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ユーザーがプロダクトと向き合う時の「心」を理解する

みなさまこんにちは。現在USでSmartNewsのグローバル展開のPMをしている曽根原です。早いものでシリコンバレーに移り住んで15シーズン目に入りました。これまでのPMとしての知見をまとめた、私のUdemyでのプロダクトマネジメント講座を今年も多くの皆様に受講いただき、誠にありがとうございます。(2020年12月時点でユニーク受講者数が2400名を突破)

プロダクトアドベントカレンダー22日目の枠をいただいたので、今日は今年シリコンバレーのPM界隈で話題になったことの一つをお伝えしたいと思います。


「対プロダクト心理」というアプローチ

今年もIPOを通して大きく花開いたプロダクトがある一方、あるものはコロナ時代の地殻変動とともに消えていきました。どんな時代でもユーザーに使われるプロダクトを作り続けるというのは、難しくもチャレンジしがいのあることには代わりありません。今回はユーザーに使い続けられるプロダクトと、そうでないプロダクトはどこにその差が生まれているのか、についてUXの観点で書いてみたいと思います。(その差はUXだけで生まれるわけではない点は最初に但し書きしておきます。)

「心理学」という言葉があります。おそらく書店にいけば「〜の心理学」とか「心理学を活用して〜しよう」みたいなものが並んでいると思いますが、こうした心理学はたいてい「自分自身」や「対人」が前提です。人と関わる中で人の心理や行動がどう動くか、について深堀りしていくのがいわゆる心理学なわけですが、ちょっと考えてみましょう。なぜ世の中にはIPOを果たすほど多くの人に使われるプロダクトがある一方で、見向きもされないプロダクトがあるのでしょうか?

もちろん、そのプロダクトが解決しようとしている問題の設定の仕方や、価格の付け方も問題になりうるでしょう。ですが実は「ユーザーの対プロダクト心理」と言う部分も無視できないほど大きな影響を及ぼしているからです。

やや極端ですが以下の例で説明してみます。下ようなレーティングUIがあったとしましょう。まずは深く考えずパッと見てみてください。

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何かすごく違和感感じませんか?

「星1つ・・・ん?星5?」

なんかヘンですよね。この違和感はどこから来るかというと、普段我々は下のようなレーティングUIに見慣れているところからくるものです。

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言い換えると、今手にしているプロダクトでパッと見た時の視覚からの情報を、ユーザーは別のプロダクトでパッと見た時に感じた体験と暗黙のうちに比べているのです。

人間の頭を侮ってはいけない

人間の脳はものすごく高性能で、こうした視覚からの情報をパッと見でも一瞬で大量に処理しています。例えば以下のようなものです。

明るさ
輪郭
線や形状

動き

空間

視覚から湧き上がる感情(上の例の場合「違和感」)
などなど

ユーザーが視覚から感じるプロダクト体験には、意識的な知覚プロセス(じっと見る)と、無意識的な知覚プロセス(パッと見る)の2種類があります。えてして、「スクリーンをじっとみて使っている」時の体験ばかりをついつい考えがちですが、この「パッと見る、目に入る」という部分の体験も無意識のうちに「ユーザーの対プロダクト心理」に影響を及ぼしているのです。

Six Mind of Experience

プロダクトマネジメントやプロダクトデザインに携わっていると、「ユーザーを理解しろ」と言う声をいろんなところで聞くと思いますが、実はユーザーをどのレベルでどのように理解するか、という点に関しては人によってまちまちだったりします。今回は「視覚」を例に説明してみましたが、他にも、方向感覚、記憶、感情、意思決定、言語の観点でユーザーの対プロダクト心理は揺れ動きます。

それが、"Six Mind of Experience"という考え方です。

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これは"Design for how people think"という書籍の中で紹介され、シリコンバレー界隈のPMやデザイナーの中で話題になりました。

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この"Six mind of experience"のフレームワークを使って、移りゆくユーザーの心理を理解することは、解像度高くユーザーを深く理解するための強力な手段の一つになってくれるでしょう。

プロダクトマネジメントって本当に面白いですよね。ビジネスやテクノロジー面だけでなく、単に美しいUIや使いやすいUXのその先に、こうした人間の心理も含めて考えないと刺さるプロダクトにはなりきれないということです。

What's next?

ここまでお読みいただいて、「ユーザーの対プロダクト心理」についてもっと知りたいと興味を持たれた方は、私のプロダクトマネジメント講座の第4弾 UX編で上記の本を元に詳しく解説しましたので、ぜひ受講してみてください。

- Six mind of experienceはユーザーがプロダクトを使う中で心の中でどのように現れるのか?
- それをプロダクトを作る時にどのように活用、もしくは気をつければよいのか?
- どのようにユーザーリサーチの中で対プロダクト心理の洞察を導き出すか?

などなどリアルプロダクト事例をふんだんに使いながら説明しています。

上の書籍は2020年12月時点で日本ではまだ未翻訳のようです。この機会に新しい知見を2021年へ向けて先取りしてしまいましょう!

コースは👉 https://www.udemy.com/course/deep_understanding_of_user/
最新クーポンコードはこちらのページから。

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