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5歳の息子が家事サービスで得た収入の150円を悩んだ末、セーフティネットからこぼれる移民難民の子育て世帯を支えるクラウドファンディングにお金を使った話

働くことでお金を得ることについて考えて始めた息子だいだい5歳。
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そこで得たお金をなぜ寄付する話になったか、という前に寄付のきっかけにつながったのは、食と命、貧困などについて私が結構な頻度で食事の時に問いかけていたことが息子にとってプレッシャーとなりつつも、自分なりに命について考えてくれた結果かなと思っている。

食事を楽しく完食する・させるはまるで幻想。

実は、だいだいは下記の通りご飯を食べることがとても苦手。

・好き嫌いがかなり多い。
→どろっとしたもの、混ぜられたものNG(カレー系、あんかけ系、混ぜご飯系、ケチャップ系など)。調味料は塩、醤油、すだち大好き。

・食事にあまり興味がないので、集中して食べられない。
→保育園でも家でも30分以内で食事を食べ切るために色々試行錯誤でチャレンジしたが、本当に食べ切ることができない。
→農家の娘な母は食べ物を捨てることが本当に苦手。毎日のように集中して食べない、食べ物に失礼なことを言う、残そうとする子どもに気が変になりそうだった。

私が農家の娘&地域に関わる仕事/CSRに関わる仕事をしているせいか、生産者やサステナブルな暮らしなどに関わることも多く、
・健康でいるためには、バランスよく食べよう。元気でいて欲しいな
・残すと、野菜を作った人にも、いただく命にも申し訳ないよ
・食べ物を買うのにもお金が必要だよ
・世界には食事を食べることができない、だいだいと同じくらいの子どももいるんだよ
と、ついつい余計な一言か、必要な一言か判断に迷う一言を、意識高いふりをして毎食のように口を出してしまっていた。

(私も子どももしんどくなってし待ったときに、保育園の先生からアドバイスいただき、少なくても元気ならいいじゃん!ここまで頑張ったと認めてあげよう!と言う言葉で少しずつまあいっかと思えるように母が思考のトレーニング中・・ではある)

口うるさく食事にまつわる感謝、命の大切さを伝えたら、子どもの目にはお金が大事に映ってしまったようだ

そんなふうに毎日のように口を出されれば、息子だいだいもしんどくもなる。今日も今日とてママに一言言われてしまっただいだいは、悲しい顔をして、ある日私に尋ねた。
「ママはお金のことばっかりじゃん。だいだいはいくらだったの?」
(・・そう来たか)
まず、私は反省した。
口うるさく、お金を引き合いに出し過ぎただろう。
自分は食べ物を無駄にしちゃっている、頑張って食べているけどどうしても集中できない自分に気づいていて、息子は言葉にできない、だけど完食できない申し訳ない感情を持っている。

「だいだいは買ってきたんじゃないよ。青はママのお腹が大きくなって生まれてきたでしょう。だいだいも同じように生まれたんだよ。子供も大人も命に値段はつけられていけない」
膝をついて、正面からだいだいを見て抱きしめた。

けど、そこで終わればいいとわかっているのに、言葉を続けてしまった。
なんでも当たり前にあるわけではないってことを知って欲しかった。

「けどね、命や身体に値段をつけられて、殺されてしまう子どもも地球の中にはいるんだよ。日本の中にも、今日食べるものに困って苦しい思いをしている子どももいる」

言葉を選びながら伝えてみるけど、目の当たりにしたことのない5歳児にはイメージを掴むことはとても難しい。

会社でCSRに近い活動をしていることもあり、今私たちが食べるもの、住む場所に不安を感じずに生活できている有り難みを感じずにはいられないし、現実にそうした不安を抱えている人もいることを考えて何か行動にしていきたいとも思う。
ただ、そうした日本や世界で起こっていることを、子どもは理解できないかもしれない。それを知ってもらうためのテレビの番組等は、トラウマになるかもしれない。面白いものではないと、飽きちゃう可能性も高い。

一通り子どもを抱きしめながら話してから、「自分たちのお金をどう使うかちょっと一緒に考える日を作ってみるね、ママ準備するからちょっと待ってね」と伝えて、この日は一旦話を切り上げた。

以前「誰かに幸せをお裾分けできるカード」で寄付について考えてほしかったけど撃沈

実のところ、この「命の値段」についてだいだいから話が出る前にも、実は息子に寄付というお金の使い道があることは時々提案していた。
「自分で稼いだお金を寄付してみる?」
と何度か聞いたが、自分で努力して手にしたお金を差し出すことが難しかっただいだい。

だから、まずは誰かのために何かしよう・何かできると言うことを知って欲しくて、まずは目標達成時にボーナスチケットを作ってみた。

「だいだいが仕事をしてくれて嬉しいので4つのボーナスを用意したよ」
彼はボーナスと聞いて歓喜した。

けど、内容はこちら。(夫からはボーナス詐欺と言われる。)

・YouTubeカード
・お仕事のお金2倍カード
・お出かけ場所を選べるカード
・誰かに幸せをお裾分けできるカード

4つ目のカードは寄付のこと。
当然、自分のボーナスなのに、誰かにお裾分けって何?と息子は感じる。夫からの指摘の通り、他のカードはすぐに使ったが、やっぱり他の券は使うけれど、誰かを幸せにできる券は残ってしまった、という苦い失敗があった。

どうすれば自分ごとかしてくれるかな、とか、自分にできることを考えるきっかけになるかなと考えていた時だったので、このチャンスを逃してはならぬと、私は2つの存在を思い出した。

ばあばが送ってくれた、①谷川俊太郎さんの「へいわとせんそう」の絵本と、
②難民支援を行う「シャンティボランティア協会」の絵本を送る活動だ。
これで、世界にちょっと目を向けてくれるかも!と私は準備を始めた。


①へいわとせんそうの絵本

こちらは抽象的な絵本。
戦争が起こったら、家や学校、食事はどのように変わるのかと言う話と、
戦争をする相手も、味方も同じ顔をしていること、同じような家族がいること、をなんとなく理解してくれた。
(もう少し大きくなったら進撃の巨人も参考図書として紹介したい私)


②シャンティ国際ボランティア会

シャンティは、私の働いている会社で法人寄付をしている団体で、海外の子どもたちを支援している。例えば、海外で本が買えない/読めない子供達に本を送る活動をしている。
単純にお金を寄付することもできるし、2500円/冊の寄付で海外の子供達に絵本を送るプログラムもある。後者は自宅に本と翻訳シールのセットが届いて、海外の子どもたちが読めるようにシールを貼って、シャンティに送り返すというもの。外で人と交流するようなボランティアが難しい今、こうした家で家族で対話をしながらできるボランティアはありがたい。


①だけでは、世界で今本当に困っている子どもがいることはちょっと伝わらないかもしれない。
・戦争について言葉でお話しすること
・戦争に関する映像(アニメとか人形劇含む)を見ること
この2つは息子にとってとても怖いことだったので、それは見たくないと息子は言う。ただ、前にSDGsの絵本はしっかり読んでくれたので、興味がある絵本を通じてだったらわかるかもしれない。5歳児にもわかりやすいもの・・と色々Amazonや国連の難民支援サイトを見て情報を漁った。

そこで新たに出会ったのが、「いま、世界はあぶないのか」の最初の4シリーズだ。ありがたいことに三鷹図書館で借りれた。争いと戦争、移民と難民、差別と偏見、貧困と飢餓、と5歳児にはまあまあ?とても?重たいテーマ。
最初の1回は母が読み聞かせしていたけれど、本が好きなだいだいはいつの間にか何度か読み返していた。(まあ、ゾロリとかおしりたんていとかには負けますが・・)

戦争が昔の話でないことも、安心して暮らせる家がない人も、日々食べることに困っている人がいることも、彼はこの本で知った。

「だいだい、ここがなくなったら悲しい。こわい。
 でも、住むところがなくなっちゃう子もいるんだね
 戦争は悲しいね。お話することで戦争にならなくなるといいね」

「世界には絵本を買うことができない子どももいるんだよ。学びたくても学べない子どももいる。だいだいのボーナスチケット「誰かを幸せのお裾分けができる券」でうちのお金を、そうしただいだいと同じくらいの子どもたちにお裾分けしていいかな?」

「うん」
というやりとりを挟んで、ついに4枚目のボーナスチケットがようやく日の目を見ることになった。
「いま、世界はあぶないのか」の本を探すのと同時並行で、私はシャンティのホームページの「絵本を届ける活動」のページから寄付の申込をした。

対象年齢は小学生以下は難しい、とあったけれど、大人が一緒であればとあったので、翻訳した内容の吹き出しを切り取るところ、シールを貼るところはサイズによってはできるだろうということで一緒にチャレンジ。
本好きのだいだいが、世界のお友達のために本を送るために、一緒に手を動かしたかった。
送る本を自分でいくつかの選択肢の中から選ぶこともできるので、だいだいが大好きな恐竜の絵本にした。
最初にその絵本をみんなで読んで(だいだいは読んで自分の本にしたくなっちゃったけど、改めて説明して理解してもらった)、家族みんなで絵本にラオス語のシールを貼った。

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ページの裏表紙に、名前を書くところがあった。
翻訳シールや絵本のほかに、ラオス語のアイウエオ表も同封されていたので、それを見ながら、だいだいは自分の名前を、日本語とラオス語で書いた。

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「恐竜、好きになってくれるといいなあ」
だいだいは、読んでくれる誰かを思って、ふふふと笑った。


ベッドの中で、自分の稼いだ3000円から150円寄付するよ、と言った息子

そして、その夜、ベッドの中に潜り込んで私の手を握って、だいだいは言った。
「だいだいね、150円なら寄付してもいいよ」

大人にしてみればたかが150円。
されど、かなり安い単価で家事サービスをしているだいだいにとっては、1ヶ月のうち3日分の稼ぎである。

150円
お風呂掃除3回分
初賃金で手にしたギルラプターの、約1/6
彼にとって決して安くはない。

けれど、今世界は危ないのかを読み、そして、シャンティの絵本サービスをみんなでやってみて、絵本を満足に読むどころか、日々生きることに一生懸命な子供達がいることをだいだいは知ってくれた。

なんで今のうちから世界について知ってほしかったか

なんで小さいうちに世界について知ってほしかったか、というと、自分があまり知らずに生きてきたことを後悔していることもある。
中学生くらいから難民支援や国際ボランティアに興味はあったが、当時はインターネット等もさほど普及していない1990年代。一度社協に電話して、ボランティア団体の一覧が載っている冊子はもらったが、片田舎でボランティアをしている団体などほぼなかった。そうして、興味は失われていった。

そして、同じように興味関心があった日本のローカルや農業に触れる機会がふれて、大人になってからはその活性や復興に関わることばかりにのめり込んでいった。息子だいだいが産まれても、今度はだいだいを連れて日本を飛び回っていた。

そんな私が「地域」ではなく「貧困」や「海外・難民」に関心を再び持つようになったきっかけは、会社のCSRを通じて複業で認定NPO法人Living in Peace 代表理事の代表理事のキョウさんと会社の社会貢献委員で知り合って、難民問題、貧困問題の深刻さを肌で感じることができたからだ。

海外で起こっている問題から、私の興味は薄れていった。
もしくは何ができるかわからず、目を背けてきたのかもしれない。
そんな感じで、募金以外あまりしてこなかった。

でも、親になってから、海外の子供達に何かできれば、と思うようになれた。子供のうちから、世界のことについて知って欲しいと思った。

キョウさんが共同代表を務める、認定NPO法人Living in Peace さんは、今クラウドファンディングに挑戦している。
ちょうど、息子が寄付したいと言った時だったので、「世界の子どもを守る活動をしているママのお友達に、だいだいのお金を寄付していい?」と聞くと、「ママのお友達なら安心だね」となぜか信頼を寄せてもらい、だいだいから預かった150円を含めて、私もLiving in Peaceさんのクラウドファンディングに寄付してみた。


残り3日ちょっととのことなので、もしよかったらご協力ください!
少しでも、子どもたちが安心して暮らせますように。

#READYFOR #クラウドファンディング


息子だいだいはこんな感じでWorkingAnywhereなり、家の仕事をすること、寄付をすることなど、様々な経験の中で自分の中で色々考えている。しかし見方を変えれば、親が機会を仕向け、そうさせられてきた、とも言えなくはない。。こうなっていないと今後困るんじゃないか、こんなことに目を向けて欲しい、と、子どもにこうあるべきを無意識に押し付けているのではないかという不安もある。

この辺りの子どもらしさについては、保育園の先生と話をさせていただく機会もあったので、次のnoteでこの辺りの反省やら葛藤をまとめたいなと思います。

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