
プロローグ
仕事へ向かう道中、見慣れた風景の中に乗り込んできた彼らに違和感を感じたのは、私の気のせいだっただろうか。バスが停留所を離れていき、緩やかに加速する。車窓に映るのは、競合するコンビニエンスストアの群れと、大型中古車販売店。更に信号を曲がると、地域住民の生活を支える役目を終えたシャッター商店街や、中高生の青春のページに何枚にもわたって残るラウンドワンなどがある。この街は、様々な種類のお
#ウシミツトカゲ__
大学で久々に顔を合わせた友人が、帰り道に妙なことを言い出した。
『俺さ、シモキタの駅で、見ちゃいけないもの見ちゃった気がするんだよね』
私は怯えを必死に隠しながら、「どうせ見間違いだろ? お前昔から変なこと言ってるから心配だよ」と言った。しかし友人は、食い気味に『お前は見てないからそんなことが言えんだ!』と叫んだ。
「いきなり大きな声出すなよ。そんで、何を見たんだ?」
私は一旦、彼を落ち着かせるた